2020.12.18
西垣泰幸教授の著書が2019年度生活経済学会推薦図書賞を受賞【経済学部・経済学研究科】
この度、経済学部の西垣泰幸教授の著書『地域間ヤードスティック競争の経済学』(日本経済評論社 2017年)が、2019年度生活経済学会推薦図書賞を受賞しました。
本書では、地方公共財理論や補助金の経済効果、租税競争などの、主にティブーモデルに基づき、これまで蓄積されてきた研究成果について、ヤードスティック競争モデルを用いて再検証し、地方財政理論の新たな研究成果を蓄積するとともに、分析のための新たな基盤的モデルの進展に貢献することを目的としています。
【受賞にあたっての西垣教授のコメント】
長年の研究成果に評価をいただいて、大変ありがたく思います。この研究は、本学社会科学研究所の研究資金や科学研究費の支援をいただいて、日ごろ私と共同研究をともにするグループにも支えられ進めてきたものです。また、刊行に当たっては本学出版助成をいただいております。ご支援いただいた多くの方々に、お礼を申し上げます。
ヤードスティック競争とは?
これまで財政理論においては、住民が各市町の公共財・サービスを含めて居住地域をすることにより、自治体間に政策競争が生じ、地方財政の効率化が進むと考えられてきた(足による投票理論)。ところが、情報の経済理論やゲーム理論の進展に伴い、住民の財政に対する情報が不完全で、地方政府のモラルハザードやレントシーキングなどの懸念が指摘されるようになった。ヤードスティック競争は、比較可能な近隣自治体とのパフォーマンス比較を、首長や議会の選挙に生かすことにより、このような問題を回避することを可能にするものである。
〇生活経済学会
市民・生活者の立場から、生活の豊かさ・充実とはなにか、それを実現するための社会・経済的課題はなにかといった問題を、経済学をはじめ、家政学、社会保障論など多くの分野を統合して総合的・学際的に研究する研究者と趣旨に賛同する会員で構成されている。