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2020.06.17

在日朝鮮人のパートナーをもつ西嶋さんの視点から【社会共生実習】

 6月12日に、社会学部の科目「社会共生実習(多文化共生のコミュニティ・デザイン~定住外国人にとって住みやすい日本になるには?~)」(担当教員:現代福祉学科 川中大輔)にて、在日朝鮮人三世の方をパートナーにもつ西嶋優太氏(本学社会学部卒業生)をお招きして、オンライン授業が開講されました。


授業の様子

 本プロジェクトの受講生らは、西嶋氏にインタビューするにあたり、事前に質問を考えており、今回はその質問すべてにお答えくださいました。
 ここでは、それらの質疑応答を少し紹介させていただきます。

日常生活を送るうえで、日本と朝鮮/韓国のどちらの文化を尊重しておられますか?
――結婚するときに、義父から「娘は朝鮮人として育ててきました。ですので、これは国際結婚だと思っていただきたい」と言われたことが強く印象に残っています。その義父の言葉にはおそらくそれぞれのアイデンティティを大切にしてほしいというメッセージが込められていたのだと考えています。
どちらの文化も尊重できるところがあり、まだまだ知らないことも多いので、私たち夫婦はお互いに互いの文化を教えあって「一石二鳥!」という気持ちで過ごしています。
また、両家顔合わせの際、私の両親は「失礼ながら、私たちはまったく無知なので、そちらの文化やライフスタイルを教えていただきたい」と切り出しました。今では何度となく食事を共にしたり、父親同士で呑みに出たりと、とても仲良くしています。そのことからも、もし今後、在日の方と関わる機会があっても身構えずに「一から知る」ことを実践いただきたいと思います。

パートナーとのエピソードで印象深いものはありますか?
――学生時代にふたりで歩いていた時に、在日に対するヘイトスピーチの団体に出くわしたことがあります。その時に私は妻が傷つかないように、できるだけ気を逸らそうと四苦八苦しました。
 しかし、後で妻が、「またあんなことしてたね~」なんて、軽く話題に出したので、彼女はそういう行為も受け止めたうえで気に留めない強さを持っているのだと感じました。と同時に、何もできなかった自分の非力さにも気づきました。

ヘイトスピーチ解消法が施行されたことなどもあり、私は今までそのような現場に遭遇したことがありません。西嶋さんご夫妻の周囲では昔と今で何か変化はありますか?
――私は、妻が在日朝鮮人三世であることを日頃から周囲に話しています。そのことについて、今まで周囲から非難されたことは一度もなく、むしろ知りたがる人がほとんどです。
 最近では韓流ブームやK-POPが知られるようにもなり、若い人を筆頭に理解しようとしている日本人が増えてきたように感じています。


質問する受講生の様子


西嶋優太氏

 この他にもたくさんの質問に答えていただき、受講生からは「西嶋さんのご両親のように、知らないので教えてほしいと素直に伝える姿勢が大事だと思いました」、「西嶋さんがパートナーのことをお話されている間、ずっと幸せそうだったので、日本人・在日ということだけに固執せずに当人同士が互いを認め合うことが重要だと思いました」などと、感想が述べられました。
 これに対して、西嶋氏からは「熱い想いをもって聴いてもらって大変うれしく思います。今回は授業の一環でしたが、今回のような会話が日常に交わされる世の中になることを望んでいます」と締めくくってくださいました。

 前週は、在日朝鮮人二世である呉光現氏にお話を伺いましたが、今回、受講生らは一・二世の方と三・四世の方やその方々と関係の深い方との間で向き合っている課題において、共通するところだけではなく、違いも少し感じたかもしれません。

 本プロジェクトでは、引き続き、在日の方や在日の方と接する方々とのオンラインインタビューを予定されています。さまざまなお話を聴いて、受講生らがどのように思考し、変化していくのかが楽しみです。

社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。