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2020.12.01

GARC Webinar Series No.4 開催  「コロナ渦以後を考える:フィリピン人移民、高齢化、そして日本の社会保障」【グローバル・アフェアーズ研究センター】

龍谷大学GARC Webinar シリーズ第4回 「コロナ渦以後を考える:フィリピン人移民、高齢化、そして日本の社会保障」が開催されました。
(日時:2020年11月22日(日) 午後4時〜6時)

報告者:
 カルロス、マリア・レイナルース氏(龍谷大学国際学部 教授)
 杉山・パトリモニオ・カリサ氏(滋賀県国際協会および京都YWCA APT(アプト)相談員、通訳)
 レオナルド・バスコンシリヨ氏とリタ・バスコンシリヨ氏ご夫妻(広島県呉市に在住)
 後藤 美樹さん(外国人ヘルプライン東海 代表、名古屋市役所 相談員、名古屋市フィリピン人移住者センター ボランティアスタッフ)

 今年度のウェビナーシリーズ第4回を在大阪フィリピン総領事館の協力で開催しました。フィリピンから日本への移住の歴史を振り返ると、1980年代のエンターティナーや国際結婚者の増加、そして、1990年後半からのフィリピン残留日本人とその子孫(日系フィリピン人)の来日という二つの波があり、この影響から現在、在住フィリピン人の人口は増加し続け、高齢化が顕著になっています。そのため今回のウェビナーでは、「コロナ禍以後を考える:フィリピン人移民、高齢化、そして日本の社会保障」をテーマとし、在住フィリピン人が老後をどう考えているのか、フィリピンで過ごしたいのかそれとも日本か、どのような準備をしているのだろうかといった疑問について考えました。

 最初に在大阪フィリピン総領事館のマリア・アイリーン・H. ブガリン総領事から開会の挨拶があり、次に龍谷大学のマリア・レイナルース・カルロス氏より、中国地方に住んでいるフィリピン人の老後に関する意識調査の結果報告が行われました。
それによると、調査対象の在日フィリピン人たちの6割以上は、程度は様々ではあるが自分たちの老後の生活に何らかの不安を感じているということ、そして永住者・長期滞在者で6割以上、就労や留学での滞在者で9割以上が、退職後はフィリピンに戻りたいと考えているということでした。特に永住者・長期滞在者の選択は、経済面や健康面での不安、家族との関係、ライフスタイル、そして日本とフィリピン両国における社会状況など様々な要因が関係していると考えられます。そこから、カルロス氏は日本とフィリピン両政府に対し、退職後の社会保障などに関する情報をより積極的に在日外国人に届ける体制が求められることなどを提言されました。

滋賀県国際協会の杉山・カリサ・パトリモニオ氏は自身の来日や日本での仕事、4人の子育てなどの経験と、退職後にどういう計画を考えているのかについてお話いただきました。杉山氏にとって子供達に教育を与えることはとても重要であったが、一方で子供達を老後の「保障」とする考えはなく、自分はフィリピンで新しいことに挑戦したいという希望も語られました。日系フィリピン人のバスコンシリヨご夫妻は、高齢者の立場から老後に対する思いや考えを語ってくれました。そこで、老後に対する準備を強調し、若いうちから年金や保険、貯蓄について考えることを勧められました。

名古屋の外国人ヘルプライン東海の代表、名古屋市役所の相談員、名古屋市のフィリピン人移住者センターのボランティアスタッフを務める後藤美樹氏より、日本の年金制度と、フィリピン人からの相談事例と対応について説明がされました。そこで後藤氏は市役所やNGOなどの相談窓口を紹介し、年金や社会保障などの福祉制度についてわからないことなどは放置せず、早めに相談することが重要だと強調されました。その後、在日フィリピン人の参加者から質問や相談を受け、対応策を皆で検討しました。最後に、在大阪フィリピン総領事館のパトリック・ヒラド副総領事より閉会の言葉があり、第4回のウェビナーは終了しました。


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final March 24 Survey-on-Ageing

※ 第4回のウェビナールの収録画をご覧になりたい方は、GARC事務局までお問い合わせください。
【問合先】galc@ad.ryukoku.ac.jp