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2019.10.24

京都コングレス・ユースフォーラムへの道のり2【犯罪学研究センター】

刑事政策の未来をテーマに「ドイツ×日本 犯罪学学術交流セミナー2019」を開催

2020年4月20日~27日、国立京都国際会館で「京都コングレス(第14回国際犯罪防止刑事司法会議)」が開催されます。来春の京都コングレスに関連して実施される「京都コングレス・ユースフォーラム」への龍谷大学チームの参加に向けて、犯罪学研究センターHPでは「京都コングレス・ユースフォーラムへの道のり」と題して、参加学生の皆さんの活動の様子をシリーズで紹介していきます。

>>前回記事:京都コングレス・ユースフォーラムへの道のり1
>>関連URL:法務省・京都コングレス・ユースフォーラム

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Ⅰ.【ようこそ、龍谷大学へ!ドイツチーム、日本チーム、ドキドキの対面】
2019年10月10日、本学深草キャンパス紫光館4F法廷教室で「ドイツ×日本 犯罪学学術交流セミナー2019」を開催しました。「刑事政策の未来」をテーマに、ドイツのマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク大学(略称:ハレ大学)の学生と龍谷大学の学生が英語討論会を行いました。龍谷大学は、ユースフォーラム参加学生と法学部有志学生の共同チームが参加。この日のために、報告テーマの選定、報告資料の作成、プレゼンテーション技術の向上に努めてきました。公開で行われた本セミナーには、ドイツ、日本合わせて約50名が参加しました。
>>イベント概要:https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4179.html

開会に先立ち、石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)による歓迎のあいさつ、龍谷大学及びACS2020(アジア犯罪学会 第12回年次大会 in 龍谷大学)の紹介が行われました。

Ⅱ.【先陣を切ったTeam Japan!この日のために培った渾身の英語プレゼンテーション】
両校が報告テーマを確認し、最初に日本チームによる報告が行われました。日本側の報告テーマは「死刑制度」。現在、世界の3分の2の以上の国が法律上あるいは死刑を事実上廃止しています。また死刑存置国でも、死刑判決、死刑執行数が年々減少しています。犯罪予防の観点から見ても「死刑には犯罪の抑止効果がほとんどない」というデータが出ているにも関わらず、日本では2012年以降、毎年死刑が執行されています。世界的に安全で犯罪が少ない日本において、なぜ死刑が存置され執行が続いているのか?先進諸国と比べ、日本で死刑が支持されている理由は何か?国際的に関心が高い日本の「死刑制度」について、我々が状況報告しよう!という意気込みからテーマを決定しました。以下の内容で、各チームがそれぞれ報告しました。
①「死刑と世論」“Death Penalty and Public Opinion”
②「死刑と宗教」“Relation between Death Penalty and Religion” 
③「死刑とテロ」“The Impact of Terrorism on Death Penalty”


「死刑と世論」チームによる報告のようす

「死刑と世論」チームによる報告のようす


「死刑と宗教」チームによる報告のようす

「死刑と宗教」チームによる報告のようす


「死刑とテロ」チームによる報告のようす

「死刑とテロ」チームによる報告のようす


石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)

石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)

「死刑と世論」チームは、 死刑制度の存置と世論の関係性を調査しました。死刑制度への世論との比較指標として日本国内の景気動向に着目。その結果、好景気の時は死刑制度の存置に反対する人が多くなり、反対に不景気の時(ex.オイルショック、バブル崩壊、リーマンショック)は死刑制度の存置に賛成する人が多くなることを発見しました。また、残忍な犯罪が発生した後、死刑制度を存置させることに賛成する人が増加することも見逃せない点であると主張しました。
「死刑と宗教」チームは、ドイツで信仰されているキリスト教、日本で信仰されている宗教(仏教、神道、儒教など)の価値観の違いを説明しました。日・独の宗教的価値観の違いから、犯罪や刑事事件に対する責任の捉え方に大きな影響を与えていることを述べました。そして、「宗教的価値観」と「責任」をキーワードに、日本で死刑が存置され、ドイツで死刑が廃止に繋がったとされる背景を説明しました。
「死刑とテロ」チームは、テロリズムの定義を示し、日本で発生したオウム真理教による一連のテロ事件と死刑執行に至るまでの経緯を報告しました。また、日本のテロ対策にも触れ、国際的なテロ対策は進んでいるが、国内のテロ対策の整備が進んでいないことを指摘。さらに、テロ事件発生時における、各公的機関(公安調査庁、警察庁、警視庁、都道府県警など)の連携を課題に挙げました。

Ⅲ.【ローゼナウ教授率いるTeam Germany!異国の地、日本で堂々の英語プレゼンテーション】
休憩を挟んだ後、ドイツチームによる報告が行われました。報告テーマは「薬物政策」。以下の内容で、各チームがそれぞれ報告しました。

①「医療大麻合法化」“Use of cannabis for medical purposes”
②「大麻使用の全面合法化」“Legalization of Marijuana: Pro and contra”
③「自殺のための麻薬」“Restriction of the Narcotics Law Ruling of the Federal Administrative Court”

現在、薬物政策の世界的な潮流として、違法薬物に対する厳しい規制を伴う政策はあまり取られていません。新たな薬物政策として違法薬物使用者に対して寛容なハームリダクション(harm reduction)や治療に向けた方向への転換が図られています。その潮流はドイツでも顕著に顕れています。刑法による違法薬物の取締りは緩和され、2017年3月には、医療目的で使用する大麻が合法化されました。


「医療大麻合法化」チームの報告のようす

「医療大麻合法化」チームの報告のようす


「大麻使用の全面合法化」チームの報告のようす

「大麻使用の全面合法化」チームの報告のようす


「自殺のための麻薬」チームによる報告のようす

「自殺のための麻薬」チームによる報告のようす


ヘニング・ローゼナウ教授(ドイツ・ハレ大学)

ヘニング・ローゼナウ教授(ドイツ・ハレ大学)

「医療大麻合法化」チームは、医療大麻の合法化による現場における治療の効果、大麻使用で生じる身体への悪影響を報告しました。また近い将来ドイツでは、大麻使用の全面合法化が検討されているとのことでした。前チームの報告を受け、②「大麻使用の全面合法化」チームは、大麻使用の全面合法化のメリットとデメリットをまとめて報告しました。③「自殺のための麻薬」チームは、ヨーロッパで実際に起きた自殺幇助のために麻薬を使用した事案を紹介。裁判の経緯を踏まえながら、自殺幇助のための麻薬使用が法的に認められた理由を説明しました。
下記URLから両大学の報告資料を閲覧することができます。
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▼Google Drive
https://drive.google.com/drive/folders/1R5lxOamMF99uf9YOaNcc3YA57o_OOGOe?usp=sharing

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Ⅳ.【話せば、話すほど絆は深まる!若者たちが語り合った刑事政策の未来】
両校による報告後、ディスカッションに移りました。ディスカッションのテーマは、報告を踏まえ、①死刑制度存置の是非、②大麻使用全面合法化の是非に決定。学生たちは、担当教員の補助を受けながら、自らの意見を主張しました。当初は緊張感に包まれたディスカッションでしたが、議論を重ねるにつれ両校の親睦が深まっていきました。


ハレ大学チームによる質疑応答のようす

ハレ大学チームによる質疑応答のようす


ディスカッションのようす

ディスカッションのようす


龍谷大学チームによる質疑応答のようす 

龍谷大学チームによる質疑応答のようす 


写真右:金尚均教授(本学法学部、犯罪学研究センター「ヘイト・クライム」ユニット長)

写真右:金尚均教授(本学法学部、犯罪学研究センター「ヘイト・クライム」ユニット長)

Ⅴ.【ありがとう、ハレ大学の皆さん。また会える日まで!!】
ディスカッション終了後、ヘニング・ローゼナウ教授(ハレ大学)が閉会の挨拶と感謝の言葉を述べました。さいごに、互いに記念品の贈呈と記念撮影を行い、本セミナーは成功裏に終わりました。
今回の犯罪学学術交流セミナーは、日本とドイツの歴史や法文化を比較しながら、死刑制度と薬物政策を再考する大変有意義な機会となりました。また、本学学部生にとって貴重な国際交流の場となりました。



犯罪学研究センター(CrimRC)担当スタッフ・コメント
練習やリハーサルの段階では、各チーム試行錯誤の繰り返しでした。英語での資料作成とプレゼンテーション、制限時間内での発表など乗り超えるべき課題が山積していました。事前のミーティングやリハーサルで気付いた点は指導にあたった先生方が細やかに指導し、龍谷大学チームは、貪欲に知識・技術を習得しました。
迎えた本番。各チームとも堂々とした様子でプレゼンテーションを披露。ディスカッションでは自分の考えだけでなく、日本とドイツの文化や価値観を踏まえたうえで質疑応答を行いました。実りのある議論に発展し、この日のために準備してきたことが十分に活かされていました。
皆さんの頑張りに大きな拍手を送りたいです。さらなる成長を見届けるために、これからもCrimRCでは、引き続きレポートしていきます。

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補注:
*1「コングレス」:
5年に一度開催される犯罪防止と刑事司法に関する国連最大規模の会議。次回は2020年4月20日(月)~27日(月)、国立京都国際会館で「第14回国際犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)」が開催される。
http://www.moj.go.jp/KYOTOCONGRESS2020/