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2021.06.30

NPO法人京都コリアン生活センター・エルファ事務局長 南珣賢さんから在日外国人の高齢者支援について学ぶ【社会共生実習】

南珣賢氏とのオンライン授業の様子


 社会共生実習(多文化共生のコミュニティ・デザイン~定住外国人にとって住みやすい日本になるには?~)」(担当教員:現代福祉学科 川中大輔)では、6月25日(金)にNPO法人京都コリアン生活センター・エルファ(以下、「エルファ」という)の事務局長である南珣賢(ナム スンヒョン)氏をお招きして、オンライン授業が開講されました。



お話しいただいた南珣賢氏



 初めに、南氏ご自身が在日コリアン2世であるということをお話しされ、受講生に対して在日コリアンの友人や知人がいるのかを尋ねられました。そして、学生と同年代の移民世代は4世や5世となるため、自らの周りにいる在日コリアンの存在を強く意識することが少ないのではないかと投げかけられました。こうした問いかけを皮切りとして、「エルファ」の活動が始まった経緯や現在の取り組みについて具体的な体験も交えてお話しいただきました。


質問に対する答えを聞く受講生


話の内容をメモする受講生


 エルファは現在、在日コリアン高齢者のための介護事業を中心に障がい者支援などの福祉活動をおこなっています。事業立ち上げのきっかけとなったのは2000年4月にスタートした介護保険制度。外国籍高齢者もサービスを利用できるようになったものの、言葉の壁で行政から届く書類の読み書きができなかったり、国籍条項等による差別/排除の経験から各種社会保障制度との距離があいていたりすることから、サービスを利用しない高齢者が多くおられたそうです。

 そこで、在日コリアン2世の女性たちが正しい情報のアナウンス活動を始めたのがきっかけとなり、エルファの設立につながっていきます。現在では従来の「在日コリアン」だけではなく、新渡日の韓国人や中国にルーツを持つ人々など利用者は多様化しており、一人ひとりの背景に寄り添った対応を進めておられるとのことでした。

 在日コリアン一世の利用者に関するエピソードもいくつか聞かせていただきました。その中には「日本人」が無意識に在日外国人を孤立に追い込んでしまっている状況に関する話もあって、「心の壁」や「認識の壁」の存在に気づき、そうした壁を低くしていく活動の必要性に気づかされることとなりました。
 
 コロナ禍の影響により、エルファでは毎年約1000人受け入れていた研修生の受け入れを中止し、少人数での限定的な対応となっています。利用者の方々にとって、「来客がある」ということは「生きる意味」を感じ取る機会であり、少なからず影響が出ていることも紹介されました。



質問をする学生


 お話を聞いた後、学生からは感想と質問が発表され、南氏とのやりとりを行いました。

例えば、「利用者の多様化が進んだことで、利用者とスタッフ間や利用者間で摩擦が起きているか」「これから交流を進める時に気をつけるべきことはあるか」などの質問がありました。
 南氏からは「移民世代間で考え方や生き方が違うし、新渡日の韓国人と在日の間でも違うところがあり、ちょっとした衝突が起こることもある」「交流しようという気持ちを持って出会っている時点で、話してはいけないことはない。自分たちのことを知ろうとして踏み込んできていることがわかるので、感情的なやりとりが起こっても直接それを感じてほしい。知ろうとする姿勢は必ず相手に伝わるから」と答えてくださいました。

 また、「一人ひとりに対応するのが大変そうだと感じた」という感想に対しては「聴くということを大切にしている。その方がどのように生きてきたのかといった背景を丁寧に聴き、ケアに活かしている」と話してくださいました。

 受講生は今後エルファを訪問し、利用者の方々と交流する予定です。その方のことを知ろうとする姿勢で現場に臨み、直接会って関わる中で様々な感情の交わりを体験してほしいと思います。


社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。