2023.10.02
【ノータバコ22】喫煙と循環器疾患

前回は「喫煙とがん」との関係について紹介しました。
今回は、「喫煙と循環器疾患」、心臓・血管・リンパ管など体液を体に循環させる器官とタバコの関係についてです。
タバコの煙に含まれる血管系に影響を与えるものとして、
ニコチン、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、シアン化水素(HCN)、活性酸素(O2–)などの有害化学物質があります。
このような有害化学物質の影響により、動脈硬化や血栓の形成が進むことから、虚血性心疾患(心筋に酸素を供給している冠動脈がすぼまって狭くなることによって生じる病気の総称)を引き起こす原因となります。
喫煙によって動脈の炎症や収縮が引き起こされ、動脈硬化や血栓の形成が進みます。また、血小板の凝集も血栓の形成につながります。
これらのメカニズムが相互に関連しあって、虚血性心疾患の発症につながるのです。
タバコと心臓病はつながっていて、まさに「心臓やぶり」なのです。
なお、喫煙本数を減らす、あるいは低タール・低ニコチンたばこに切り替えても、虚血性心疾患のリスク低下にはつながらないとの結論が示されています。
また、喫煙は、脳卒中のリスクも高めます。
脳卒中は、脳の血管の血流障害によって、血管周囲や血管が栄養する脳の領域の神経細胞が死滅することで発症する病気です。
脳の血管が破れるタイプ(くも膜下出血、脳出血)、脳の血管が詰まるタイプ(脳梗塞など)があります。
喫煙による脳の動脈の動脈硬化や血栓の形成、炎症反応により、脳梗塞やくも膜下出血の発症、および死亡のリスクが高まるのです。
他にも、喫煙によって、末梢の動脈硬化症、主に閉塞性動脈硬化症や頸動脈硬化症のリスクが高まります。
さらに、腹部大動脈瘤の破裂にも影響していることが明らかになっています。
がん同様、喫煙は、死に至らなくても、日常生活に多大な影響を及ぼす重篤な循環器系疾患を招くリスクが高いです。
できるだけ早く、卒煙・禁煙しましょう。
参考・出典:厚生労働省e-ヘルスネット 「喫煙と循環器疾患」
執筆 平野 公康、中村 正和
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-002.html