2023.10.23
法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/『生誕110周年記念特別展「團藤重光の世界-法学者・最高裁判事・宮内庁参与」』を見て(2)【法学部】
前回公開した團藤プロジェクトの続きです!!もし、第一回をまだご覧になっていない方はそちらの方をぜひご覧ください!!
法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/『生誕110周年記念特別展「團藤重光の世界-法学者・最高裁判事・宮内庁参与」』を見て(1)【法学部】
團藤重光先生について
團藤先生が関わる有名な訴訟は?
Q. 展示場ではNHKが製作した特別番組を放映しており、今回は大阪空港訴訟が取り上げられていますが、それ以外で團藤先生が担当された事件において有名なものはどういう事件がありますか。
A.そうですねー。まあ例えば長沼ナイキとか。最近の学生さん、長沼ナイキって言っても、ピンと来ていただけないかもしれませんが…。
(質問者:でも、次のゼミの発表で扱おうと思っています。)
そうなんですね。ありがとうございます。
Q. この長沼ナイキ事件を担当されているということは、大阪空港の訴訟と同じように、團藤先生はノートに細かく記されているのでしょうか。
A. 一応あると思うけれど、まだその中身を精査していないので今後の課題になってきますね。 あのノート全体をこれからみんな(團藤プロジェクトは共同研究)で4月から始まっている科研費(科学研究費助成事業)を使い共同研究でやっていこうということになっていますので、これからは、あのノートをみんなで分析をしていこうというような感じです。
團藤先生を一言で表すなら
Q. 團藤先生を一言で表すならどんな言葉で表現することがいいと思いますか。
A. 「ヒューマニスト」です。とにかく、優しいです。社会の様々な人々に対して優しい眼差しを持っている人です。例えば、セックスワーカーの方がやむを得ず売春の仕事をしていたとして、やっぱり本人を処罰するのはおかしいから、本人を利用している事業者の方を処罰するべきだということです。売春は悪だけど、本人は処罰しないということです。むしろ保護とか更生の方を重視していくべきだろうということで、そういうところで常に揺れ続けるし、その人を救うような手立てはないのだろうかとずっと思っているわけです。
常にそういう人間に対する優しい眼差しを持った人ですね。法律家は本来そういう眼差しを持った人が、ああいった立場の人に立つべきだと思っているんですけど、現実はどうでしょうか。今まさに、團藤先生のような人が求められている世の中になったのではないかと思います。
團藤先生のパワフルさ
Q. 團藤先生が、龍谷大学の客員教授に着任されたのが90歳を過ぎてからだったとの話でしたが、その先生の力の源というか、パワフルさというのは何にあったと思われますか。
A. 難しい質問ですね。何かあるのかな。質問に対しての答えになるかどうかわからないけど、先ほど僕はヒューマニストと申し上げたと思うのですが、彼はとても理念があって、理想に溢れた人で。その反面、同時に非常に合理的な人でもあるんですよね。バランスを取りながら、いろいろな人と話ができる人なんです。
政府に対して非常に厳しい意見を言い、対立が起こったとしても政府は彼の意見を聞きます。なぜかというと、この法律案やこの制度はとても原案のままでは賛成はできないけども、「こうしたらどうかしら」、と逆提案してきます必ず向こう(政府)が意見を呑むぎりぎりのラインとかも様々考えます。そういう(バランスをとった)風な提案を行うので話し相手としても、とても有能な人だと思いますね。単に理念だけ掲げるだけではなくて、バランスを取りながら現実的に社会を動かすことができるような人ですよね。
合理性の精神を持っているような、色々な切り口があるとても面白い人ですよ。だから全然飽きないですね、お付き合いしていて。力の源はどんなところにあるのかな。それには答えられていないけど、色々なことに関心を示すとか、やっぱりそこが大事じゃないかな。自分の狭いものに囚われないで色々なことを吸収して。色々な人と関わるということを恐れないことじゃないかな。なんかそういう人だと思うな。
引退した後、何もしなかったらすぐ老け込んでしまうけれど、若い人ともとても積極的に関わって。人との関わりを大切にしている人というのは、ずっと若いままで、とても生き生きした人生を歩めるのかもしれないですね。
Q. 團藤先生に直接お会いできると仮定したら、どんな感じのお話がしたいですか。
A. もう感極まると思います。何も話せない可能性は高いです。(笑)あまりにも凄すぎて、そもそも関わる要素ゼロで、しかも接点ないですから。(笑)
先生とは、 1回しかお会いしたことがないです。まさかこのようなプロジェクトを自分がやると思っていなかったので、凄いことで、これは非常に貴重な機会で、このように原史資料に近い立場で史料を見ることができるような機会っていうのは、世界的に見ても極めて異例のことだと思っているし、大変お世話になっている他学の先生にも「これが当たり前だと思わないでくださいね」と言われたことがあるので、こういったご縁をいただいて、勉強や研究をさせていただいていることに、とても感謝をしています。それで、そういった思いで團藤先生にありがとうございましたと、このご縁も含めて感謝を申し上げたいなと思います。
第二回はここで終了です。團藤先生について少しはお分かりいただけたでしょうか?この記事を書きながら私がもし團藤先生にお会いできたならどんな話をするのかな、どんなことを聞きたいかなと考えていたのですが、あまりにも知識の差があるのでお話より講義になってしまうような気が・・・(笑)ですが、それはそれでとても贅沢なことなので可能なら体験してみたいです!!
この團藤プロジェクトのインタビュー記事もとうとう次回で一端の区切りです。最後までよろしくお願いします!!
【取材・記事】
法学部学生広報スタッフ LeD's
伊藤 千夏(法学部3年)
川上 桃佳(法学部3年)
鈴木 啓太(法学部3年)
山本 真央(法学部3年)