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2018.05.18

【ご報告】犯罪学セミナー「エビデンスに基づいた犯罪対策の重要性と実践」を開催

エビデンスに基づいた犯罪対策の重要性と実践

2018年5月2日、龍谷大学犯罪学研究センターは、科学的な裏付けに基づく政策評価・政策立法は、いかにして可能であるか?をテーマに、実践に取り組んでいる方にお話を聞くセミナー「エビデンスに基づいた犯罪対策の重要性と実践」を、本学深草学舎 紫光館4階法廷教室で開催し、約40名の方が参加しました。
イベント概要はこちら


石塚伸一 日本犯罪社会学会長(犯罪学研究センター長)

石塚伸一 日本犯罪社会学会長(犯罪学研究センター長)


セミナーでは、石塚伸一 日本犯罪社会学会長(本学法学部教授,犯罪学研究センター長)挨拶に続き、浜井浩一 本学法学部教授(犯罪学センター政策評価ユニット長)から本セミナーの企画趣旨について説明がなされました。


浜井浩一 本学法学部教授(犯罪学センター国際部門長)

浜井浩一 本学法学部教授(犯罪学センター国際部門長)


「残念なことに、日本の刑事政策が議論されるのは、めったに起きないような重大事件が発生した直後が多いのです。すなわち、日本のように犯罪件数の非常に少ない国家においては、レアケースに対してマスコミや社会一般の声に応じる形で政府が動くことになるため、刑罰のあり方が正しく検証されているとは言えません。

そこで、日本犯罪社会学会と龍谷大学犯罪学研究センターでは、こうした日本の刑事政策の置かれた状況を打破し、科学的な犯罪対策を推進するため、政策立案に関わる政府関係者や実務家、研究者などを対象に犯罪学セミナーを開催することになりました。
今日のテーマである「エビデンスに基づいた犯罪対策」では、検証の重要性やその効果についてお聞かせいただきます。」


Prof. Dr. David Weisburd(ヘブライ大学教授・ジョージメイソン大学教授)

Prof. Dr. David Weisburd(ヘブライ大学教授・ジョージメイソン大学教授)


Prof. Dr. David Weisburd(ヘブライ大学教授・ジョージメイソン大学教授)

Prof. Dr. David Weisburd(ヘブライ大学教授・ジョージメイソン大学教授)

セミナー前半では、アメリカを中心に活躍し、エビデンスに基づく犯罪対策、特に警察活動や犯罪予防の分野の第一人者であるDavid Weisburd教授をお招きし、長年に渡り関わってきた研究活動やコンサルタントなどの実践を通じたお話を伺いました。

Weisburd教授の主たる研究テーマは「場所と犯罪」。ホットスポット(犯罪多発地点)という言葉もありますが、そうした犯罪が起こりうる可能性のある場所に対して、実証データに基づいて警察がどのように介入していくべきか。刑事政策におけるエビデンスの有効性・必要性をお聞かせいただきました。
具体的な事例として、アメリカ・ニューヨーク市警察の犯罪の削減及び防止を目的とした戦略管理システム「コンプスタット (CompStat)」に関して、より厳正な検証ツールとして「システマティックレビュー(systematic review)」を用いた仮説と検証、そして効果の実証が紹介されました。

Weisburd教授の講演を受けて、司会の浜井浩一本学法学部教授(犯罪学センター政策評価ユニット長)から「日本で犯罪学を推進していく上での強いエールとなりました。私たち人は中々変わることが出来ないし、犯罪者も中々変わることが出来ない。人が変わるには、危機感を持つことが大切。我々のセンターでもエビデンスに基づいた研究活動で、政策提言に向けて邁進していきたい」とコメントがありました。


原田 豊 氏(科学警察研究所 犯罪行動科学部犯罪予防研究室 特任研究官)

原田 豊 氏(科学警察研究所 犯罪行動科学部犯罪予防研究室 特任研究官)


原田 豊 氏(科学警察研究所 犯罪行動科学部犯罪予防研究室 特任研究官)

原田 豊 氏(科学警察研究所 犯罪行動科学部犯罪予防研究室 特任研究官)

次にセミナー後半では、日本における犯罪予防研究の第一人者でもある原田 豊氏(科学警察研究所 犯罪行動科学部犯罪予防研究室 特任研究官)に、客観的データを踏まえた防犯活動の支援のために開発された「子どもの被害防止ツールキット」※について、その開発過程を含めて日本での実践を報告いただきました。
数々の実践通じて研究のスコープを広げてこられた原田氏。講演の最後は「“between research and practice in criminology.” 研究と実践とをつなぐ先進的成果を目指したい。」という力強い言葉で締めくくられました。

※ツール事例:
・「危険なできごとカルテ(“Karte” of Criminal and Crime-related Incidents)」:
 犯罪と犯罪に関連する出来事の聞き取り票
・「聞き書きマップ(“Kiki-Gaki Map” Listen-and-Write Map)」:
 自主防犯活動などを行っている方々が、身近な地域の安全点検などのために行う「まちあるき」の記録を、手軽に作っていただけることを目的に開発されたパソコン用のソフトウェア


津島昌寛 本学社会学部長(犯罪学センター研究部門長)

津島昌寛 本学社会学部長(犯罪学センター研究部門長)


最後に、津島昌寛 本学社会学部長(犯罪学センター研究部門長)から閉会の挨拶をいただき、本セミナーを終了しました。


本シンポジウムは、「エビデンスに基づいた犯罪対策の重要性と実践」をテーマに、アメリカ・日本の警察活動、警察をとりまく自主防犯活動の事例を通して、日本における犯罪学研究の意義、そして社会への還元について考える有意義な機会となりました。