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2022.06.07

公開研究会・シリーズ「戦争と犯罪」第2回レポート【犯罪学研究センター共催】

ウクライナの現状をジャーナリストが語る

2022年5月29日、龍谷大学犯罪学研究センターは、「公開研究会・シリーズ「戦争と犯罪」第2回 ウクライナの現状をジャーナリストが語る」をZoomLIVE配信形式で共催しました。本研究会には、約60名が参加しました。
【イベント情報:https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-10491.html
【プレスリリース:https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-10535.html

講師に綿井健陽氏(ジャーナリスト)を、コメンテーターに小熊宏尚氏(共同通信社 外信部編集委員)をお招きし、司会を石塚伸一教授(本学法学部)、ナビゲーターを舟越美夏氏(ジャーナリスト、龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員)が務めました。

 はじめに、石塚教授より「ウクライナで今、何が起こっているかを知る必要がある。日本の大手メディアの報じる情報はアメリカ目線のものが多いが、多角的にこの事態を見る必要がある。そこで、いち早くウクライナ入りした綿井氏にお話いただくことにした。」と趣旨説明を行いました。
 シリーズ第2回は、ロシアによるウクライナ侵攻において、3月中旬から4月下旬までウクライナで取材をした綿井氏より、「ウクライナの現状をジャーナリストが語る」というテーマのもと、映像を交えながらウクライナの状況についてご報告いただきました。


石塚伸一教授(本学法学部)

石塚伸一教授(本学法学部)


ウクライナ近郊の地図

ウクライナ近郊の地図

■綿井氏の報告要旨:
 まず、3月17日にポーランド・ワルシャワからリビウに入り、キーウ入りしたのは3月23日であったということです。ワルシャワからリビウに向かう鉄道の車内にて撮影された映像を紹介しながら、リビウからキーウへ11時間かけて移動し、車内は満席であっったこと、静まり返った車外の様子や、兵隊のために土嚢が積まれた郊外の様子をお話しいただきました。

 そして、ブチャやイルピンなどキーウの東側に位置する郊外で行った取材のお話をいただきました。まず、イルピンでレスキュー隊が何度も現場と医療施設を往復しているということをお話しくださいました。映像には、レスキュー隊が救助作業を行なっている姿があり、同じ広場にいた、泣きながらロシア語で電話をする女性の姿は特に印象的でした。
 領土防衛隊が拠点としている場所(秘密の場所)についてもお話をいただきました。食料品や日用品などの物資が確保されており、また各国から送られてきた支援物資を紹介しました。中には、Made in Japanの自衛隊ヘルメットがありました。領土防衛隊の隊員には、弁護士や、マスコミ関係者、アートレーターなど様々な職種の方が志願しているということでした。
 4月に入り、ウクライナ軍が領土を奪還したあと、ロシアの軍用車両の残骸や、ロシア兵の遺体を見かけるようになったと紹介しました。映像に映し出される軍用車両の残骸や遺体は日本の報道番組では報じらることのない、緊張感のある光景でした。4月のキーウはまだ気温が低く死臭などはせず、また、ロシアの戦死者は21歳から23歳の若年層が多く、また南部出身者やモンゴル系などアジア系の兵士が多いという報告もありました。
また電気やガスが通じない中、屋外で炊き出しを振る舞う市民の映像や、露店のお花屋さんを紹介し、ウクライナの人はきれい好きで、戦争下にあっても、美しくあることを忘れていないエピソードなども紹介されました。

 綿井氏の報告の後、小熊氏、舟越氏、石塚教授を交えて鼎談を行いました。


小熊宏尚氏(共同通信社外信部編集委員)

小熊宏尚氏(共同通信社外信部編集委員)


舟越美夏氏(ジャーナリスト)

舟越美夏氏(ジャーナリスト)

■鼎談:
 まず、小熊氏より「映像の中に、ロシア語を話す女性の姿があったが、プーチンは、この戦争はロシア語話者を保護するために始めたということを理由の一つに挙げているが、実際はロシア語話者が苦しめられているということを改めて感じた。」と感想が述べられました。続いて、舟越氏より「領土防衛隊の心理はどういったものか」という質問が投げかけられました。これに対し、「ウクライナの人たちは、強気な人が多く、停戦などは考えていない人が多い。ネガティブに捉えている人は少ない。」と解説しました。
 また、取材中は、ウーバーイーツが利用できたり、クレジットカードも問題なく使えたりと、経済が保たれていたというエピソードも印象的でした。


鼎談の様子

鼎談の様子

当日の記録映像をYouTubeにて公開しています。ぜひレポートとあわせてご覧ください。
→YouTubeリンク

 オーディエンスからさまざまなコメントご意見が寄せられました。シリーズ第3回において、これらの質疑に応える会を実施しました。

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https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-10563.html