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2021.11.09

観音ガールから仏像の魅力と歴史を学ぶ【社会共生実習】

 「社会共生実習(大学は社会共生に何ができるのか―文化財から“マネー”を創出する―)」(担当教員:社会学科 髙田満彦)では、10月29日に観音ガール 對馬佳菜子氏(合同会社nagori 代表社員)をお招きして「観音ガールが行く-滋賀の歴史に恋をして-」というテーマでお話しいただきました。


ご講話いただいた 観音ガール 對馬佳菜子氏


 對馬氏は、民間の人材会社と長浜市地域おこし協力隊へお勤めされていたご経験があり、現在は長浜市で「観音ガール」として仏像を守るために情報を発信したりクラウドファンディングを行ったりするなどして、さまざま活動をされています。
 對馬氏が、仏像を好きになったきっかけは、奈良県東大寺法華堂(ほっけどう)の不空羂索観音菩薩(ふくうけんじゃくかんのんぼさつ)との出会いで、1300年前に誕生した仏様が目の前におられることが1番の衝撃だったそうです。また、仏像を守るための自分の役目は「地域社会と一般社会に繋げていく事」で「3つのみせる」を心掛けているとのことでした。
 1.現場で見ていただく「見せる」
 2.心で感じていただく「観せる」
 3.心を掴む「魅せる」


熱心に話を聴く受講生



 昨年は、滋賀県長浜市木之本町黒田にある「安念寺いも観音」の修理をするためにクラウドファンディングを行い557万円が集まりました。1番多く支援してくださったのは滋賀県長浜市民で、木之本町黒田以外にお住いの方々も文化が続いてほしいと思ってくれているということが分かり大変うれしく思われたそうです。
 「安念寺いも観音」は戦国時代織田信長と柴田勝家軍の兵火にかかり2度堂宇を焼失しましたが、地元の方々が仏像を持ち出し近くの田畑に埋めて火から守り、後の時代に掘り起こし近くの川で洗い清めたという話が伝わっています。また、当時皮膚にかさぶたが出来て赤く残る「ほうそう」という皮膚病が流行った時に、ガサガサのかさぶたの事を「疱瘡(いもがさ)」と呼んでおり、「いも観音」もガザガザしていることから「身代わり観音」とされ「いも観音」と呼ばれているそうです。



メモを取る受講生



 今回、事前に学習した受講生からの質問に對馬氏はエピソードを交えてお答えくださいました。

Q.住民全員の理解を得るために、どのような取り組み・工夫をされましか。
・相手に安心していただくために第一印象を大切にして、相手が話しやすい雰囲気を作る。自分の意見と違うと思った事に対しては賛成しない。自分の意見を強く押し付けはしないが、なんでも賛成すると信頼してもらえない。

Q.仏像を博物館で初めて見た方でも楽しく見られるように展示を変えるならどうしますか。
・キャプション解説とは別にPOPを付けてもっとわかりやすくする。
・展示を見ながら謎解きをして完成したらそれが資料となり持って帰れるようにする。
・お香を焚いてお経を流して「見る」というよりは「感じて」もらう。

 この他にも時間の許す限りたくさんの質問に答えていただきました。

 さまざまなお話を聴いて、受講生たちがどのように思考し、変化していくのかが楽しみです。



社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。