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2020.11.13

【LORC】人材育成研究ユニット長の大石尚子先生による研究会が開催されました

LORC人材育成研究ユニット長の大石尚子先生による研究会が開催されました。

【研究会タイトル】第5回日伊農業・農村イノベーション研究会
【日時】11月6日(金)18時00分~20時10分
【場所】Zoomによるオンライン&和顔館4階会議室2

研究会では、龍谷大学LORC研究フェローの高橋進先生をお招きし、以下のテーマで発表いただきました。

テーマ「コロナ禍とイタリア政治―国会議員3分の1削減の国民投票と州知事選挙が示すもの」

報告では、欧州では初期にコロナウィルスの急速な感染拡大を経験したイタリアにおける国民生活への影響を踏まえ、国民の政治家や政党への信頼度の変化について統計データをもとに紹介がなされました。そこでは、コンテ首相への信頼度は上昇し、政府への信頼度が減少したこと、これはイタリアの国民性として一般的に政府への信頼度の低さが表れた結果であると説明がなされました。

次に、2020年9月21、22日に実施された上下両院議員3分の1削減の憲法改正国民投票結果として、地域ごとの削減反対の割合では、北部、人口の多い地域および富裕層の居住する地域で多く、南部、人口の少ない地域、貧困層の居住する地域では少なかったこと、政党支持別では貧困層の支持者の多い五つ星運動支持者の96%が削減賛成に投票したことが紹介されました。

6州の知事選挙については、支持政党別の投票行動の特徴が紹介され、2005年〜2020年では、トスカーナ州では、中道左派は2015年レベルまで回復し、マルケ州では五つ星運動(M5S)の躍進があったこと、南部のカンパーニア州では中道左派が五つ星運動を食いつぶし圧勝し、プーリア州では中道左派が右派に辛勝した状況が統計データをもとに紹介されました。また10年単位で見れば、政党支持の状況は5年ほど前の状況に戻ってきていると分析がなされました。

ポストコロナの経済危機克服へのEUの対応評価について、国民の7割が肯定的な評価を下しているなかで、注目すべきは反EUを掲げた五つ星運動の支持層の半数が肯定的評価を行っていることであるとの説明がなされました。また、現在の連立政党の支持層が今後の連立を支持しており、EUの復興基金を肯定的に評価していることが示されました。
また、直近のコロナウィルス感染拡大対策として、国内の経済活動への新規規制計画導入へ市民の反発が広がっているなかで、国民が考える政策の優先度では保健衛生への投資増への賛成がコロナの影響で増加していることが示されました。

発表後のディスカッションでは、イタリアにおける政党の動態、政治的立場に関する質疑のほか、コロナウィルス感染者への日本とイタリアの捉え方の違いとして、日本での感染した個人のバッシングに流れる傾向に対し、イタリアでは社会団体の強さ、助け合いの精神から一種の災害として捉える傾向が強いことが指摘されました。