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2021.12.03

Web展観「病と生きる」を開催 所蔵する貴重資料56点を展示 コロナ禍を生きる上での手掛かりに 

公開日 2021年12月3日(金)

URL https://mylibrary.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/htdocs/2021_yamaitoikiru_prod/index.html

【本件のポイント】

  • 龍谷大学図書館の貴重な所蔵歴史資料56点をテーマ「病と生きる」としてオンラインで展示。
  • 仏教では、病を「四苦」の1つとしており、これまで人々は、信仰により救われることを求めたり、疫病の悲惨さを記録して後世に残したりしてきた。
  • 人々が病と共に生きて、乗り越えてきた姿を知っていただくと共に、コロナ禍を生きる上での手掛りを龍谷大学図書館の所蔵資料から感じ取る機会に。

 

【本件の概要】
 新型コロナウィルス感染症は、世界中に多くの感染者、犠牲者を出し、未だ終息の兆しが見えていません。仏教では、病を「四苦」の1つとしているように、人が避けることのできない苦しみとされています。その病に対し、人々は、信仰により救われることを求めたり、疫病の悲惨さを記録して後世に残したり、病に立ち向かい治療法を研究したり、時には、病を文学に取り込み、より多くの人々を共感させたりしています。人々の歩みは、病と共に生きてきた歩みと言っても過言ではありません。
 2021年龍谷大学図書館の特別展観のテーマは「病と生きる」です。病に対する人々のこれまでの歩みを、「病と信仰」・「病と記録」・「病と文学」・「病と治療」の4章によって構成し、各章の視点から、昔の人々が病に対してどのように接していたかを紹介します。現在よりも医学が発達していなかった時代に、人々が病と共に生きて、乗り越えてきた姿を知っていただくと共に、コロナ禍を生きる上での手掛りになることを願います。

 

 
主な展示資料
【融通念仏縁起絵(ゆうずねんぶつえんぎえ)】


 平安時代後期に融通念仏を起こした良忍(1073~1132)の事績及び念仏の功徳について説いた説話が書かれた絵巻物である。本資料は、絵巻物ではなく、折本の形態になっている。
 疫病を表す鬼達が念仏の道場の入り口まで押しかけてくるが、男が鬼達に向かって念仏の仏事に参加している人々の名前を記した巻物を示すことで、鬼達は念仏の功徳に感じ入り、参加している人々に悪いことをしないという約束を巻物に書いて退散したという話が、念仏の功徳の一つとして描かれている。

【源氏画】


 『源氏物語』の前半部分にあたる桐壺巻から蓬生巻まで各帖一場面を描いた絵巻物で、3巻で合計15図あり、典雅で開放感のある絵になっている。
 『源氏物語』には、病が関係する場面が幾つかある。例えば、若紫巻では、わらわやみ(マラリアとされる)を患った光源氏が、その治療の間に、伴侶となる紫の上に出会う。その他、夕顔巻では、夕顔の急死に寝込んでしまう源氏を見舞う頭中将に、源氏がしはぶきやみ(流行性感冒)を欠勤の言い訳にしている。
 華やかな「源氏画」であるが、病のことも踏まえて見ると、また違った味わいが生まれてくるのではないだろうか。

【側人明堂之図・人身五臓之図(そくじんめいどうのず・じんしんごぞうのず)】


 明代に作られた「側人明堂之図」と「人身五臓之図」がそれぞれ日本に伝わり、合わせて一紙に刊行したものである。
 伝統中国医学では、気が流れるルートを経脈といい、各経脈上に針や灸の治療を行う経穴(ツボ)がある。経脈や経穴を描いた人体図を「明堂図」と呼ぶようになった。また、人間の内臓を五臓(肝・心・脾・肺・腎)と六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)から成ると考え、視覚的に理解するために、「人身五臓之図」が作成された。

 
[その他の展示物]
『続日本紀』(しょくにほんぎ)、『源氏物語』、『傷寒論』(しょうかんろん)
『紹興校訂経史証類備急本草』(しょうこうこうていけいししょうるいびきゅうほんぞう)

【龍谷大学大宮図書館】
 龍谷大学大宮図書館は、寛永16年(1639)西本願寺が創建した「学寮」に始まる本学の歴史とほぼ同じ歴史を有します。その間、国宝である『類聚古集』など数多くの資料を収集して、現在では、75万冊余りに及びます。
 また、仏教分野をはじめとする日本及び中国の古い資料をデジタルアーカイブにより、貴重資料画像データベース「龍谷蔵」(http://www.afc.ryukoku.ac.jp/kicho/top.html)として順次公開しています。本学の有する貴重資料画像の情報等を発信することで、国内外の研究に役立てられています。


 

【参考】昨年度のWeb展観
https://mylibrary.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/htdocs/2020_tokushibunko_prod/index.html


問い合わせ先:龍谷大学大宮図書館 Tel 075-343-3462 Mail o-lib@ad.ryukoku.ac.jp