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2020.11.17

京都弁護士会 公害・環境委員会 第73期選択型実務修習(自然保護部会) 開催【里山学研究センター】

2020年11月5日開催

<京都弁護士会 公害・環境委員会 第73期選択型実務修習(自然保護部会)開催>

日時:2020年11月5日(木)10:00~16:30(龍谷大学瀬田学舎9号館2階大会議室・「龍谷の森」)

第1レクチャー:「里山」という問題 持続可能社会のための課題
         村澤 真保呂氏(社会学部・教授)
第2レクチャー:森林資源の所有と管理
         牛尾 洋也氏(法学部・教授)
第3レクチャー:森林の過剰利用と過少利用
         林 珠乃氏(先端理工学部・実験講師)
第4レクチャー:里山の歴史と現状
         宮浦 富保氏(先端理工学部・教授)
第5レクチャー:「龍谷の森」での実地研修
         太田 真人氏(里山学研究センター・博士研究員)
意見交換会

「森のある大学 龍谷大学里山学研究センター」は、京都弁護士会の依頼を受け、環境問題や持続可能社会の学習を目的に、第73期司法修習生の実務修習を開催しました。本実務修習には、本研究センターの研究員6名、司法修習生4名、弁護士4名の計14名が参加しました。

村澤教授(第1レクチャー担当)は、持続可能社会に向けた人類的課題を主題として、COVID-19(新型コロナウィルス)をめぐって欧米の知識人で広まるWake-Up Callというスローガンを事例として取り上げ、自然環境と社会環境の持続可能性の限界が近づいていることをさまざまなデータにもとづいて説明しました。また都市化の歴史を概括し、都市化の影響を強く受けた現代の若者の心理テストの結果を示し、持続可能社会に向けた課題を整理しました。

牛尾教授(第2レクチャー担当)は、日本の森林資源の利用と管理をめぐる課題を法的観点から理解することを主題として、日本における森林問題(過剰・過少利用、放置林、所有者不明土地問題、拡大造林、森林資源の推移、木造住宅と空き家問題など)や森林関連の法的課題(森林法、森林経営管理法など)、西欧(ドイツ、オーストラリア、イギリス)の森林利用の現状について、データを示しながら概説しました。

林講師(第3レクチャー担当)は、森林をめぐる地球的課題を考えることを主題として、世界地図(衛星画像)を通して人間による森林の利用状況を解説したうえで、先進諸国の過少利用と途上国の過剰利用が表裏一体であることを示し、具体的事例としてマラウイ湖国立公園における森林の状況と住民の生活環境を報告しました。

宮浦教授(第4レクチャー担当)は、日本の里山利用の問題を考えることを主題として、「アカマツ」、「コナラ」、「クヌギ」といった里山の樹木の生態的機能を取り上げ、歴史的な経緯をふまえて現状と課題を報告しました。。さらに近年の課題として「アカマツの衰退」、「ナラ枯れの拡大」、「タケの大繁殖」、「鳥獣問題」の発生メカニズムを紹介しました。


「龍谷の森」で栽培している椎茸

太田研究員(第5レクチャー(実地研修))は、「龍谷の森」で実地研修をおこないました。司法修習生たちは太田氏の解説のもと森林生態系の実態を学び、また森林観測タワーに登頂して「龍谷の森」を一望しました。
意見交換会では、村澤センター長の司会進行のもと活発な質疑が交わされました。