2022.09.15
龍谷エクステンションセンター、革新的材料・プロセス研究センター主催 2022年度 第3回 REC BIZ-NET研究会 3つのシーズから学ぶ「新しい有機機能材料とその可能性」を開催
【本件のポイント】
- 本学教員によるシーズ発表会「REC BIZ-NET研究会」を開催
- 本研究会は、全国の中小企業を主な対象に、さまざまな分野にわたる最先端のシーズに触れていただく機会を提供
- 今回は、新しい有機機能材料について3つのテーマを紹介。新しい材料や関連技術にご興味のある方等、価値ある情報源としてもらう
【本件の概要】
龍谷大学 「革新的材料・プロセス研究センター」では、その一つのミッションとして、環境・自然に配慮した持続的な社会の発展に寄与する材料科学研究を推進することで(知の創造)、学術的な知見や事業化につながる研究シーズを創出し、社会に貢献すること(知の活用)を目的に研究活動を行っています。今回のBIZ-NET研究会※1では、新しい有機機能材料について3つのテーマを紹介させていただきます。新しい材料や関連技術にご興味のある方等、価値ある情報源としてぜひとも御聴講いただければ幸いです。
1.配信日時 2022年9月28日(水)15時00分 ~17時00分
2.開催方法 ハイブリッド開催(Web+対面)
対面:瀬田キャンパスRECホール1F小ホール https://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/seta.html
3.テーマ 3つのシーズから学ぶ「新しい有機機能材料とその可能性」
●講演1
タイトル:天然色素を利用した温度センシング
講 演 者:龍谷大学先端理工学部 応用化学課程 教授 宮武 智弘
内 容:
植物等に含まれる「クロロフィル」と呼ばれる色素成分は、太陽光を吸収し、そのエネルギーを集める役割を担う光合成を支える色素成分です。

このクロロフィルは陸や海洋に生息する光合成生物によって生産され、自然界で分解されるサイクルをもつ再生可能な資源の一つです。しかしながら、この光機能性を持つ天然色素の利用は、食品や医薬品向けの着色料等に限定されているのが現状です。
当研究室ではこれまで、クロロフィルの分子構造を変えた人工のクロロフィルを設計・合成し、その性質や機能を解明する基礎的な研究を進めてきました。その中で、「アルキル鎖」と呼ばれる柔軟な分子構造をクロロフィルに付与すると、クロロフィル分子が積層しながら並び、温度上昇に伴う分子配列の変化によって光吸収の特性が変化することを見出しました。
ここでは、クロロフィルの基礎とクロロフィルを用いた物質合成、そして温度変化に応答するクロロフィル色素を使った温度センシングについて紹介します。
●講演2
タイトル:高い蛍光効率と安定性をもつピリジルジフェニルメチルラジカル誘導体の開発
講 演 者:龍谷大学先端理工学部 応用化学課程 助教 服部 陽平
内 容:
最近、新たな有機発光材料として安定ラジカルが注目されています。

通常の閉殻分子では、一重項励起状態よりエネルギーの低い三重項励起状態が消光の原因となりますが、安定発光ラジカルの二重項励起状態は四重項励起状態よりエネルギーが低いためこのような失活は起こりません。そのため安定発光ラジカルは、熱活性化遅延蛍光分子を用いた第3世代有機ELに匹敵する高効率発光が可能な有機EL材料として期待されています。
服部研究室では、安定発光ラジカルの中でも光照射化での安定性に優れたピリジルジフェニルメチルラジカルの誘導体を開発しています。本BIZ-NET研究会では、最近新たに合成した、高い発光効率や高い安定性をもつ安定発光ラジカルについて紹介します。
●講演3
タイトル:熱硬化性ベンゾオキサジン樹脂の基礎と分子設計による高性能化
講 演 者:龍谷大学先端理工学部 応用化学課程 教授 河内 岳大
内 容:
ベンゾオキサジン樹脂(ポリベンゾオキサジン)は材料としての歴史は浅いものの、従来の常識ではありえない多くの特性を有する興味深い熱硬化性樹脂です。

フェノール類、アミン類およびパラホルムアルデヒドから容易にベンゾオキサジンモノマーを合成することができ、このモノマーを加熱するだけでポリベンゾオキサジンが得られます。化学構造からフェノール樹脂に分類されますが、耐熱性、難燃性に優れているばかりか、極性官能基が多いにもかかわらず低誘電率や低吸水率など、化学構造からは想定できない特性を示します。また、モノマーの保存安定性が良いことに加え、熱開環機構のため揮発生成物が少なく重合前後での体積変化も小さいことから寸法安定性に優れるなど、プロセス上の大きな利点も有しています。
河内研究室では、ポリベンゾオキサジンのさらなる高性能化を目指し、分子設計やアロイ化・ハイブリット化に関する検討を行ってきました。本BIZ-NET研究会では、モノマー合成や重合などのポリベンゾオキサジンの基礎について概説した後、種々のアプローチによる高性能化について紹介します。
※1 REC BIZ-NET(RECビジネスネットワーククラブ)とは
龍谷大学エクステンションセンター(REC)では、産学連携のマッチングや共同研究・プロジェクトの創成に向けて、地域の中小企業・ベンチャー企業を対象としたREC ビジネスネットワーク(REC BIZ-NET)を組織・運営しています。
REC BIZ-NETでは、定期的なセミナーの開催や課題別研究会の編成・プロジェクトの運営、RECフェローやコーディネータによる技術相談・経営相談等を通じて、会員企業と本学の産学連携や、会員企業間の交流の場を提供しています。
過年度の開催実績は以下からご覧ください。
https://rec.seta.ryukoku.ac.jp/iag/biznet/study_group.html
お問い合わせ先 : 龍谷エクステンションセンター(REC)滋賀 (担当者:河角)
[Tel] 077-543-7805 [E-Mail] rec@ad.ryukoku.ac.jp