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2023.02.27

学外者を交えてのプロジェクト発表会をおこないました【社会共生実習】

 「社会共生実習(大学は社会共生に何ができるのか―文化財から“マネー”を創出する―)」(担当教員:社会学科 教授 髙田満彦)では、2/21(火)に今年度お世話になった実習受け入れ先や専門家の方々、交流のある愛媛大学と嵯峨美術大学の学生を招いてオンラインでプロジェクト発表会をおこないました。


発表する受講生の様子

 本プロジェクトでは、文化財について『保存』と『活用』を両立し、且つ、そこから『マネーを創出する』新しい方法を考えることを目標として活動してきました。
 今年度は、「疏水船と大津」というテーマに受講生全員で取り組み、更に、個人の興味分野にあわせて「近江の祭りチーム~大津祭~」、「観音ガールチーム~湖北の観音文化~」、「近江八幡チーム~八幡掘まつり~」の3つのチームに分かれて活動しました。(取り組みの詳細は【こちら】をご覧ください。)

 この日はまず初めに1年間の活動についての発表がなされ、フィールドワークの概要説明やチーム別の活動報告がおこなわれました。


発表する受講生の様子


ICTを使いこなす受講生

 次に、発表者である本プロジェクト受講生と参加者を交えてA~Dの4つのグループで次年度以降の本プロジェクトの方向性について議論がなされました。

 Aグループは、地域社会での文化財の『保存』について議論しました。
 ここでは、『マネーを創出する』ためには文化財の『活用』がメインになるものの、文化財の『保存』の基盤がしっかりしていなければいけないと仮定し、『保存』に注力するためには何が必要か考えました。話し合いの中で、『価値』というキーワードが幾度となく出ました。「ここで言う『価値』とは、文化財の長年にわたる歴史や地理的要素を指すものだ」、「現代の人がその文化財(例えば祭りなど)に参加出来るということ自体を指す」、「人々がそれを『大切』だと感じる想いなどを指すことが出来るのではないか」といった意見が出ました。


Aグループの議論の様子


Aグループの議論の様子

 Bグループは、地域住民との関わり方について議論しました。
 ここでは、「学生には専門家のような視点はいらないが、一方で、学生の活動に対する所蔵者や地域住民の理解は必要なので、同じ目線に立つための情報収集などは重要であり、地域住民の理解を得るためにはまずは『仲良くなる』ことが大切である」、「行政と地域住民を繋ぐパイプ役になるというアプローチも出来るかもしれない」などといった意見が出ました。


Bグループの議論の様子


Bグループの議論の様子

 Cグループは、文化財の広報の仕方について議論しました。
 ここでは、活動資金等の『マネーを創出する』ためには広報は必要不可欠だと考え、過去に携わった広報活動の事例を出し合いました。また、広報される側の立場に立って、どのような広報であれば魅力的に感じてお金を使いたいと思うかなどについても議論しました。メンバーからは、「そもそも『誰に』、『何を』伝えたいのかといった前提が曖昧ではないか」という指摘も出て、広報の意味を再考する場面もありましたが、「まずは同じ大学生に活動を認知してもらうところから始めてはどうか」、「活動の目的は地域を盛り上げる・立ち上がらせることなので、『広報活動』というよりは『人に伝える活動』という表現がより適切かもしれない」などといった意見が出ました。


Cグループの議論の様子


Cグループの議論の様子

 Dグループは、文化財の『保存』と『活用』のバランスについて議論しました。
 ここでは、『マネーを創出する』という言葉について、「利益を追求する団体だと捉えられかねないが地域住民に勘違いされないような工夫があるか」、「観光地と化し、文化財が蔑ろにされてしまわないか」といった厳しい質問が飛び交いました。今後の本プロジェクトの活動において、「文化財を観光目的とすることで人の往来が増加し、近隣の環境が悪化してしまう可能性もあるため、『保存』は常に意識しておくべきである」、「俯瞰で当該地域に関わることが出来ることが大学の利点であるため、地域に入り込む可能性はあるが、地域住民とまったく同じ目線になりすぎることには注意すべきである」といった意見が出ました。


Dグループの議論の様子


Dグループの議論の様子

 参加してくださった方々からは、活動するだけではなく、こうして定期的に成果を報告し、改善点を模索する姿勢を高く評価いただきました。
本プロジェクトを担当する髙田満彦教授が今年度をもって退職するため、次年度以降、このプロジェクトを受講している学生たちは、活動基盤を今までの社会学部の中の1つの授業から、一般同好会【文化継承・活用プロジェクト「雅」】に移行します。
 今回のプロジェクト発表会でいただいた貴重なご意見をもとに、次年度以降も文化財の『保存』や『継承』、『活用』などといった課題の解決を目指して精力的に取り組んでくれることを期待しています。


受講生から髙田先生へサプライズ!


全員で記念撮影

社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。