2021.11.19
「失われたマツタケ山を探して—〈人新世〉時代のヒトと自然を考えるー」シンポジウム開催 生物多様性と文化多様性を結ぶ新しい学術動向を考えるシンポジウム <12/4(土)ウェビナー(Zoom)によるオンライン開催(事前申込制)>
【本件のポイント】
- 龍谷大学里山学研究センター※1は12月4日(土)に公開シンポジウム「失われたマツタケ山を探して—〈人新世〉時代のヒトと自然を考える―」をオンラインにて開催
- これまで自然科学の領域であった自然環境の問題を、人文学の領域である文化多様性の問題と融合する動きが国際的に加速
- 近年の国際的な環境政策と学術の新たな動向を踏まえ、国内のマツタケ山などの事例をもとに、これからの「ヒトと自然」の新たな関係のあり方を考えるシンポジウム
【本件の概要】
これまで龍谷大学里山学研究センターでは、新たな自然共生型社会を目指して、古くから人々に利用されてきた「里山」に着目してきました。今回、本センターは「人新世」時代の人間と自然の関係を考えるシンポジウムを開催します。
「人新世」とは、人類が自然環境に取り返しのつかない影響を与えるようになった時代を指す概念です。地球自然環境と人類の持続可能性が深刻に脅かされている現在、「人新世」をどのように克服し、自然共生社会を実現するかという問題が喫緊の課題となっています。社会や文化を踏まえなければ自然環境問題は解決できないことから、国連やIPBESなど国際機関では、自然科学の知見と人文科学の知見を融合する必要性が新たに認識されつつあります。
シンポジウムには、生物多様性と文化多様性の観点から鯨類やナマコ類と人間の関わりについて研究で知られる赤嶺淳先生をお招きし講演いただきます。赤嶺先生は日本の「マツタケ」に着目して新世代の学術パラダイムを切り開いたアメリカの人類学者アナ・チンの著作の翻訳の第一人者でもあります。
今回のシンポジウムで、持続可能性と環境問題をめぐる近年の国際政策と新しい学術動向について理解を深め、ローカルな地域の現場での取り組みや問題の解決に役立てまいります。
1.開催日時 : 2021年12月4日(土) 14:00〜16:30
※一般来聴歓迎、無料、事前申し込み制
2.開催場所 : Zoomによるオンライン ※申し込みは下記HPにて
https://forms.office.com/r/1Pu3cFAFMw
3.プログラム
14:00 あいさつ・主旨説明
14:10 「人新世」時代の新たな自然観をめざして
村澤 真保呂(龍谷大学里山学研究センター)
14:30 『マツタケ』に学ぶ——陸と海をつなぐ地球大のモノ研究をめざして
赤嶺 淳 氏(一橋大学大学院社会学研究科)
15:20 人類学と「多様なるもの」
椿原 敦子(龍谷大学里山学研究センター)
15:40 休憩
15:50 ディスカッション/質疑応答
司会 伊達 浩憲(龍谷大学里山学研究センター)
16:30 終了
4.講演者プロフィール
・赤嶺 淳 氏
一橋大学大学院社会学研究科教授。1967年生。2007年よりワシントン条約日本政府代表団顧問をつとめる。専門は東南アジア地域研究・食生活誌学。著書に『ナマコを歩く——現場から考える生物多様性と文化多様性』(新泉社、2010)『鯨を生きる——鯨人の個人史・鯨食の同時代史』(吉川弘文館、2017)『生態資源——モノ・場・ヒトを生かす世界』(共編著、昭和堂、2018)など。訳書にアナ・チン『マツタケ』(みすず書房、2019)など。
・椿原 敦子
龍谷大学社会学部准教授。1974年生。ムスリムを中心としたアメリカの移民コミュニティについての研究を行っている。専門は文化人類学。著書に『中東世界の音楽文化——うまれかわる伝統』(共著、スタイルノート、2016)『〈サトコとナダ〉から考えるイスラム入門——ムスリムの生活・文化・歴史』(共著、2018)『グローバル都市を生きる人々——イラン人ディアスポラの民族誌』(春風社、2019)など。
・村澤 真保呂
龍谷大学社会学部教授。1968年生。心理学、社会学、環境学を結ぶ思想的研究を行っている。専門は社会学・社会思想。著書に『ポストモラトリアム時代の若者たち——社会的排除を超えて』(共著、世界思想社、2012)『里山学講義』(編著、晃洋書房、2015)『都市を終わらせる——「人新世」時代の精神、社会、自然』(ナカニシヤ出版、2021)など。訳書にフェリックス・ガタリ『ミクロ政治学』(共訳、法政大学出版局、2021)など。
5.主催 : 龍谷大学里山学研究センター
6.用語説明
※1 龍谷大学里山学研究センター
2004年度に文部科学省オープンリサーチセンター整備事業として採択されてから、人と自然との共生をめざした「里山学」を掲げ、里山の保全再生に向けたプロジェクト研究に取り組んできました。また、2015年度文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択されたことを契機に、琵琶湖の保全・再生に「Satoyamaモデル」を活かす政策を模索してきました。さらに2020年度に学内プロジェクトの重点強化型研究推進事業に採択され、現在、「「人新世」時代の新・里山学の創造―新たな「自然」概念構築と「自然との対話」方法論の確立に向けた文理融合研究」をテーマとして、研究活動に取り組んでいます。
問い合わせ先:龍谷大学里山学研究センター事務局
Tel 075-645-2154 Mail satoyamagaku@ad.ryukoku.ac.jp