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2020.12.22

先端理工学部大津研究室がJAXAにて「安全な再突入飛行を目指した将来の宇宙飛行体の研究」を実施しました。

小惑星探査機「はやぶさ」のように、宇宙から地球に帰還するためには、大気圏を飛行する必要があります。その飛行速度は最大で時速40000kmにも達し、音速を大幅に超えた速度で飛行します。その時に飛行体が受ける空気力と空力加熱に耐えるように飛行体を設計する必要があります。本実験では、その飛行環境を模擬できる超音速風洞(写真1)を使った実験を2020年11月16日〜20日にかけてJAXA 宇宙科学研究所 高速気流総合試験設備で本学の学生(写真2)と共に行いました。


超音速風洞(写真1)


実験参加学生(写真2)

実験内容は、再突入カプセル試験模型(写真3)まわりに発生する衝撃波の様子の観察(動画1)と、トーラス形状バルート試験模型(写真4)の飛行中の挙動(動画2)を調べるための実験を行いました。バルートとは、バルーンとパラシュートを組み合わせた造語で、バルーン(風船)のように内部にガスを注入し膨らませることによって、大きくて軽い柔軟構造体を再突入カプセル後方に展開し、空気力を利用して効率良く減速させることで、安全な再突入飛行を目指すための空力デバイスです。実験に使用する模型は、大学内の光造形3Dプリンタを用いて学生自身で作製しました(写真3,4)。


再突入カプセル模型(写真3)

 

 

 

 

 

 


バルート試験模型(写真4)

 

 

 

 

 

 

動画1からは、カプセルのまわりに発生する衝撃波が発生している様子がわかります。この衝撃波の形状によって、飛行体にかかる力が変わります。この衝撃波形状を事前に行ったコンピュータを用いた解析結果と比較し、その解析結果の妥当性の評価などを行い、最適な形状を探し、実際の設計に生かすことを目指しています。

動画2からは、バルートのまわりに発生する衝撃波の形状とその衝撃波によってバルートがどのように変形するかが分かります。バルートが変形することにより、再突入飛行体にかかる力が変わります。バルートの変形の様子が、バルートの形状や内部構造、支持方法などによってどのように変形するか、またどうすれば変形を抑制できるかを風洞実験と数値シミュレーションにより明らかにし、将来の宇宙飛行体の設計に役立てることを目指しています。

本実験では、実際の風洞での作業について研究室の学生にがんばってもらいました(動画3)。これからも、このような貴重な経験を学生にも積んでもらう機会を多く提供したいと思っています。
本研究は、科研費の補助により行われています。

 

 

 

 

 

 

【関連リンク】
■研究関連
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