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2020.11.02

【院生の活躍】ワカゾー流デスカフェにて、『死生観光トランプ』を制作(実践真宗学研究科修了生、院生)【文学部】【実践真宗学研究科】

 大学院実践真宗学研究科では、学内外で様々な活動を行っています。院生の活動とはどのようなものなのか、その一端を紹介するために、実践真宗学研究科修了生 藤井一葉さん(2013年度修了生)、院生 小野優菜さん 小島かるなさんから紹介いただきました。

 死について語る「デスカフェ」にて、『死生観光トランプ』を制作されました。また、「多くの方に死について考える機会をもってほしい」という強い想いから、クラウドファンディングを実施されすぐに目標を達成されました。一人でも多くの方に、この『死生観光トランプ』について知ってほしい。日常に「死」がじんわりと溶けこみ、遊ぶように死について考えることができるようになればと制作されました。制作にかかわったみなさんのコメントをご覧ください。
『死生観光トランプ』は、無料でダウンロードできますので、手に取ってみていただければと存じます。


実践真宗学研究科修了生 藤井一葉さん(ワカゾーメンバー、2013年度修了生)より

ー死について語る「デスカフェ」と若手僧侶の挑戦

お寺の空間・人材・教えを活かし、社会に対して「何か」できないだろうかと集まった若手僧侶グループ「ワカゾー」。ワカゾーでは、私にも皆にも、すべての人々に必ずおとずれる「死」について「もっと気軽に喋れる場所があってもいいじゃん!?」という想いの元、死についてお寺で語らう『Deathカフェ』を始めました。これまでに50回以上を 開催し、全体でのべ540名以上の方にご参加いただきました。

Deathカフェを続けて5年「もう少し日常にそっと死を混ぜ込めないのかな⋯⋯?」と考え始めました。そして遂に、観光家/コモンズ・デザイナー/社会実験者の陸奥賢(むつさとし)さんたちと共に死生観に光をあてた「死生観光トランプ」を作りあげました。このトランプ は、世界各国の様々な死生観をモチーフとしており、それぞれの絵柄をお坊さんや仏教を愛する方々14名にトランプの絵柄を描いてもらい、死生観を表現するキャッチコピーを付しています。トランプで遊ぶことで、自然と死についてカジュアルに語り合えること願って制作しました。


ー「当たり前」と向き合うこととの連続

トランプの制作を通して、企画の枠を越えた関わりが生まれたように感じています。 死生観という私たちの根っこのテーマで制作したこともあり、描いてくださる絵柄やキャッチコピーには、担当者それぞれの想いがたっぷりと表現されています。 だからこそ、編集を担当した私としては、より丁寧に、大切に向き合いながら制作を進めなくては、と感じる場面が多かったです。

また、私の「当たり前」という感覚がいかに頼りないものであるのかと痛感しました。動物を描いてもらう絵柄では、私は猫や犬が描かれると思いきや、全く違った動物の絵があがってきたり、「のんびりした雰囲気でお願いします」というざっくりしたオーダーに対して「のんびり」の感覚がどんなものかをイラストレーターと話し合ったり⋯⋯。私の当たり前と向き合いながら、関わってくださる方との細かなコミュニケーションの連続だったと思います。それはまた、これまでにはあまり気にも留めなかったことと、向き合いながらの制作でした。一見すると、気にも留めないような小さなことの積み重ねが、企画をつくりあげているのだと改めて痛感したことでした。

「54枚のトランプ」の一枚一枚がそれぞれに物語、死生観、描き手の想いが表現されています。死生観という大きなことですが、トランプに描かれる死生観は、世界に存在する、また存在していた「誰か」の「死」に対する想いや経験から始まっていると思います。実際には、であったことのない「誰か」の生きてきた、また死に向かっていった証ともいえるかもしれません。
トランプで遊んでいるうちにもしかすると、よくわからない死生観にであうかもしれません。それも含めて、様々な死生観にふれていただき、世界中を巡ってみてください。

URL ワカゾー流デスカフェ
URL 『死生観光トランプ』を制作して死を考えたい
URL 死生観光トランプ


大学院実践真宗学研究科 小野優菜さん

小野優菜さん(大学院実践真宗学研究科3年生)
 私はもともと絵を見たり描いたりするのが好きだったので、このお話をいただいたときはとても嬉しかったです。
「死生観」というと、第一印象とっつきにくい印象になるのではないかと思ったので、ポップで親しみやすいものを意識して描きました。
しかし完成したトランプを見てまず思ったのは、わくわくするトランプだなと思いました。遊びの用途だけでなく、読むと知識も増えますし、他にはどんなことが書いてあるんだろうと興味がわくなあ、と。さらに書いてあることは普段あまり考えることのない「死」です。そこがこのトランプならではのところかなと思います。
私自身も、世界の死生観にはええ!?そんなことするの!?と思う部分もあり、その地域の方の生活を考えながらイラストを描くことで、新鮮に「死」また「生」を考えることができました。


大学院実践真宗学研究科 小島かるなさん

小島かるなさん(大学院実践真宗学研究科2年生)
 死生観光トランプの企画について伺ったときは、聞いたこともないアイデアに驚き、早く私も遊びたいというわくわくした気持ちでいっぱいでした。
ただ描き進めるうちに、死生観をイラストにするということの難しさ、面白さを感じました。
死生観は、その国や土地の人々のおもいがどう形としてあらわれ、受け継がれ、文化が生まれ、そして変化していくかという、物語でもあるような気がして、死生観をイラストを描くということは、一場面を通してその物語のなかの雰囲気や生活する人々の息遣いまでも伝える役割を担っているのではないかと思ったからです。
そんなことができたかはわかりませんが、私自身がその物語のなかに入って、色んな死生観光を体験しつつ、また自分の死生観にかえって考えるきっかけを与えられたような気がしました。他の方のイラストも本当に素敵で、早くたくさんの方に死生観光に行ってもらいたいと思います。