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2021.06.02

入澤学長が付属平安高校の教員研修で「仏教とSDGs」をテーマに講演【高大連携推進室】

龍谷大学付属平安高校の講堂で6月1日、同校教員を対象にした研修会に入澤崇・本学学長が登壇し、「仏教とSDGs(※1)」をテーマに講演。同校の教職員約80人が聞き入りました。

講演で入澤学長は、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に、近江商人の精神と仏教を連想したと紹介。「近江商人を特色づける『売り手よし、買い手よし、世間よし』の『三方よし』の理念のなかの『世間よし』の発想がSDGsの先駆とみることができ、この発想は仏教に由来する。『一切衆生の利益と安楽のために』という菩薩の誓願がまさしくそれで、一般社会にあっては、自己利益を優先する『小利』から社会に利益をもたらす『大利』へと意識を転換することが大事」と説明しました。

さらに「『人新世』(※2)という新たな概念が生まれる中、地球環境を守るために、今こそ人間中心主義や自己中心性からの脱却へ誘(いざな)う仏教の叡智が必要となる。自らのあり方を省み、他者への思いやりを発動する『自省利他』の精神を大切にしてもらいたい」と話しました。

また、SDGs実現に向けて、入澤学長は「人の意識と行動が変わらない限り、SDGsの達成はあり得ない。意識と行動を変えるには、価値観を変えなければならないし、そのためには教育を変え、習慣を変える必要がある。そのためにも、建学の精神である仏教教育がますます重要となる」と語り、「付属平安高校が建学の精神を実現する日常の心得として掲げる『ことばを大切に』『じかんを大切に』『いのちを大切に』を知ったときは非常に感銘を受けた。ぜひ、『仏教SDGs』の実践を平安高校から世界へ発信してもらいたい」と締めくくりました。

講演を終えた入澤学長は、若手教員を中心とする新カリキュラムの意見交換会にゲスト参加し、付属平安高校と本学との高大連携科目である『理数研究』の取り組みが2020年度龍谷ICT教育賞・学長賞を受賞したことに触れ、「平安高校の授業レベルが高いことが大学内に知れ渡ったのは非常にうれしいこと。若手の先生方で大いに議論し、高校教育を良い方向に導いてもらいたい」とエールを贈りました。

付属平安高校では、2022年度から実施される高等学校の新学習指導要領への対応に向けて、教育の軸となる「探究型学習」の内容などを今後深めていきます。

※1 Sustainable Development Goals(「持続可能な開発目標」)の略
※2 人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった時代


「自省利他」の精神について解説する入澤学長


付属平安高校の若手教員に向けてメッセージを贈る入澤学長(左奥)