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2021.04.26

【LORC】話し合い研究ユニットの公開研究会が開催されました

オンラインにて話し合い研究ユニットの公開研究会が、地域政策学会「イノベーションと話し合い」研究会との共催で開催されました。
研究会では、北海道大学高等教育推進機構准教授の三上直之先生をお招きし、以下のテーマで発表いただきました。

日時:2021年4月22日(木)、18時30分~20時50分
テーマ「完全オンラインによる無作為抽出型の市民会議〜気候市民会議さっぽろ2020の催概要と結果〜」

報告では、近年イギリスやフランスを中心に発達してきた「気候市民会議」を、
札幌市において応用した成果の紹介がされました。気候市民会議は、無作為抽出によって選出された市民が、数週間から数ヶ月かけて気候変動対策について議論するミニパブリックスのことです。
札幌市における気候市民会議は、「札幌市ゼロカーボンシティ宣言」のもと、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにする目標達成のための方策が議題となりました。全4回をオンラインで実施し、取りまとめられた結果は札幌市に提出されました。

会議の結果として、約3分の1の参加者は市の掲げた2050年よりも前段階での温室効果ガス実質排出量ゼロを目指すべきとの考えが示されました。また、脱炭素化に向けた具体策として、住宅メーカーや発電事業者等の製品・サービス供給側の取り組みに期待する意見が多数を占めました。一方で、「自転車の利用」や「脱マイカー」などの項目は、意見の違いや対立がある項目であると示されました。このようなグループは、単に項目に対する支持が低いのではなく、将来的により議論を深化する必要があると指摘されました。

市民会議が求められる背景には、脱炭素社会への転換の必要と、これを実現するために「普通の市民」一人ひとりがどのような社会の姿・暮らし方を選択するべきかについて話し合う方法の模索が挙げられます。気候変動という地球規模、世代を超える問題は、限られた地域の現世代の人々に意識の向く政治家にとっては「票になりにくく」、捨象されがちなテーマです。脱炭素社会への転換には、「民主主義の刷新」を同時に起こす必要に迫られていると指摘されました。