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2020.12.15

愛媛大学の学生と研究報告・意見交換をおこないました【社会共生実習】

 「社会共生実習(大学は社会共生に何ができるのか―文化財から“マネー”を創出する―)」(担当教員:社会学科 髙田満彦、猪瀬優理)では、12月4日に愛媛大学の社会共創学部 地域資源マネジメント学科 文化資源マネジメントコースの槙林ゼミに所属している学生と研究報告や意見交換をおこないました。


 まず、本学学生から以下の報告がなされました。
 滋賀県は「国宝・重要文化財 保有ランキング」において、東京、京都、奈良に次ぐ全国4位に位置していながらも、上位3都府県に匹敵するほどの経済効果を生み出していません。そこで、本プロジェクトでは観光業における経済効果が低いということを課題とし、この課題解決のためにさまざまな観光地に赴き調査をおこなっています。
 たとえば京都では、平安神宮、八坂神社、清水寺などに赴き、文化財の見学、観光客の様子、文化財を引き付けるインセンティブ等について調査を行いました。その結果、「文化財の活用」に焦点を当てて観光客誘致に成功している一方で、「文化財の保存」が十分にできておらず、キャパシティ以上に観光客が来ることで交通渋滞や環境公害などが起こるといった「オーバーツーリズム問題」を抱えていることで住民生活も犠牲になっていることがわかりました。
 また、滋賀県長浜では、長浜鉄道スクエアや曳山博物館、大通寺などに赴き、文化財の見学、観光客の様子、文化財を引き付けるインセンティブ等について調査を行いました。黒壁ガラス館をはじめとして「見る・遊ぶ・買う・食べる」を網羅した黒壁スクエアというエリアがあり、地域を巻き込んだイベントなども盛んで観光客や地元住民が集まる賑わいがある一方、ほとんどのお店が18時に閉店し、宿泊施設も少ないため、日帰り滞在に適した観光地となっているということがわかりました。

 滋賀県大津は江戸時代に東海道五十三次の五十三番目にして最大級の宿場町として栄え、最盛期の町割りが100を数えたことから現在も「大津百町(おおつひゃくちょう)」と親しみを込めて呼ばれている中心市街地エリアがあります。同地にも赴き、文化財の見学、観光客の様子、文化財を引き付けるインセンティブ等について調査を行いました。文化財が生活圏に溶け込んでおり落ち着いた雰囲気がある一方で、観光事業と住民の意識がかみ合っていないため「文化財の活用」がうまくできていないということがわかりました。


 これらのフィールドワークの結果をもとに、このフィールドワークから、オーバーツーリズム問題を抱えている京都とは対照的に、大津に求められる観光客はゆったりとした空間を生かしながら少数から多くのマネーを創出する、言うならば「量より質」ではないかという仮説が生まれました。


 愛媛大学の学生からは、愛媛県の上島町・今治市・西条市において取り組まれている行政及び地域住民による文化財の保存活用事業を調べるため、インターネット等を活用しながら町史・村史などの文献調査、市職員への聞き取り調査などをおこなっていることが報告されました。

 それぞれの報告ののち、3チームに分かれての意見交換の場も設けられました。お互いに一歩踏み込んだ質問を交換したり、調査方法や今後の活動予定などを共有したり、とても有意義な時間となりました。



 愛媛大学の学生をご指導なさっている槙林啓介先生からは、今回の場を皮切りに、今後も授業以外でもオンライン環境をうまく利用して学生同士で交流を深め、お互いの研究に相乗効果を生むことができればとのメッセージをいただきました。

 社会共生実習では、2021年1月8日に今年度のプロジェクトが一堂に会する活動報告会が開催されます。
 詳細が決まり次第、公式HP等でご案内いたしますのでぜひご参加ください。



社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。