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2020.12.08

(学生+地域)×ハイフレックス授業=これからの大学授業構築に向けて【社会学部】

社会学部の提供科目「コミュニティ論」(担当教員:コミュニティマネジメント学科 坂本清彦准教授)では、地域で活動される方々に参画してもらいながら、新型コロナウィルス感染症拡大の中「対面」と「オンライン」を組み合わせた「ハイフレックス」授業を試行錯誤しながら進めています。


今年度の「コミュニティ論」は、社会学部のモットー「現場主義」を体現すべく、京都市で焼き芋店を経営しながらまちづくりに関わるゲストを招いたり、地域の環境整備や小学校の支援活動などをボランティアで行っているシニアのグループ、滋賀県レイカディア大学(※)同窓会大津支部のメンバーにボランティアとして授業参加してもらったりしています。

特にボランティアの方々は、新型コロナウィルス感染防止の観点から基本的にオンラインで授業に参加し、支部の地域活動を紹介するなど、学生のグループワークの補助を務めてくれたりしています。学期終盤には、学生たちは課題の一環でメンバーへの聞き取りを行い、状況に応じて地域ボランティア活動を見学するなどして、「コミュニティ活動の現場」を少しでもリアルに学んでもらうことになります。人生経験豊かで、若い世代との交流を通じて積極的に学ぼうとするシニアの方々からお話を聞く機会は学生にとっては大変貴重であり、非常に好評です。


京都で焼き芋屋を経営しながらまちづくりにも関わる竹村知紘さんをゲストにお招きした講義。
講義の模様はアシスタントがオンラインで同時配信している。


学外ボランティアとして授業に参画している滋賀県レイカディア大学同窓会大津支部の方々

この授業は対面授業を基本としながら、学外ボランティアと受講生がスケジュールや体調にあわせて安全に授業参加できるよう、リアルタイム・双方向のやり取りを含むいわゆる「ハイフレックス(Hybrid-Flexible)」授業を試行的に展開しています。教室内外にいる受講生とボランティアを交えたグループワークを行っている他、講義は録画してオンデマンド視聴できるようにし、さらに授業用資料やノートをクラウドを活用してやり取りするなど、オンラインの即時性や柔軟性を活かした授業を試みています。他方で授業の完全オンライン化はせず、自然豊かな瀬田キャンパスで、他の学生との「リアル」な学修交流を含めたキャンパスライフも楽しんでもらいたいと考えています。


このようなハイフレックス授業には、オンラインアプリケーションの操作、クラウドでの資料準備、さらに外部ボランティアの方々との調整などに多くの労力を必要とし、教員一人での実施は極めて困難です。今般の新型コロナウィルス感染拡大を踏まえて、学生アシスタントの活用を進めるなどの学修支援制度の拡充がなければ、こうした授業展開はまず不可能と考えています。通常の授業と大きく異なる試行錯誤の授業の進め方に対し、受講生からは好意的な評価と合わせて、戸惑いや不安の声も上がりました。

困難や課題点はありますが、学生や外部ボランティアの意見・アドバイスを取り入れつつ、技術面や授業展開を少しずつ改善してきた結果、徐々に授業の進行もスムーズに進むようになってきました。まだまだ改善すべき点は多くありますが、何より学生も学外ボランティアの方々も柔軟に授業参加できることは大きな強みになると思います。学生たちが教室外の「地域現場」とのつながりを強め、授業テーマの「コミュニティ」についてより深く学べるという利点は授業に関わる者にとって代えがたい利点であり、これからの大学授業を構築していく上でのヒントを提示できればと考えています。


滋賀県レイカディア大学
シニアの方々が会社や地域での肩書を外して、演習やクラブ活動を通じて地域活動につながる知識やスキルを学ぶ学滋賀県が運営する学校。
卒業生が滋賀県各地に同窓会支部を設置して、地域の環境整備や学校の支援活動などボランティア活動を展開している。