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2019.03.20

第8回「CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会」を開催【犯罪学研究センター】

多様な視点からアプローチする「龍谷・犯罪学」

2019年3月5日、龍谷大学 犯罪学研究センターは第8回「CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会」を、本学深草キャンパス 至心館1階で開催し、約10名が参加しました。
【イベント概要>>】http://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-2982.html

今回の研究会では、「犯罪社会学ユニット・意識調査ユニットの研究進捗状況」について、上田光明氏<犯罪学研究センター嘱託研究員/同志社大学・高等研究教育機構・特定任用研究員(助教)>による報告が行われました。


上田光明氏<犯罪学研究センター嘱託研究員/同志社大学・高等研究教育機構・特定任用研究員(助教)>

上田光明氏<犯罪学研究センター嘱託研究員/同志社大学・高等研究教育機構・特定任用研究員(助教)>


犯罪社会学ユニットと意識調査ユニットは、協働で「国際自己申告非行調査(International Self-Report Delinquency Study: ISRD)」に携わっています。
このISRDとは、統一した質問紙(アンケート)による調査を世界各国の中学生に対して実施し、その結果を比較・共有しようとする国際プロジェクトで、非行・被害の特徴やその背景の解明、学問的な理論検証に強みを持つと言われています。さらに、国際比較によって、国家間の類似点や相違点を引き出すこともできます。

これまで日本はこのISRDに参加してきませんでしたが、犯罪学研究センターの設立を機に、若手研究スタッフを中心に2017年にISRD-JAPANが設立されました。現在、ISRD第3回調査(ISRD3)*1に参加するために活動しています。上田氏は、当センターの犯罪社会学ユニット・意識調査ユニットがISRD-JAPANと連携して、どのような活動をしているのかを報告しました。
【参照】ISRD-JAPANプロジェクト

意識調査ユニットは、ISRD調査の企画立案から実施までを担当します。具体的には、調査票の翻訳、リサーチデザインの策定、各種関連機関との連絡、データ入力などを行います。
これまでの活動として、ISRD-JAPAN全体ミーティングの実施やISRDの中心メンバーを招聘したレクチャーの実施、他国のISRD調査チームの現地視察・意見交換を通じて「ISRD3日本語版調査票」を完成させました。また、その調査票や調査方法に問題点がないかを確認すべく、2018年12月、国内でプレ調査*2を実施しました。上田氏は、「プレ調査実施後に聞き取り調査を行った結果、中学生にとって理解しにくい設問が存在した。また、タブレットを利用する調査に関する、幾つかの問題点が浮き彫りになった」と報告しました。そのうえで、「調査票の翻訳が完成し、プレ調査を通じて課題を明らかにすることができ、今後の実査に向けて有益かつ効果的な準備ができたという点において順調に研究サイクルが循環している」と本ユニットの研究進捗状況を報告しました。

犯罪社会学ユニットは、意識調査ユニットが行った調査や収集したデータを基に、データ分析とデータ管理を行います。データ分析は、ⅰ)日本の中学生の非行や被害の実態を把握し、ⅱ)彼らの非行を説明する犯罪学理論を同定し、政策的提言を導出することが目的です。データ管理は、調査データを国内外のデータアーカイブに寄贈することで定量的研究の拡大・拡充を促進し、研究成果を海外へ向けて発信することを目的としています。



上田氏は、本ユニットの最も大きな成果として、2018年の第18回ヨーロッパ犯罪学会年次大会(サラエボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ)に若手研究者を派遣したことでユニットメンバーの国際化が進んだ点を挙げました。同学会では各自が関連した研究報告を行うと同時に、毎年同学会と同じ場所で開催されるISRD全体ミーティングにも参加し、各国のISRD関係者と情報交換を行いました。上田氏は、「ISRDのネットワークを通じて、多くの海外の研究者と交流することや、国際学会での報告経験を重ね、本ユニットメンバーのグローバル化は大いに進展した。とりわけ、国際学会に派遣したメンバーで、自身の研究成果を英語で業績化することに着手している人がいることは大いに評価できる」と手応えを述べました。

一方で、意識調査ユニットは、ISRDのプロトコルに従った調査*3を実施するために、各自治体の教育委員会や学校関係者とコンタクトを取り、調査の目的や方法を丁寧に説明すること、犯罪社会学ユニットは、各々のメンバーのデータ処理スキル向上、国内外データアーカイブへのデータ寄託先選定といった、各ユニットの今後の課題を挙げました。

さいごに上田氏は、「現状、日本人による英語論文の数は非常に少ない。若手研究者の国際学会への継続的派遣に加え、国際的なジャーナルへの投稿も行い、研究成果を世界に発信していきたい」と抱負を述べ報告を終えました。

ISRD研究の更なる発展のために、意識調査ユニットは、2019年3月29日、龍谷大学深草キャンパスで公開セミナー「バルカンの犯罪学」を開催します。
【イベント概要>>】http://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-3239.html

「CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会」は、犯罪学研究センターに関わる研究者間の情報共有はもとより、その最新の研究活動について、学内の研究員・学生などさまざまな方に知っていただく機会として、公開スタイルで開催しています。
今後もおおよそ月1回のペースで開催し、「龍谷・犯罪学」に関する活発な情報交換の場を設けていきます。


津島 昌弘(本学社会学部教授、犯罪学研究センター 研究部門長・「犯罪社会学・意識調査」ユニット長)

津島 昌弘(本学社会学部教授、犯罪学研究センター 研究部門長・「犯罪社会学・意識調査」ユニット長)


岡邊	健(京都大学大学院教育学研究科 准教授・犯罪学研究センター嘱託研究員)

岡邊 健(京都大学大学院教育学研究科 准教授・犯罪学研究センター嘱託研究員)

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【補注】
*1「第3回調査(ISRD3)」
第1回調査(ISRD1)は、13ヵ国が参加し、1992-1993年に実施された。第2回調査(ISRD2)は、2005-2007年に31ヵ国の参加を得て、実施された。最新の第3回調査(ISRD3)は、2012年に開始され、約40カ国が参加している。

*2「プレ調査」
海地方X市の中学校で、同校の1年生、2年生、3年生の各1クラスで実施した。

*3「正式な自己申告非行調査」
人口規模の大きい都市(2都市以上)で実施。調査対象自治体の全ての中学校のクラスをサンプルに見立ててランダムに抽出し、1都市あたり900名(内訳:中学1年生300名、2年生300名、3年生300名)に調査を行う。
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【>>関連ページ】
犯罪学研究センター・意識調査ユニット
https://crimrc.ryukoku.ac.jp/org/science.html#s02
犯罪学研究センター・犯罪社会学ユニット
https://crimrc.ryukoku.ac.jp/org/society.html#s01