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2021.01.25

高桑進研究員が京都三山の森に関する文献『京都の森と文化』にて研究成果を掲載【里山学研究センター】

東山の森を守ろう―『ナラ枯れ被害木の薪割り&ウォーク事業』―

 森のある大学 龍谷大学里山学研究センターの高桑進研究員の成果が、京都伝統文化の森推進協議会 編『京都の森と文化』ナカニシヤ出版(2020年)の「第3章 京都・東山の森づくり」の中で「東山の森を守ろう―『ナラ枯れ被害木の薪割り&ウォーク事業』―」と題して掲載されました。 
 
 高桑氏は、東山の森のナラ枯れの対策及びその周知の観点から研究成果を示します。
 東山の森のナラ枯れの対策について、高桑氏は、例えば、環境教育の実践、散策マップの作成をするとともに、放置されていたナラ枯れのコナラを薪として活用するために薪割り作業を行ったこと等に触れた上で、対策をする過程で学生や地域の人々と協働、連携を深めていったことを指摘します。
 東山の森のナラ枯れの周知について、高桑氏は、先ず、東山区民を対象にアンケートを実施したところ、ナラ枯れの存在が知られていないことや、そもそも東山の森を歩いたことがないという回答が想定以上であったことに驚愕します。そこで、高桑氏は、次に、この現況を広く伝えるべく、ボランティアの力でナラ枯れの搬出作業を行う提案をしたこと、この提案に基づいてボランティアを募ったところ多くの市民が参加されたこと、そして、この活動が契機となり、翌年より市民参加の薪割り&ウォークが開催され、ここでも多くの市民が参加し、結果として、東山のナラ枯れが収束したこと等を説明します。
 最後に、高桑氏は、補助金が出ないことを理由にナラ枯れ伐採木材を放置するのではなく、これらの活動のように、知恵を出し、市民や地域と連携し、皆で力を合わせることでナラ枯れの対策が可能であること等、今後の森林整備のあり方や方策を伝えます。



 『京都の森と文化』         
 帯には、山折哲雄氏(宗教学者)の言葉が書かれてます。
 「肝要なのは、何よりも伝統と風土から何を学び、また先人がつみ重ねてきたこの国の
 知恵と工夫をこれからさきの未来にどのようにつなげて行くか、ということだ。」

<高桑進氏のプロフィール>
里山学研究センター研究員、京都女子大学名誉教授
著書に『京都北山 京女の森』(ナカニシヤ出版、2002年)、『森里川湖のくらしと環境―琵琶湖水域圏から観る里山学の展望―』(共著、晃洋書房、2020年)などがある。