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2020.06.10

在日朝鮮人二世の呉さんに学ぶ日本の現実【社会共生実習】

 6月5日に、社会学部の科目「社会共生実習(多文化共生のコミュニティ・デザイン~定住外国人にとって住みやすい日本になるには?~)」(担当教員:現代福祉学科 川中大輔)にて、在日朝鮮人二世である呉光現氏をお招きして、オンライン授業が開講されました。


授業の様子

 本プロジェクトの受講生らは、呉氏にインタビューするにあたり、事前資料を参考に質問を3つずつ考えており、その質問すべてにお答えくださいました。
 ここでは、それらの質疑応答を少し紹介させていただきます。

日本社会で「ここは直して欲しい」と思うところはどういうところですか?
――例えば、「日本語がお上手ですね」と年に何度か言われることがあります。そのたびに、わたしは生まれも育ちも日本ですし、大学も卒業していますと、説明しなくてはいけません。
 日本人のほとんどが、「在日朝鮮人」のことを知らないという事実をつきつけられることを辛く、また残念に感じます。

小学校では生徒同士で差別はありましたか?
――わたしが通っていた小学校はクラスの半分が在日朝鮮人だったので、子ども同士の差別やいじめはありませんでした。しかし、日本人の子どもと喧嘩をしたときに、親に「朝鮮人とあそぶな!」と言われたと明かされたことがありました。
 また、在日朝鮮人の生徒だけ「民族学級」という授業があり、朝鮮の言葉や文化を学ぶ時間が設けられていました。しかし、日本の生徒は学ぶ必要がなく、わたしたちのことを知る機会はありませんでした。
 日本に住んでいるのはほとんどが日本人なので、文化や風習など、わたしたちが日本人に合わせることはあっても、日本人が在日朝鮮人や外国人に合わせることは決してないのです。

娘さんは三世にあたりますが、差別などを受けられた経験があるのでしょうか?
――残念ながら、受けたことがあります。
 例えば、アルバイトのWebエントリーを行った際に、韓国名を使っているために「外国人は雇用していません」と突き返されたり、面接の際に「日本語はできますか?日本に来て何年ですか?就労資格証明書は持っていますか?」という質問をされることがあり、そのたびに、入管法において、日系二世、三世については、「日本人の配偶者等」又は「定住者」の在留資格により入国が認められることとなっているので、就労資格証明書は必要ありませんと説明する必要がありました。

 この他にも、たくさんの質問にひとつずつ丁寧に回答いただき、最後に、「聞く」ではなく、「傾聴」から始めてほしいと締めくくってくださいました。


呉光現氏


質問する受講生の様子

 今回、受講生らも、今まで知る機会がなかった日本の現実を目の当たりにして、この現実をどうすれば変えることができるのか、どのように変えるべきか、いろいろと思いが駆け巡ったことと思います。

 次週、本プロジェクトでは、定住外国人の家族の視点からをテーマに迫っていくため、本学社会学部同窓生の西嶋優太氏にお話を伺う予定です。
 今回伺ったことも加味しつつ、多方面のお話を聴いて、更に「多文化共生」について深く考えていきます。

社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。