2023.12.11
社会活動家・幾田桃子氏が“ジェンダー平等”をイメージしたドレスを西本願寺書院で発表。世界有数のファッション誌に掲載【ジェンダーと宗教研究センター】
ジェンダー平等と平和をイメージし、メッセージを服に込めて
世界有数のファッション誌『ハーパーズ バザー(Harper’s BAZAAR)』(日本版)において、ファッションやアートを通して社会活動に取り組む幾田桃子氏が国宝・西本願寺書院で纏った、"ジェンダー平等"のドレスが紹介されました。
【→出典記事:幾田桃子が国宝・西本願寺書院で纏った、"ジェンダー平等"のドレス】
今回、西本願寺での撮影の実現にむけて、浄土真宗本願寺派総合研究所への働きかけを行ったのは、龍谷大学ジェンダーと宗教研究センター(GRRC)の岩田真美センター長(本学文学部・准教授)です。
2020年4月に創設されたGRRCは、日本で初めての“ジェンダーを基軸とした宗教研究拠点”です。これまでジェンダーの視点から仏教をはじめとする世界の諸宗教の研究を行うとともに、宗教教育や社会実践についてもジェンダーの分析視角を用いることで、新たな視座から活動を展開すると共に、学内外への発信をつづけてきました。
幾田氏は、そうしたGRRCの活動趣旨に共感し、また西本願寺という場所からもインスピレーションを得て、今回の衣装を創作されました。雲の中に蓮華が浮かんでいるさまをイメージしたというドレスは、蓮華はジェンダー平等、雲は平和を表現しており、まさに白蓮華のような佇まい。阿弥陀仏の浄土に咲く蓮の花にはさまざまな色がありますがそれぞれが光を放つように、“自らの色そのままが素晴らしい”と伝えていることを、衣装にも込めています。
仏教では互いの違いを認め合い、自分らしく輝ける多様性豊かな世界を目指すべきだと説かれています。また、社会や文化と深く関わる宗教は、社会におけるジェンダーの在り方を形成し、維持、変容に影響を与えてきた要素のひとつと言えます。しかし、現代において、宗教界のジェンダー平等の実態は進んでいるとは言い難く、たとえば日本の伝統仏教の主要10宗派の宗議会議員のうち、女性の議員の比率はわずか数パーセントに留まっています。
21世紀の世界がジェンダー平等に向かうなか、ジェンダーギャップ解消が進まない日本の理由はどこにあるのでしょうか。西本願寺での撮影につづいて本学で行われた幾田氏の講演会やディスカッションでは、学生と共に「性の固定観念」や「ジェンダー平等の意味」について検討が行われました。さまざまな意見交換を通じて、社会的に醸成された意識やそれぞれの性に求められる役割というもの自体を、参加者個々に見つめ直す機会となりました。
【→関連記事:幾田桃子氏特別講演会「美しい未来のために「生きる」をデザインする」を開催】
(主催:龍谷世界仏教文化研究センター応用研究部門(RCWBC) ジェンダーと宗教研究センター/龍谷大学グローバル・アフェアーズ研究センター)
今回、西本願寺書院(国宝)で発表された"ジェンダー平等"のドレス。幾田氏がドレスに込めたメッセージは、私たちすべてに投げかけられているものです。美しい写真の記憶と共に、このことの意味を考えつづけていく必要があるのではないでしょうか。