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2020.09.11

グローバル・アフェアーズ研究員 清水耕介教授(国際学部)の論文がアメリカ国際政治学会のSSCIジャーナルに掲載されました【グローバル・アフェアーズ研究センター】

グローバル・アフェアーズ研究センター(Global Affairs Research Center: GARC)では、グローバルかつ、分野横断的な視座から現代の多文化社会、平和構築、紛争解決などの諸問題にアプローチすることを目指して研究をしています。
近年では、仏教学との対話を通じて「主体」や「関係性」の概念を再検討する事も研究課題の一つとしています。

今回、GARCのメンバーである国際学部清水教授の国際共著論文が、International Studies Perspective (アメリカ国際政治学会のSSCIジャーナル)に掲載されました。
今回の研究成果はガラパゴスで開かれた国際ワークショップで報告されたもので、それが短い論文を集めたフォーラムの形で掲載されました。


ガラパゴスで開かれた国際ワークショップでは、各国の国際関係理論を研究している研究者が集まり、「主体」と「関係性」について、1対1の関係だけではなく、多数の関係性全体を考慮する必要があるとし、それらの「関係性」が「主体」の構築に影響を及ぼしているのではないかという認識で、様々な研究発表がされたそうです。

清水教授は、今回この関係性理論に仏教哲学の思想を取り入れており、その関係性は所与でなく起きる(縁起)ものではないか、ただしこの考え方が濫用されると非常に危ないという視点で発表しています。


すべての事は様々な条件のもとに成り立っています。例えば、植物を育てるのに種を蒔いただけでは育ちません。水や肥料を与えたり、また日光や土も大切です。また動物が掘り返したり、大雨で種が流されたりと、芽がでるのを邪魔するものがいても育ちません。すべて色々な条件があって植物は育つのです。


 しかし、私たちは往々にして「私が世話をしたから芽が出て育ったのだ」と思いがちです。
 日本の思想の歴史においても、京都学派と呼ばれる哲学グループの中の一部の世代は「日本は素晴らしい、他国も日本を見習うべきだ。」として帝国主義をサポートし、戦争を容認してしまったという過去があります。

いかに「主体」が自分たちの考えを固定化せず、常に柔軟にものを考えるかというのは、非常に難しいことだと清水教授は強調します。
世界の国家間関係が不安定な状況にありながら、なおかつ戦争が起きない状態にするにはどうすればいいのかを考えるのがこの研究の目的であり、まだまだ研究途中です



「日本はすごいでしょう」とならないように、自省利他の精神を忘れずに皆さんも世界を目指してほしい、そして世界に認めてもらえる人材になるには、まず「ここ」というときに「勇気」をもって一歩踏み出すこと、学生の皆さんにもぜひ、日々の中にある「ここ」を見逃さず、それに向かう「勇気」もって生活を送ってほしいと清水教授は熱く語りました