Need Help?

News

ニュース

2020.12.09

【メディア掲載情報】『仏教タイムス』(11月26日号)に掲載されました

「龍谷大学 ジェンダーと宗教研究センター創設シンポ ジェンダー視点 社会変革のカギに」という見出しで本センターのシンポジウムについて紹介いただきました。仏教タイムス社様から転載の許可をいただきましたので以下本文を掲載いたします。
----
 龍谷大学ジェンダーと宗教研究センター(GRRC)は6日、オンラインによる創設記念シンポジウム「誰ひとりとしてとり残さない―ジェンダーと宗教の視点から」を開催した。同大が推奨する「仏教SDGs」の一翼として今年4月に発足したGRRC。ジェンダーと宗教研究が果たす役割について議論した。約500人が参加した。

 基調講演は京都女子大学で初の女性学長となった竹安栄子氏。ジェンダーに基づく社会的な差異として、男女の所得格差などから不公平・不平等な立場に置かれる女性の現状を解説。女性の就労率、平均賃金、管理職比率を高めることで出生率が向上した諸外国の事例を紹介した上で、高齢化率の急激な上昇や労働人口が減少する日本は「ジェンダー平等の実現を最も必要としている国の一つ」と位置づけた。

 ジェンダーギャップ指数で日本が世界121位となっている大きな要因に「政治領域」があるとし、120カ国以上が導入する「ジェンダー・クオータ(割当制)」導入を提言。「多様な社会経験をもつ者が集まり熟議することで民主主義が活性化する。意思決定におけるジェンダー格差の解消は、単なる理念ではなく、持続可能な社会のためにきわめて重要だ」と強調した。伝統仏教界における宗会議員、宗務所職員の男女比率から「圧倒的男性優位の構造」があるとしたうえで、GRRCには「宗門組織における女性参画推進に向けての議論開始」「女性人材の養成」「ジェンダー視点を導入し普及する活動」を提案した。

 続いてGRRCユニット2リーダーの猪瀬優理・龍谷大学准教授と、同研究員の川橋範子氏が提言。猪瀬氏はジェンダーや宗教が「社会や人の在り方を形作る力をもつ」と解説し、SDGsが「今の社会では、誰一人取り残さない社会ではないため、私たちの社会を変えなければという強い決意が述べられている」と指摘。宗教とジェンダー研究によって「社会を変えていくために何が必要なのかを示していく」と目標を掲げた。

 川橋氏は「寺族女性の不安定な身分」「女性僧侶の地位の低さ」等、不平等な仏教界の現状に言及。「SDGsの理念と仏教には親和性がある」とする言説に対し「SDGsのカギであるジェンダー平等の視点から仏教を問い直すべき」と強調し、「本来的に仏教は平等というが、なぜ現状はそうなっていないかみるべきだ」と苦言を呈した。

 その後の討論では入澤崇・龍谷大学学長が宗会議員の男女比率、教団が内包する差別性を顧みることなく、「(教団が)社会に向けて開かれた、といっても説得力がない」と指摘。GRRCの活動が各教団の変革に結び付くことを期待した。

長年、女性と政治研究を行ってきた竹安学長は「研究は十分に進んでいる。必要なのは実践。現場にいる女性たちは今を変えてほしい、変わる希望を持たせてほしいと叫んでいると思う。過度な期待とは思うが、一歩でも現実が前に進むことをしてほしい」とエールを送った。