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2019.11.20

円卓会議「当事者の声と支援のあり方」を開催【犯罪学研究センター協力】

社会復帰に向けて必要な「支援」とは?

2019年11月2日(土)、龍谷大学 犯罪学研究センターは、深草キャンパス紫光館4階法廷教室において開催された円卓会議「当事者の声と支援のあり方」に協力しました。本イベントには約50名が参加しました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4257.html

まず、石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長、ATA-net代表)が開会の挨拶を兼ねてATA-netと“えんたく”*1の概要について説明を行いました。さまざまな嗜癖・嗜虐が私たちの身の回りにあり、誰もが陥りうる問題であるということを示唆しました。石塚教授は「ATA-netが提案する“えんたく”は課題共有型の会議スタイルであり、解決を目的とするのではなく、参加者みんなで課題を共有し、それぞれが持ち帰って検討してみるということがポイント。とりわけ事実を話すことがとても重要だ」と説明しました。


石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長、ATA-net代表)

石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長、ATA-net代表)


五十嵐弘志氏(特定非営利活動法人マザーハウス 理事長)

五十嵐弘志氏(特定非営利活動法人マザーハウス 理事長)

“えんたく”のセンターテーブルには 司会の石塚教授をはじめ、阿部恭子氏(特定非営利活動法人 WorldOpenHeart代表)、片山徒有氏(NPO法人あひる一会代表)、五十嵐弘志氏(NPO法人マザーハウス代表)、マザーハウススタッフ2名、大学生2名(龍谷大学法学部・石塚ゼミ生)の8名が着席しました。



五十嵐氏から「元受刑者が社会で生きてゆくこと」についてみんなで考えたいと問題提起が行われました。この問題提起を受け、センターテーブルのメンバーが順々に発言を行いました。マザーハウスのメンバーからは、「『履歴書』が書けないという問題がある」と発言がありました。学生からは、社会に受け入れられるか不安ということに関して、ジェンダーに視点をあて、「たとえば、LGBDの人は、自分の心にしたがってお手洗いを使った場合、犯罪者にされてしまう可能性がある。正しいことをしているのに犯罪者になるかもしれない社会では、社会に受け入れられるか不安だと思うし、真の社会復帰はできないのではないか」と発言がなされました。阿部氏は、加害者家族の支援を通して、加害者の社会復帰に携わってきた経験を話しました。


片山徒有氏(NPO法人あひる一会代表)

片山徒有氏(NPO法人あひる一会代表)


阿部恭子氏(特定非営利活動法人 WorldOpenHeart代表)

阿部恭子氏(特定非営利活動法人 WorldOpenHeart代表)

その後、参加者らは3名1組のグループに分かれ、センターテーブルでの発言を受けてディスカッションをしました。各グループの代表者がディスカッションの内容を発表し、それぞれの意見を共有しました。会場からは、社会復帰することについて、「上から目線で支援をするのではなく、同じ目線で応援をするのがいいのでは」や「それぞれのアイデンティティを大事にすることが重要だと感じた」などといった意見が発表されました。
さいごに、石塚教授が「今日、みんなで共有したことをお土産として持ち帰り、それぞれ『当事者の声と支援』について考えてほしい」と締めくくりイベントを終えました。

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【補注】
*1 えんたく:
”えんたく”とは、ATA-netが開発した課題共有型のフォーカス・ミーティングの方式で、当事者を中心にした参加型で議論を行う。メイン・スピーカーが問題状況について15分程度の話題提供をし、これを受けて、ファーストテーブルのスピーカーが自分の持っている情報を順に話す。その後、相互に追加の情報を提供し、その後に他の参加者と共に3名程度のグループを作って話しあう。再度、ファーストテーブルのスピーカーが情報交換をして、それぞれの考えたこと、感じたことなどを分かちあう。