Need Help?

News

ニュース

2020.10.29

先端理工学部 内田欣吾教授らが光照射で結晶相転位を誘起し急速に形状変化する結晶システムを開発し、英国王立化学会「Chemical Science」誌に掲載【研究部・先端理工学部】

 先端理工学部 内田欣吾 教授の研究グループは、光に応答する有機結晶の研究を行っており、光照射で結晶が急速に屈曲する現象のメカニズムを解明しました。この結晶に紫外光を照射すると、光源から離れるように僅かに屈曲した後、今度は逆に光源側に劇的に大きく曲がります。この時に「マルテンサイト転位」と呼ばれる相転移がおこり、非常に大きな形状変化が急速に進行します。大きく曲がった状態に可視光を照射すると、もと来た軌跡を戻るように大きく変動し、直前の光源から僅かに離れる位置に一度着いた後、最初の直線状に戻りました。

 

 内田研究室では、このように大きな動きを誘起するマルテンサイト転位を光で制御でき、その形状変化が劇的に急速に進行することを見出しました。この開発は、光で遠隔操作できるソフトロボットへの応用も期待できるとともに、今後、分子構造を変えることでさらに複雑な動きや、形状変化する結晶システムの開発が期待できます。

 

 本研究に関する論文は、英国王立化学会の旗艦誌であるChemical Scienceにオンライン掲載されました。

 

 

【論文掲載情報】

雑 誌 名:

 Chemical Science

 (インパクトファクター:9.346 2019年)

 

論 文 名:

 Photoinduced swing of a diarylethene thin broad sword shaped crystal, A study on the detailed mechanism

(ジアリールエテンの薄いブロードソード(幅広剣)型結晶の光誘起スイング、詳細なメカニズムに関する研究)

 

著 者 名:

藤本朱子(龍谷大学理工学研究科修了生)

藤永典子(龍谷大学理工学研究科修了生)

西村 涼(龍谷大学/日本学術振興会特別研究員)

波多野絵理(龍谷大学理工学研究科修了生)

河野瑠菜(龍谷大学理工学研究科)

永井 聖(龍谷大学理工学研究科)

関根あき子(東京工業大学)

服部陽平(龍谷大学)

小島優子(三菱ケミカル)

安田伸広(SPring-8/JASRI)

森本正和(立教大学)

横島 智(東京薬科大学)

中村振一郎(理化学研究所)

Ben L. Feringa (Groningen大学、オランダ)

内田欣吾(龍谷大学)

 

 

 

 

 

※ニュースリリースはこちらからご確認ください。