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2021.05.06

寝屋川市「犯罪認知件数減少に向けた施策立案事業」に協力【犯罪学研究センター】

市民の体感治安向上のため、犯罪学の知見をまちづくりに活かす

龍谷大学 犯罪学研究センターは、2020(令和2)年度より寝屋川市「犯罪認知件数減少に向けた施策立案事業」にかかる研究を受託し、学術的な根拠に基づく防犯施策の推進に寄与すべく調査研究を行ってきました。
このたび、寝屋川市HPにて「令和2年度委託事業報告書」が公開されました。

>>寝屋川市(危機管理部 監察課)「犯罪認知件数減少に向けた施策立案事業
※上記ページにて、報告書(要約版/全文)PDFを閲覧できます。

 
本事業は、寝屋川市内における犯罪認知件数の減少及び市民のみなさんが安心して暮らすことができるまちづくりを推進することを目的としており、犯罪学センターでは学術的な根拠に基づく防犯施策を提言してきました。

報告書は三部構成となっており、「第1 体感治安の把握」 では「刑法犯認知件数の減少は、必ずしも地域住民の体感治安の向上につながらない」という現状から、体感治安に関連する要因を正確に把握するとともに、それぞれの要因に対し、きめこまかな対策を講じる必要性があることを強調しています。体感治安に関する先行調査と寝屋川市市民意識調査の比較検討を行い、「第2 体感治安向上のための施策」では、<①市民の体感治安の正確な把握(市民アンケートの実施)/②街頭犯罪(street crime)の予防とホットスポットの防犯対策の構築/③地域社会との連携と社会環境の改善>に3点について提案。つづく「第3 まとめ」では、「市民の体感治安向上のためには、犯罪と非行とは一見関係がないように思われるが、小さい子どもを持つ母親世代の女性をターゲットとした諸政策を充実させることが効果的であると思われる。すなわち、福祉、子育て、教育、まちづくり、人権、地域活動などを重点的に改善・強化することにより、市民の信頼と安心を確保することが、犯罪や非行に対する市民の安心感を向上させるために重要である」と総括しています。


犯罪学研究センターが提唱する「人に優しい犯罪学」は、犯罪や非行の研究を通して得た知見をみんなで活用して、安全で、安心して暮らせる、地域社会を創ることを目指しています。その実現のために、防犯対策だけではなく「日常生活の悩みごとを抱え込ませない」「孤立化させない」をモットーに、福祉的な視点も大切であることを提案します。
2021(令和2)年度も本事業を継続して受託し、治安に関する市民アンケートの実施に向けた調査票の策定や、集計結果に基づいた検討・提案などをする予定です。これからも犯罪学研究センターは研究成果を地域社会へ実装・還元するための活動に、積極的に取り組んでいきます。