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2021.04.09

【LORC】2021年度第1回 全体研究会が開催されました

第1回LORC全体研究会
カルロス・マリア・レイナルース先生(龍谷大学国際学部・教授)による講演がおこなわれました。

研究会タイトル「To return or to stay? Post-retirement intended residential choice of Filipino migrants in Japan: A pilot study」
日時:2021年4月6日(火) 17時00分~18時50分
場所:Zoomによるオンライン

日本に暮らすフィリピン移住労働者が退職後に帰国するか日本に留まるかを
決定する要因や社会背景について検討することを目的に、龍谷大学の
カルロス先生とオタゴ大学のArlene Ozanne先生のお2人にお話頂きました。

本発表ではとくに、①日本に暮らすフィリピン人労働者は退職後の生活について
懸念しているかどうか、②彼ら・彼女らは経済面で退職後の準備、退職後にどこに
住みたいと考えており、その決定に影響を与えている要因は何か、について、
国内でのインタビュー調査の結果を報告していただきました。

退職後の生活について不安を抱いているかどうかについては、回答者のあいだで
大きな差異はみられなかった(多くの人が、あまり不安を抱いていない)ものの、
退職後に日本に残るかフィリピンへ戻りたいかという質問については回答者の職種、
保有するビザの種類、日本の滞在期間の長さ、男女間の差や年齢などによって違い
がみられることが指摘されていました。つぎに、退職後にフィリピンへ暮らしたい
理由を尋ねたところ、経済的な理由、気候、望郷の思い、などが語られました。
一方で、日本に残りたい理由としては日本に暮らす家族、日本の医療制度、
日本国内で形成された人間関係などが挙げられていました。この調査結果をふまえ、
政策への示唆として識字や言語習得のための経済的支援、フィリピンへ帰国する
退職者のためのフィリピン政府による事業支援、退職した移住者への受け入れ国
政府による支援の改善、などが提示されました。

発表の後半ではニュージーランドのオタゴ大学で実施予定であるフィリピン移住
労働者を対象とした調査の展望が示され、日本国内での第2回以降のインタビュー
調査に向けた抱負(定性的な調査の実施やアンケート対象者数の増員など)が述べられました。