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2020.12.25

龍谷大学大学院実践真宗学研究科公開シンポジウムを開催しました【文学部】【実践真宗学研究科】

「看護と仏教の連携を求めて 多死社会の終⽣期に看護者と仏教者は何をすべきか」

2020年12月17日(木)、龍谷大学大学院実践真宗学研究科シンポジウム「看護と仏教の連携を求めて 多死社会の終⽣期に看護者と仏教者は何をすべきか」を次のとおり開催しました。

新型コロナウイルス感染防止対策を考慮し、オンライン(ZOOM)にて開催をいたしたところ113名の参加がありました。オンライン開催となりましたが、遠方からでも参加できるメリットもあり、大変充実したシンポジウムになりました。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染、災害や思わぬ事故や病気に遭われ、困難な生活を送っている方々にお見舞いと最前線で働く医療・社会福祉・行政・企業の皆様に、オンライン参加者全員がマイクをオンにして「有難うございます」と感謝の言葉が大きな声で伝えられた後、シンポジウムが開催されました。

実践真宗学研究科は、この世界の苦悩や悲嘆に、宗教がどのように向き合って実践できるのかについて、諸科学と協力しながら教育研究を進める機関として、親鸞聖人の教えを建学の精神とする龍谷大学に、2009年に設置されました。
ナイチンゲールやマザーテレサの姿勢に象徴されるように、看護とキリスト教の宗教的実践は深く結びついています。そこで、2019年、本研究科では、株式会社サフィール代表取締役の河野秀一氏をFD研究会に招き、看護と仏教の連携による人材育成の可能性や死生観教育について考えてきました。河野秀一氏は、北里大学看護学部や全国の病院において看護管理者を支援する研修を積み重ね、看護者と仏教者との連携による死生観教育とケアを推進しておられます。
このシンポジウムは、2019年に開かれた⽇本看護管理学会学術集会「多死社会の終⽣期に看護管理者は何をすべきか」(座長 河野秀一氏)の成果に学び、龍谷大学大宮学舎より配信がされました。

多死社会は、医療現場や在宅で医療・介護に関わるものにとって、多くの「死」に直面する社会です。また、看護者は常に生命と対峙し、倫理観を涵養しなければなりません。医療と介護の連携が求められる現在ですが、その先にある死に関わる人たちとの連携も必要な時代となってきました。看取り時においては、亡くなられた患者のご家族に対するグリーフケアに加え、看護職に対する精神的ケアも必要となるでしょう。

長江弘子先生は、「終生期のケア、それは、健康状態や年齢にかかわらず、死について考える人が最後までその人らしく生きることができるように支援することをめざす」ことであり、そのために「熟考」、よく語りあい、自分をふりかえるプロセスを尊重したいと提言されました。關本翌子先生は、「望ましい死は聞いてみないとわからない。何度も何度も聞く。話し合いをくりかえしおこなうことが大事である」と仰いました。患者様からいただいた言葉に感動して涙があふれました。

那須英勝先生と森田敬史先生は、2021年度から「臨床宗教師研修」とジョイントして、「臨床傾聴士研修」を開設するという発表がありました。

本パネルディスカッションは、「終生期(エンドオブライフケア)」をACP(アドバンス・ケア・プランニング)だけでなく看取り、デスカンファレンスまでと捉え、「周終生期」として考えます。現場で常に「いのち」「死」に関わっている方々をお招きし、看護者と仏教者は今、何をすべきか、何ができるのか、どう連携すべきかを共に考えることができた実りのあるシンポジウムとなりました。

このシンポジウムで共に学びあえた点は、周終生期をどう生きるかについて、いそいでゴールを目指すのではなく、語りあうプロセスを重んじて理解し合うことが重要であることでした。そして、語りあえるコミュニティーやふりかえる場を看護と仏教の連携によって築いていきたいということでした。

次回は、2021年1月13日㈬午後6時から、新春シンポジウム「臨床宗教師研修の闇と光」が開催される予定です。詳細は後日、龍谷大学HPでご案内いたします。感謝を込めて


「看護師への死⽣観教育と医療福祉機関における臨床宗教師の活⽤事例」

鍋島直樹(龍谷大学大学院実践真宗学研究科長 文学部教授 臨床宗教師研修主任)

講師
 長江弘子(東京女子医科大学教授 エンドオブライフケア学会副理事長)
 「患者の生き方を支えるケア・アドバンスケアプランニング
 ~患者意思表明支援の仕組みと人材育成」
 關本翌子(国立がん研究センター中央病院 副看護部長) 
 「看取りとデスカンファレンス」
 鍋島直樹(龍谷大学文学部教授 実践真宗学研究科臨床宗教師研修主任) 
 「看護師への死⽣観教育と医療福祉機関における臨床宗教師の活⽤事例」
座長
 河野秀一(サフィール代表取締役 臨済宗閑栖寺住職 看仏連携研究会代表 
 実践真宗学研究科講師 北里大学看護学部講師 日本看護管理学会評議員)
コメンテーター
 中村陽子(龍谷大学大学院実践真宗学研究科教授・看護師)
 森田敬史(龍谷大学大学院実践真宗学研究科教授・臨床宗教師研修副主任)
 梯妙花(龍谷大学大学院実践真宗学研究科3年生・臨床宗教師研修修了)
修了生と院生の活動紹介「死生観光トランプ」
 小野優菜(龍谷大学大学院実践真宗学研究科3年生・臨床宗教師研修修了)
総合司会
 安武慶哉(龍谷大学大学院実践真宗学研究科2年生)

主催 龍谷大学大学院実践真宗学研究科 龍谷大学世界仏教文化研究センター



総合司会:安武慶哉(龍谷大学大学院実践真宗学研究科院生2年)


コメンテーター: 梯妙花(龍谷大学大学院実践真宗学研究科3年生・臨床宗教師研修修了)


修了生と院生の活動紹介「死生観光トランプ」:小野優菜(龍谷大学大学院実践真宗学研究科3年生・臨床宗教師研修修了)