2020.11.27
龍谷大学×リードテクノ株式会社 産学連携により「新たな圧電性能評価システム」を開発しました!
リードテクノ株式会社が龍谷大学先端理工学部応用化学課程 和田隆博教授との産学連携により、「新たな圧電性能評価システム」を開発しました。
産学連携の成果が結実
リードテクノ株式会社(早野修二代表取締役)は龍谷エクステンションセンター(REC)レンタルラボに入居し、先端理工学部応用化学課程の和田隆博教授と産学連携を行いながら、圧電材料・デバイスに関する研究開発に取り組んできました。
今回、新たに圧電性能評価システムを開発・製品化に成功。インライン上で薄膜の圧電素子の性能評価が簡便にできる、従来とはまったく異なる発想から生まれたテスターとして、半導体メーカーなどから注目を集めています。
身の回りに使われている圧電技術
圧電体に圧力を加えると電圧(電荷)が発生する現象を正圧電効果、その反対に電圧を印加すると変形する現象を逆圧電効果といい、例えばライターやガスコンロ、スピーカー、インクジェットプリンターなど、私たちの身の回りの製品に幅広く応用されています。
一方で、材料となるセラミックスの圧電特性を評価する場合、試験片を規定のサイズに小さく加工し、力を加えることで圧電特性を測定する方法が採られています。しかし近年、電子部品の小型化・高集積化に伴い、圧電材料が従来のセラミックスから厚さ1ミクロンほどの薄膜へと移行する中、より繊細で正確な評価方法が市場から望まれるようになりました。
インライン上で測定できる性能評価システム
今回、RECレンタルラボを中心とした産学連携で生まれた新しい性能評価システムは、ボイスコイルモーター等を使って試料を細かく振動させ、発生する電気的な周波数特性から圧電効果の大きさを表す圧電定数(d33)を測定するという仕組み。従来のように材料を加工したり電極を塗布する必要がなく、簡便に測定できるため、セラミックスだけでなく、薄膜や高分子膜などの柔らかい圧電材料でも試料を損傷することなく安全に性能評価できるのが魅力です。2019年には1号機の製品が完成し、半導体メーカーに納品を完了するなど、全国から注文や問い合わせが舞い込んでいます。
今、圧電材料は大きく進化しつつありますが、材料そのものの性能を正しく評価するシステムが十分に確立されていなかったため、これまでは最終的な製品に近い一つ一つの素子の状態で機能や特性をチェックするしかありませんでした。本評価システムを使えば、ウエハー基板上に作製した多数の圧電素子を工程途中のウエハー状態で直接に測定することが可能となり、圧電材料の品質や生産効率を向上させることにもつながります。圧電フィルムなど最先端の材料にも対応可能で、その活用の領域はますます広がっていくでしょう。今後、RECレンタルラボから生まれた技術や製品が世の中にイノベーションを巻き起こす原動力になっていくかもしれません。