Need Help?

News

ニュース

2021.12.21

龍谷大学生×CET留学生との交流授業を実施【犯罪学研究センター協力】

ディスカッションおよびディベートを通じて日米の相違点・共通点を知る

本年度前期に引き続き、後期においても龍谷大学法学部生ならびに卒業生とCETアカデミックプログラム留学生との間で、日本語での授業、ディスカッションおよびディベート*1がオンラインで行われました。
CETアカデミックプログラム」(本部:ワシントンDC)は、大阪学院大学にオフィスをおき、アメリカの大学生のために短期日本語留学プログラムを毎学期提供しています。その教育の一環として、日本の社会や文化に関する研究プロジェクトを日本語で実施しています。

今回のプログラムの実施にあたっては、犯罪学研究センターが国際交流に関しての相談を受け、石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)および古川原明子教授(本学法学部・犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット長)の呼びかけで本学法学部生および卒業生が参加しました。

───────────────────────────

【第1回目:オンライン授業(2021年10月11日)】
第1回目は、今後のディスカッションに向けての顔合わせの意味合いが深いものでした。参加者の自己紹介の後、講師に日高明氏を迎え、「仏教」をテーマに授業形式でプログラムが行われました。日高氏は僧侶であり、相愛大学で哲学を教え、さらに大阪府池田市の認知症高齢者のためのグループホームでの勤務もされています。日高氏は、まず、仏教の教えや、日本に仏教が取り入れられた経緯等を解説しました。その後、参加者との質疑応答が行われ、さらに、勤務している介護施設の様子も共有されました。

【第2回目:オンラインディスカッション(2021年10月29日開催)】
 第2回目は、「日本とアメリカの教育の違い」をテーマにディスカッションを行いました。アメリカでは大学受験において、推薦状やボランティアの履歴が重視される一方、日本ではAO選抜や推薦入試など一部の人たちを除いて、大半が入試テストを受けているといった違いが存在することなどについて学びました。しかし、どちらの国にも、お金があるかないかによって、受けることのできる教育や、将来に大きな違いがあるという共通の問題が存在することを発見し、どうすればそれを解決できるかということについて話し合いました。

【第3回目:オンラインディスカッション(2021年11月12日開催)】
 第3回目は、「AI技術の発展によるメリット・デメリット」をテーマにディスカッションを行いました。自動運転など、AIを取り入れることで事故を減らすことができることや、自動運転の車が持つ問題の解決策などについて話し合いました。また、アメリカは地下鉄などの本数が日本より少ないといった、日本とアメリカの違いに触れつつ、「日本ではアメリカより公共交通機関が発達している一方で、コロナの影響で車を使うようにという声かけが行われるようになった」「アメリカではコロナをきっかけにアジア系の人たちへの差別や暴力が増えたので、そういった人たちは公共の交通機関より車を使いたくなるかもしれない」といった、コロナによるアメリカと日本の社会の変化についても話し合いました。

【第4回目:オンラインディスカッション(2021年11月19日開催)】
 第4回目は、「環境(COP26:国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)」をテーマにディスカッションを行いました。COP26における気温上昇抑制の合意について、最初は低いハードルから始めるべきであることや、政府や企業だけでなく、一人一人が環境に配慮するべきだという点について、CET学生と日本の参加者は共通の意見を持っていることが分かりました。一方で、アメリカのカリフォルニアでは、2030年までに石油を燃料とする車の生産を取り止める法律が定められたことや、アメリカの若者は環境問題に対するデモなどを盛んにおこなっているのに対し、日本の若者はそもそもデモなど政治活動に参加する意識は低いといった違いがあることについて話し合いました。

【第5回目:オンラインディスカッション(2021年12月3日開催)】
 第5回目は、「コロナの入国制限(オミクロン株)」をテーマにディスカッションを行いました。日本政府がオミクロン株対策で入国制限をすることについて、どちらの国の参加者も、仕方のない措置だということで意見が一致しました。また、アメリカではコロナによってアメリカ人による外国人への差別が起きていることがニュースになっている一方、日本では日本人が外国人を差別しているニュースではなく、海外にいる日本人が差別されているニュースや、日本人同士での差別や批判が報道されているという違いについて話し合いました。さらに、アメリカではマスクをつけるかどうかは、支持する政党によって違うということや、日本では国民にマスクを配布する政策が採られたことなどについても話し合いました。

【第6回目:オンラインディベート(2021年12月7日開催)】
 第6回目は、「学校を男子校・女子校に分けることに賛成か反対か」というテーマについて、本学学生1名とCET学生1名が賛成派、本学卒業生1名が反対派、本学学生1名が審判という役割に分かれ、ディベートを行いました。賛成派からは、「人との交流が苦手な人にとって、同性同士の方が交流しやすく、自分が存在しやすい」「女の子が性差なく勉強すると(女子のみの学校で勉強すると)、自信を持ちやすくなるというデータがある」といった意見などが出ました。一方、反対派からは、「世の中にはいろいろな性の人がおり、学校の名前が2つの性別だけに分かれていると、世間はそういう風に見ていると感じる」「そもそも日本における女子校のはじまりはお嫁さんを育てるためなど、差別から始まっており、今でもその名残がある」といった意見が出ました。最後に、今回審判になった本学学生から、勝敗とその理由 が述べられました。

【第7回目:オンラインディベート(2021年12月8日開催)】
 第7回目は、「死刑を取り入れるべきかどうか」というテーマについて、本学学生1名が賛成派、本学卒業生1名とCET学生1名が反対派としてディベートを行いました。賛成派の意見としては、「遺族の心情を考えると、望む人がいるのならば死刑は必要」「冤罪の問題は、刑事手続きで改善できるのではないか」といった意見が上がりました。一方、反対派からは、「終身刑にすることで、犯罪者の市民権を守り、再審の機会を得ることもできる」「政府が誰を殺すか決めるのはおかしい」といった意見が出ました。

【第8回目:オンラインディベート(2021年12月9日開催)】
 第8回目は、「ゆとり教育と現在の教育、どちらがいいか」というテーマについてディベートを行いました。本学学生1名がゆとり教育賛成派、本学学生1名とCET学生1名が反対派、本学卒業生1名が審判の役割に立ちました。賛成派からは、「部活動など、課外活動に力を入れることができる」「先生の負担が減る」といった意見が出ました。一方で反対派からは、「授業が短くなると、お金持ちの人は授業以外で塾に行くことができるので、学力に差が出るかもしれない」「現在の教育はプログラミングや家庭科など、勉強以外の役立つスキルを学校で身に着けることができる」といった意見が出ました。


オンライン授業のようす

オンライン授業のようす


「日本の教育制度ー大学受験についてー」の報告スライドより

「日本の教育制度ー大学受験についてー」の報告スライドより

【プログラムを終えての感想】
CETプログラムを通して、お互いの国の違いや共通する意見を知ることができ、大変貴重な経験をすることができました。私にとって他の国に住む人との違いを知るのは面白いことですが、現実では日本人とでさえ自分と違う考えの人と深く関わることになったときには、相手を理解することとそれを受け入れることの違いを痛感することが多々あります。CETプログラムに参加したことによって、その違いを越えて、ずっと続けていけるような関係を築くためにはどうすればよいかという課題に、再度向き合うことになりました。これをふまえて、今後のCETプログラムにも、交流後にこそ何かが始まるものであってほしいと考えます。

文責:森下 真妃(犯罪学研究センタースタッフ, 本学法学部卒業生)


───────────────────────────
*1 ディベート(英:debate)
特定の論題について、あえて異なる立場に分かれて議論をする手法。自分の意見に関係なく肯定・否定グループに分けられ、相手側もしくはジャッジと呼ばれる第三者に対して理論的に説得を行う。