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2021.11.01

「政策実践・探究演習(国内)伏見深草プロジェクト」第1回フィールドワーク in 神戸を実施【政策学部】

2021年10月16日(土)、政策実践・探究演習(国内)伏見深草プロジェクト(以下、伏見プロジェクト)(担当:松浦さと子教授)の第1回フィールドワークに3名が参加しました。学生たちは、神戸映像アーカイブ実行員会事務局主催のもと開催された「ホームムービーの日in神戸」と「玉岡コレクション9ミリ半ホームムービー」の2つの催し物にて、学びと交流を深めました。
ホームムービーの日(Home Movie Day)」とは、毎年10月第3土曜日に子どもの成長記録、地元のお祭りなど、地域や家庭に眠るフィルム映像を内容を問わず持ち寄って上映する国際的な記念日として、世界17カ国100都市で開催されています 。

伏見プロジェクトでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響により、当初予定していた名古屋方面へのフィールドワークから訪問先を神戸に急遽変更することとなりました。十分な準備期間がなかったにも関わらず、学生たちは事前学習やイベントへの積極的な参加・お手伝い、関係者への取材活動など精力的に活動しました。

◆ 「ホームムービーの日in神戸」
一般公募より集められた個人的な記録(映像)を来場者で囲い語り合う「ホームムービーの日in神戸」に参加しました。貴重な8ミリフィルムで撮影された家族や友人たちとの思い出を記録した「ホームムービー」を4名の方が持参され、学生3名を含む30名弱の一般来場者とともに語り合いながら鑑賞しました。司会進行には、地元神戸にて活躍されFMわぃわぃ理事長である金千秋さんと神戸映像資料館研究員の衣川太一さんが務められ、映像提供者へ当時の様子や映像の背景などを質問しながら、当時の記憶を会場みんなで思い起こし、蘇らせる貴重な時間となりました。
このような取り組みは、阪神淡路大震災後、より盛んになっており、過去の記録(映像)を通じて人々の記憶を蘇らせるフィルム上映への関心が益々高まっています。

学生たちは事前打ち合わせにて、当日のプログラム内容や会場内での動き方を確認し、イベント最中では、映像持参者へのマイク渡しなどを行い、幕間では座席の消毒作業なども手伝いました。






イベント後、学生たちは映像提供者の方へ個別取材を行いました。取材に応えて下さった映像提供者の横山行夫さんは、「世界各地で行われている「ホームムービーの日」にて、個人の記録映像を公開し語り合うことの尊さと大切さを感じることができた。次の機会があれば、また映像を提供し参加したい。」と感想を述べられました。


◆ 「玉岡コレクション9ミリ半ホームムービー」
活動写真家・玉岡忠大さんは、戦前からムービー・カメラで撮影したフィルム映像を鑑賞しながら、その貴重さと当時の暮らしを垣間見る「玉岡コレクション9ミリ半ホームムービー」に参加しました。戦前・戦後のみならず、太平洋戦争中にも撮影された貴重な9.5ミリフィルムの映像は、2016年没後ご家族によって、神戸映画資料館に数多く寄贈されました。司会解説は、神戸映画資料館研究員の衣川さんによって行われ、寄贈された映像のうち5本を上映しながら、戦前・戦中・戦後の貴重な神戸の様子や玉岡家のホームムービーを鑑賞し、その貴重さと当時の暮らしや人々の様子を思い起こす時間となりました。
特に、赤と緑のコマを交互に映すキネマカラー方式のフィルム映像は、玉岡さんによる自作フィルムで撮影された貴重なものもありました。
上映中、学生たちは展開よく進む映像を前のめりになりながら鑑賞し、衣川さんによる解説では丁寧にメモを取りながら聴講しました。
イベント後、学生たちは解説された衣川さんへ個別質問・取材を行いました。その中でも、2色フィルムの映像について興味を持った学生が多く、上映中に感じた疑問点や感想などを交えながら理解を深めました。


◆ 第1回フィールドワークを終えて ~学生レポートより
深草のアーカイブ事業に関わる中で昔の写真を見る機会が多くあった一方でフィルムなど動画に触れる機会が少なかったため、今回初めて生でデジタル化されていない原物のフィムルの映像を見ることができた。フィルムを再生する機械のカタカタという音や映像に写り込む気泡や赤や緑がかった画面など全てが新鮮で、デジタルの映像で見るのとはまた違った臨場感を感じた。フィルムの映像を、昔の懐かしい記録を見ることで自然と心の中で暖かさが生まれるのだと実感した。イベントの中でホームムービーは写っている人へ撮影者が愛情を向けて撮影しているから映画から愛情が滲み出ているのだという言葉が出た。記録を残して共有することは時を超えて撮影者の愛情を受け取る行為であると思った。このように記録を残して共有することが、地域のコミュニティの繋がりを深めてくれるのではないかと思う。【政策学部3年】

「ホームムービーのin神戸」で私は映像を持ってきてくださった4人の一般の方にマイクを向けるという仕事をした。マイクについては、7月のワークショップで一度経験済みだったため、スムーズに出来たと思う。「玉岡コレクション9ミリ半ホームムービー」では、太平洋戦争の前から終わった後までの映像もあったが、戦争感は全く見られなかった。そのため、私は7月のワークショップでお世話になった小山帥人さんの映像と通ずるものがあると感じた。終了後、衣川さんへの取材で、二色フィルムはなぜ赤と緑だったのか、字幕の色付けの仕方、ホームムービーデイに対する思いなど様々な話を聞くことができた。私たちの活動中心地は深草だが、過去の映像を神戸ではどのように扱っているのか、一日を通して知ることができた気がする。【政策学部3年】

実際に資料館を訪問する前までは、初めての神戸で赤の他人の映像を何の知識も無い状態で見るのに本当にホームムービーを純粋に楽しむことができるのかといった思いもあった。しかし、イベントが始まってすぐに「場の雰囲気がとても穏やかである」と感じた。普通、映像や映画は黙って観るため硬くなってしまうが、会場の参加者も発言し、赤ちゃんが映ると笑みや「可愛い」といった声が聞こえ、映像の中で場所がよく分からない場面では、「〇〇が映ってますわー」「昔の〇〇じゃない?」など場所を特定するために議論が沸き起こった。楽しく、アットホームな雰囲気になったのは、「ホームムービー」からあふれ出る“家庭的な幸せ”がそうさせたのではないかと思った。そしてホームムービーは、映像の提供者だけでなく、その場にいる全員が家族のように話し合いながら映像を見ることによってはじめて成り立つものだと感じた。今回のフィールドワークを通して映像が現在、不足している地域コミュニティの活性化のきっかけになると確信することができた。【政策学部2年】


提供され上映された映像は、個人的に撮影されたホームムービーであり、そのどれもが被写体への愛情をもって撮られています。そのため、会場からは自然と笑いや驚きの声が起こり、参加者は画面を食い入るように観ていました。撮影当時はあくまでも個人的な記録に過ぎなかったものが、このように後世に残され数十年後に掘り起こされた記録は、映像を見返す場を通じて、皆の思い出や記憶を呼び起こす貴重なものとなっていました。