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2021.12.02

実践真宗学研究科 実習報告会を開催しました【文学部】【実践真宗学研究科】

 実践真宗学研究科では、体系的な理論研究と実習を中心とした現場での活動を軸に、”理論と実践”を取り組んでいます。
 実践真宗学研究科において重要な位置づけである実習について、毎年、「実習報告会」を開催し、修了生が実習の成果を研究科の内外に向けて発信しています。
 今年度は、11月4日(木)に龍谷大学実践真宗学研究科 実習報告会を開催しました。

 実習報告会の内容について、先輩たちの実習報告を聞いた、実践真宗学研究科1年生の学生の皆さんの声をもとにご紹介します。


1.「仏教者が果たす役割の一考察 ―スポーツ選手のセカンドキャリアに着目して―」
  (発表者:研究科3年 帰依(森田敬史ゼミ))

 帰依さんの発表では、自分自身が野球をしていたというスポーツの経験とそこで出会った仏教者の方を契機に、スポーツ選手が第二の人生いわゆるセカンドキャリアを全うするために仏教者が果たすことのできる役割は何かということについて、仏教者兼スポーツ関係者である佐々木さんと仏教者兼スポーツ選手である藤田さんのお二方のインタビューを通して報告されていました。
 お二方に対して、「仏教者がスポーツに果たせる役割は何か」と投げかけたところ、共通して得られた回答として「セカンドキャリアの不安解消」、「専門的な技術面以外の指導(人間性の養成)」ということが、仏教者がスポーツ選手に対して果たせる役割なのではないかということがわかったそうです。
 個人的には、仏教者とスポーツ選手は一見かかわりがないように思っていましたが、今回の発表を聞いて、仏教者がセカンドキャリアを歩もうとするスポーツ選手を上記に挙げた役割でサポートすることができるという点は非常に興味深い内容でした。
(コメント 研究科1年 亀井さん)


2.「浄土真宗の僧侶が不登校児に出来ることは何か」
  (発表者:研究科3年 佐々木さん(中村陽子ゼミ・鍋島直樹ゼミ))
 
 今回の発表では主に、不登校の子供達や悩みを抱える子供達にどのように真宗僧侶が関われるかというものでした。
 実際にインタビューを通してどのように関わっているかをあげられていましたが、多くの方々が自分の中にある真宗の教えを通して、子供達と関わっているという部分が、真宗の教えがアプローチできる可能性や十分に相手の心に寄り添うといった面で有効的であると思いました。
 また、若者に宗教心を育成するといった意味でも子供の頃から関わっていくことの重要性というものを感じることができる発表でした。また、実践的な活動についても述べられていたので今後の研究が楽しみです。
(コメント 研究科1年 米田さん)


3.「統廃合から見るこれからの寺院」
  (発表者:研究科3年 柳田さん(森田眞円ゼミ))

 柳田さんの発表は「統廃合からみるこれからの寺院」というテーマであった。このテーマに関する実践的な研究を行うために柳田さんは住職、坊守、若院といった寺院関係者と門徒2つを対象に過疎対策に対するニーズと意識の目的意識の差異について半構造化面接方法を用いて聞き取り調査を行った。
 本研究では西日本の寺院A、Bを研究対象とした。また、住職、坊守、門徒、若院を聞き取りの対象とした。Aは450年前に開基され、Bは570年前に天台宗寺院として開基され後に浄土真宗寺院となった。2つの寺院に対して統廃合についての考え、宗門の過疎対策について知っているかどうか、宗門に対してのニーズ、寺院後継についての希望、寺院のある地域性について、宗教や寺に関する意識を聞いていた。これらの質問を通じて過疎地域の寺院の意識の共通点を見出せるのではないかとしていた。具体的には過疎対策への知識不足や意識、具体的な対策やモデルケースの必要性などが挙げられておりこれらの共通点から末寺への対策の必要性が挙げられていた。
(コメント 研究科1年 高千穂さん)


4.「現代社会の苦悩への宗教的な対応 ―特に坐禅・瞑想を通じて―」
  (発表者 姜さん(葛野洋明ゼミ))

 姜さんの発表では、末法思想に基づいた現代社会の苦悩への対応として、「坐禅」や「瞑想」を通じた苦悩への宗教的対応について報告されていました。特に、「坐禅会」や「瞑想」の実践によって、参加者の心身の苦痛を弱めることができるのかを目的とし実習を行っていました。
 期間の異なる実習や宗教性の有無など、条件の異なる七つの坐禅会や瞑想に参加し、参与観察や聞き取り調査による客観的調査分析がされていました。その結果がレーダーチャートを用いてまとめられていたため、とても見やすく、聞きやすい発表でした。
 今回は時間の都合で実習先の報告は一つでしたが、他の六つの実習先についても客観的調査分析がされていたので、十分な比較検討がされており、各実習先の特徴が明らかにされていました。
この報告から、実習を多くこなすことで研究がより深まることがわかったので、具体的な実習計画を早期から検討していこうと思います。
(コメント 研究科1年 望月さん)


 今回の実習発表会を経て、発表者は、これまでの実習に対する手応えや修士論文の執筆に向けての気づきを得ることができました。
 また、先輩たちの報告を聞いた学生たちは、今後取り組んでいく自らの実習に向けて、たくさんヒントを得られたことと思います。