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2023.08.22

日本の死刑・再審制度の人権侵害について問う 国際ワークショップをドイツ・ベルリンで開催 袴田事件、大崎事件、大阪死刑3訴訟の担当弁護士らが海外報告 < 9/4(月)ドイツ会場より日本語逐次通訳付きでLIVE配信>

【本件のポイント】

  • 現在進行中の重要訴訟に関わる弁護士らの国際ワークショップを、ベルリン・フンボルト大学で開催
  • 日本の死刑制度と再審制度の「いま」について、国際的・多角的な視点から捉え、共に考える機会に


【本件の概要】
 龍谷大学 刑事司法・誤判救済研究センター(RCWC) 1)は、2023年9月4日(月)、ドイツ・ベルリンのフンボルト大学においてワークショップ&リリース「日本の死刑と再審」を共催します。同イベントは、国連から廃止勧告を受け続けている人権の核である人の生命を奪う「死刑」2)と、無実の人が有罪判決を受けてしまう誤判からの非常救済手続「再審」3)という日本の司法制度の現状を、世界に向けて問うものです。
 日本は立法、行政、司法の権力の均衡を図る三権分立の政治体制をとっています。しかし、裁判所が再審請求の裁判をしている最中であっても、法務大臣が死刑の執行を命令して、再審請求の裁判を止めてしまうのが実情です。袴田事件では、袴田巌氏(87歳・男性)の雪冤の再審裁判が静岡地方裁判所で始まったものの、検察が有罪の立証方針を決めたことから裁判の長期化が予想されています。大崎事件では、10年の拘禁刑の有罪判決を受けた原口アヤ子氏(96歳・女性)は、出所後に再審請求の活動を始め、3度の再審開始決定があったが、ことごとく上級審で覆され、現在、4回目の再審請求が最高裁判所に係属しています。このような時代状況の中、大阪では、死刑囚等による3つの訴訟が継続しています。再審請求中の執行、死刑の当日告知・即時執行、そして絞首刑の残虐性を争う3つの行政訴訟・賠償請求訴訟です。
 今回は、日本の死刑と再審の改革を求める研究者と弁護士のチームが、欧州の中心であるベルリンから、生命と権利の保障をめざしている世界の人たちに、日本における人権侵害の現状を示し、国際的知見の提供を呼びかけることを目的として開催します。
※上記事件・訴訟については以下WEB内の補注を参照

1.実施概要
- 名称:ワークショップ&リリース「日本の死刑と再審」
- 日程:2023年9月4日(月)日本時間20:00-24:00(ドイツ時間13:00-17:00)
- 会場:ベルリン・フンボルト大学213号教室 ※ドイツ会場よりLIVE配信予定
- 参加:無料 ※下記URLから事前登録制
- 主催:一般社団法人 刑事司法未来(CJF)
- 共催:龍谷大学 刑事司法・誤判救済研究センター(RCWC)/フンボルト大学 ルイス・グレコ研究室
- 協力:マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク ヘニング・ローゼナウ研究室
- 後援:龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)ほか

2. プログラム(予定) ※日本時間、配信は日本語逐次通訳付き
20:00 開会:企画の趣旨説明“日本の死刑と再審”(石塚伸一)
20:20-21:20 第1部(司会:ヘニング・ローゼナウ)
 第1報告「袴田巌事件について〜47年の拘禁の末に始まった再審裁判〜」
 第2報告「再審法案の起草について〜日本には、再審に関する法律がない〜」
 第3報告「死刑囚人権訴訟〜大阪で死刑囚の権利を争う裁判が始まった〜」
21:20-21:50 =休憩=
21:50-22:50 第2部(司会:ヘニング・ローゼナウ/石塚伸一)
 第4報告「日本の再審〜研究者の目からみた〜」
 日本から、ドイツから、世界からのコメント(各10分)
22:50-23:50 ディスカッション(60分)  |   23:50-24:00  まとめと閉会の辞(10分)

3.登壇者(順不同)
趣旨説明: 石塚 伸一(龍谷大学名誉教授)
司会:ヘニング・ローゼナウ(ハレ大学法学部教授)
スピーカー: 袴田事件弁護人  戸舘 圭之(第二東京弁護士会)
大崎事件弁護人  鴨志田 祐美(京都弁護士会)
大阪3訴訟代理人 西 愛礼(大阪弁護士会)
刑事訴訟学者   斎藤 司(龍谷大学法学部教授/刑事司法・誤判救済研究センター長)
コメンテーター:金 尚均(龍谷大学法学部教授)、古川原 明子(龍谷大学法学部教授) ほか

4.詳細・参加申込方法
以下URLから詳細を確認のうえ、ページ内のフォームに必要事項を入力しお申込みください。
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-13145.html

5.用語解説
1)龍谷大学 刑事司法・誤判救済研究センター(RCWC)
よりよい刑事司法と誤判救済のありかたを探求することを最大の目的として2023年4月に設置されました。実効的な誤判救済システムの構築とそのための実務の整備、その両者の協働のための基盤の構築を目指して、研究者だけでなく、弁護士を中心とする法律実務家に積極的に関与いただき、研究を推進しています。

2)死刑をめぐる現状
日本は、米国や韓国などと並んで、死刑制度を存置する民主主義国です。しかし、米国では、死刑を廃止または執行停止している州が過半数になろうとしています。韓国は、20年以上もの間、死刑を執行しておらず、国際的には「事実上の廃止国」と位置付けられています。先進諸国においては、人権や手続的正義の観点から、死刑を廃止したり、執行を停止したりすることが主流となっているのに対し、日本政府は、現在でも世論調査の8割が死刑を支持していることを理由に存置の姿勢を崩していません。

3)再審をめぐる現状
再審とは、無実の人が有罪判決を受けてしまうこと、そして、これによって生じる人権侵害から救済する非常救済手続として制度的に位置づけられているものの、日本の裁判所で再審請求が認められる事件は極めて少数です。「再審法」に当たるのは刑事訴訟法「第四編 再審」で、わずか19条の条文で構成されています。大正刑事訴訟法の規定をほぼそのまま引き継ぎ、100年以上も前の規定から改正されていません。

問い合わせ先:龍谷大学 刑事司法・誤判救済研究センター
Tel 075-645-7922 rcwc@ad.ryukoku.ac.jp https://rcwc.ryukoku.ac.jp/