Need Help?

News

ニュース

2021.08.03

龍谷大学生×CET留学生とのオンラインディスカッションを実施【犯罪学研究センター協力】

「コロナの現状とこれから」「SDGsにおけるジェンダー問題」についてディスカッション

2020年度に続き、2021年度も龍谷大学法学部生とCETアカデミックプログラムの留学生との間で、日本語でのディスカッションがオンラインで行われました。
「CETアカデミックプログラム」(本部:ワシントンDC)は、大阪学院大学にオフィスをおき、アメリカの大学生のために短期日本語留学プログラムを毎学期提供しています。その教育の一環として、日本の社会や文化に関する研究プロジェクトを日本語で実施しています。

今回のディスカッションの実施にあたっては、犯罪学研究センターが国際交流に関しての相談を受け、石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)および古川原明子教授(本学法学部・犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット長)の呼びかけで本学法学部生が参加しました。

───────────────────────────

【第1回オンラインディスカッション(2021年6月28日)】
今回の目的は龍大生とCETアカデミックプログラム学生の交流を深めること、設定されたテーマについてディスカッションをすることの2つでした。
まず交流を深めるにあたり、それぞれのグループに分かれた後に自己紹介を行い、自身が大学で学んでいることや自分の好きなもの・ことを話しました。お互いの好きなことではアニメの話で盛り上がり、打ち解けられる良い機会となりました。

自己紹介の後はもう一つの目的であるディスカッションを行いました。第1回は「コロナの現状とこれから」というテーマが設定され、それぞれの国の新型コロナウイルス感染症の現状と対策を共有した後、コロナ禍における大学授業について共有し、これから大学はどのように変化していくか、留学制度はどのようにあるべきかを議論しました。
現状と対策の報告では、ワクチンの接種状況が話題の中心となりました。やはり海外と比較すると日本の接種率はかなり低く、海外のある州ではコロナ禍前はマスクをつけること自体が「違法」だったため、今でもマスクをつける方が少数であるというような興味深い報告もありました。そして海外留学はオンラインでも良いのではないかという議論では、双方の学生ともにお互いの国へ行ってみたいという人が多く、留学は勉強以外にもその国や地域の文化に触れることが大切であり、オンライン留学は嫌だと主張する人がほとんどでした。
しかし、コロナ禍における大学授業では、授業時間直前まで寝ることが可能であったり、オンデマンドであれば、スケジュールを自分の好きなようにカスタマイズ可能であったりなど、自由が利くという面もあるとの意見もありました。その一方で、ずっと自宅にいるため、気持ちの切り替えができなかったり、常に大学にいる気持ちになってリラックスできる時間がなかったりなどの意見も見受けられました。

【第2回オンラインディスカッション(2021年7月12日開催)】
 2021年7月12日に、オンラインにて龍谷大学法学部生4名と、CETアカデミックプログラム学生8名で、「SDGsにおけるジェンダー問題」をテーマに、2回目のディスカッションを行いました。第1回で親睦が深められたこともあり、より活発な議論となりました。ディスカッションの流れとしては、まず、CET学生2名と龍大生1名ずつの4つのグループに分かれ、CET学生の発表を聞いた後、グループ内で議論を行い、その後全体交流を行いました。続いて、龍大生が全体に対して発表を行い、再び同じグループに分かれ、議論を行うというものでした。
 CET学生による報告のテーマは、グループによって様々でしたが、アメリカにおける「トランスジェンダー」「育児休業」「女性の政治参加」などでした。アメリカでは、トランスジェンダーを理由とする差別があること、育児休業では給料保障がないため、女性が妊娠・出産により、退職を余儀なくされることがあることなど、多くの問題があり、日本と共通する点が多々あると気づかされました。また、アメリカは日本と異なり、州にある程度の権限が認められていることから、ジェンダー問題をはじめとした各種の問題に対して、州によって対応が様々であり、州によっても格差や不平等が生じているという、特有の問題があるということも知りました。
 また、龍大生は「日本における女性の差別の歴史と男女雇用機会均等法による変化」について発表を行いました。戦前の日本においては、女性に参政権がなく夫の管理下にあり、「男は仕事、女は家庭」という考えがあったことを伝えました。また、男女雇用機会均等法の施行後は多少改善されたものの、従来の考えが根強く残ったため、女性への差別は実際にはなくなっておらず、女性管理職、議員数の少なさをはじめとした多くの問題が残っていること、女性の社会地位の向上のためにはクォータ制の導入が必要なのではないかなど、今後必要なことはなにかについて発表、議論を行いました。
 
(1)参加した感想
 今まで外国の方と話す機会がなく、今回が初めて外国の方とお話する機会だったので、とても緊張していましたが、様々な話ができてとても良い経験となりました。
 参加する前、CET学生は、法学部生だと勘違いしていたので、アニメを勉強されている方や医者を目指されている方など色々な方がいるのに驚きました。また、時差について普段考えたことがなかったので、参加していたCET学生によって時間帯が違うことが面白かったです。
 1回目に行われたコロナ禍における大学についての議論では、コロナ禍での大学授業のメリットとデメリットについて学生が考えることは、日本と外国の学生を比べてもあまり大差がないことを知り、意外に感じるところがありました。コロナ禍におけるマスクの着用についての話なども出て、とても興味深かったです。
 2回目に行われたジェンダーについての議論では、日本の政治における女性比率が諸外国と比べて低いことを改めて実感しました。CET学生から女性の参政権がいつからあったのかを質問された際に、すぐに答えることができず、準備不足なところもありましたが、様々な議論ができてよかったです。
 今回、大変短い時間での交流でしたが、普段考えることがないことを考える機会になり、参加することができてよかったです。

(2)CET学生の感想を踏まえて
 CET学生からの感想に、「内容が専門的で、分かりにくかったところもあったが、大変勉強になった」というものがありました。法学部の授業の範囲内のことが主な発表内容でしたので、私たちは難しいと感じたことはありませんでしたが、法学部生以外や、留学生に向けての報告の難しさ、工夫の必要性など、を実感する機会となり、今後誰にでも伝わる発表の方法や、工夫の模索も必要であると感じました。
 しかし、他に「日本とアメリカの文化の違いを学ぶことができただけでなく、仲良くなることができた」、「同年代の異なる国籍の学生と出会い、会話することが、私たちの価値観に変化をもたらすこと、世界中の人と関係を気づけることができる未来に対しての、希望を感じた」などの意見もありました。
 これらは、私たちも今回参加して感じたことです。価値観や、背景の異なる多くの人との出会いや会話は、自らの視野を広げるだけでなく、人生をより豊かにしてくれるものであると感じています。
 新型コロナウイルス感染症により、人と人とのつながりが薄れたようにも思えます。それでも今回はZoomを用いてCET学生と交わした議論や、交流はとても有意義なものとなっただけでなく、交流の輪を広げるものとなりました。どうやって会うのかではなく、誰と何を話すかが、今後重要となってくるのかもしれません。

文責:丸毛 稔貴(本学法学部3回生・古川原ゼミ所属)

───────────────────────────
【関連NEWS】
2019.12.11 石塚伸一教授がCETアカデミックプログラムの取材に協力【犯罪学研究センター】
犯罪学の知見から、アメリカ銃社会を比較的に検討する
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-4689.html

2020.07.28 龍谷大学生×CET留学生とのオンラインディスカッションを実施【犯罪学研究センター協力】
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-5894.html