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2020.06.25

平和の大切さについて学びました(経営学部フレッシャーズゼミ 担当:細川)

 6月24日(水)のフレッシャーズゼミ(対象は1年生)で、村上敏明さんをオンラインでお招きし「『僕は母と妹を殺した』 70 年間語ることができなかった記憶を今、語る理由」のテーマでお話しいただきました。前日(23日)は沖縄の「慰霊の日」であり、村上さんは、沖縄の高校生が朗読した平和の詩「あなたがあの時」にも言及されました。
 村上さんは、1938年に満州(現在の中国東北地方)に家族とともに移り住みました。敗戦の色が濃くなって、1945年には政府による「棄兵・棄民」が採られるようになり、8月9日にはソ連軍が満州に侵攻してきました。「軍隊は住民を守らぬものなりし 満洲を見よ 沖縄を見よ」(加津牟根夫)の歌が紹介されました。
 戦争の翌年になって、母と弟妹と一緒に日本への引き揚げることになりましたが、苦難の連続でした。現地を出発する前に、命令されて妹(当時1歳)に毒薬を飲ませたのです。そして、葫蘆島(引き揚げ船の出発地)の病院では、病気の母にいつものように薬を飲ませると、泡をふいて亡くなってしまいました。
残された兄弟3人で何とか日本に引き揚げてきました(1人の弟は帰国後すぐに亡くなりました)。村上さんは「妹の死から帰郷までのほとんどの記憶は消え去っている」と話されました。
 最後に、「再び過ちを犯さないで。母と妹の遺言・戦争は絶対止めなさい! この頃母と妹のことばがキビシイ叱咤となる」との思いを吐露されました。そして、「僕らの世代が戦中・戦後の体験を語り継ぐこと、そして若い人たちに戦争の真実・非情を伝える。さらに大きな声で僕は語り続けます」との決意を表明されました。

 以下は、学生たちの感想の抜粋です。

・日本ではなく、満州で生活されていた方のお話を聞くのは初めてでした。大学受験で日本史を勉強しましたが、満州にいた方がどのような生活をされていたかなど、全く知らなかったのですごく勉強になりました。
・このような戦争を直接経験された話を聞けることはすごく貴重な体験だと思いました。教科書や授業などでは学ぶことのできないリアルな面も多かったです。戦争を経験していない人々がほとんどなのでこのような話をしっかり心に留めて、つないでいかないといけないと思いました。
・集団自殺や、兵によって家族が殺されてしまったという話は聞いたことがありましたが、村上さんのように自分の手によって家族を失ってしまったというお話を聞いてすごく胸が苦しくなりました。私たちには想像しても感じきれない苦しさがあったと思います。
・今では戦争に直接駆り出された方のお話を聞く機会はなくなり、子供のときに経験された方のお話を聞くのみになってしまいました。前線にいない方の経験でも恐ろしく、辛いものなので実際に戦った方たちは何を思って、どのような経験をしたのか直接聞けないのが残念でなりません。このようなお話を聞くことで、戦争は繰り返してはいけないものだと再び強く思わされました。

【資料】ジャーナリストの伊藤詩織さんが村上敏明さんを取材された映像をご紹介します。https://creators.yahoo.co.jp/itoshiori/0200040539

(文責:細川孝)


ご講演頂いた村上敏明さん