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2020.08.24

都市、農村、他国、働き方 -- 直面する状況から With/After コロナを考えるオンライン意見交換会 Zoom開催【LORC】

2020年8月4日(火)、オンライン (ZOOM)にて公開ラウンドテーブル「With/After コロナを考えるー包摂的発展を可能にする新たなエコシステムの創出をめざして」が開催されました。
本研究会では、LORC研究員から計14件が報告されました。報告プログラムは以下の通りです。

【報告プログラム】
1. コロナ禍中の「対話と議論」の環境と条件/土山希美枝(政策学部・教授/LORC副センター長)
2. 域学連携のための新たなツールとしての可能性/石倉研(政策学部・講師)
3. コロナ禍の兵庫-第三者から当事者へ/宮﨑友里(LORC・博士研究員)
4. リーダーの談話分析-リスクコミュニケーションの観点から/村田和代(政策学部・教授、LORCセンター長)
5. ポストコロナ-移住促進で農村は再生されるか?/大石尚子(政策学部・准教授)
6. 新コロナ時代の労働政治の展望/安周永(政策学部・准教授)
7. インクルーシブメディア研究領域からの近況報告-コロナ禍で記者たちが声を挙げた「ジャーナリズム信頼回復のための6つの提言」/松浦さと子(政策学部・教授)
8. COVID-19に対するニュージーランド政府・市民社会の支援/石原凌河(政策学部・准教授)
9. コロナショックによる飲食店の影響を可視化する「コロナ復興カルテ」の作成/石原凌河(政策学部・准教授)
10. いまこそ企業のCSRが活かされるとき-コロナ禍における新しい産学連携型授業の一事例/中森孝文(政策学部・教授)
11. ポストコロナ社会における包摂と排除の相克-「ポピュリズム」を乗り越えるために/石田徹(LORC・研究フェロー)
12. Covid-19は都市空間を変えるか?-都市の根源的な魅力としての「高密度」と社会的距離の悩ましい関係/阿部大輔(政策学部・教授)
13. NPOの現場から見るコロナ禍/深尾昌峰(政策学部・教授)
14. with/afterコロナの「都市の「かたち」」-欧米からの報告/矢作弘(LORC・研究フェロー)

【報告内容】
多様な専門領域から、コロナ禍の社会的課題に関する報告がなされ、以下の点が検討されました。
①非集合で間接対面による話し合い媒体としてのICT利用(ZOOM等のオンラインでのやりとり)の限界点と可能性
非集合におけるICT利用は、集合して直接対面によるコミュニケーションの完全な互換とはならないことが報告されました。ZOOM等のコミュニケーションソフトウェアを使ったやりとりは、距離的制約がないこと、チャットや資料共有を用いた伝達手段が豊富にあることなど新たなツールとしての可能性が期待されています。その一方で、域学・産学連携に際してゼロから関係性を構築していく際に、多くの課題に直面していることが指摘されました。

②社会課題に対する既存の方法論、アプローチに修正を加える必要性
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大によって「社会的距離」を確保するためにあらゆる社会課題に対するアプローチが見直されつつあります。これまでNPOの現場における虐待のケア、貧困世帯への対人支援の方法論は「近づく」ことでした。しかし、こうしたアプローチには感染リスクが伴います。支援のために実施しなければならないことと、リスクヘッジのバランスを再考し、新たな支援技術を確立させなければならないことが深尾昌峰教授から提示されました。

③コロナ対策によって生じる新たな社会問題
都市計画の観点からは阿部大輔教授によって報告されました。社会的距離の確保のための密度の分散化には妥当性が認められています。しかし、それは移動の選択肢に不自由しない人にとって不都合はないが、他方で、移動の選択肢を持たない人々はリスクにさらされたままになる懸念があると指摘されました。


世界規模のパンデミックによって、各研究領域から多くの社会課題が顕在化しました。ポストコロナ時代には多くの社会的制約を内包したまま、これらの社会課題へアプローチを継続しなければなりません。
「人類共通の脅威であり、克服すべき感染症」として、人々は新型コロナウィルスとの共存を模索しています。LORCでは、新型コロナウィルス感染症に伴う社会的課題にどう対峙(against)し、どう制御(control)していくかを検討してきます。