2024.09.04
「政策実践・探究演習」(海外)韓国PBL 現地レポート②【政策学部】
政策学部では2023年度と2024年度の2ヵ年、アジアプログラムとして「若者政策の日韓比較」をテーマに韓国PBL(担当:安 周永教授)を実施しています。2024年度は13名(3~4回生、大学院生)が受講中です。事前学習で日本の現状を学び、9月1日~8日、ソウルでフィールドワークを行いました。滞在中のレポートをお伝えします。
2024年9月3日(火)
宿泊している明洞から25分ほど歩いて、本日の会場に向かいました。
<午前>
自由土地研究所の南キオップ所長から「韓国の住宅問題と青年住居の現実、そして対策」について講義をいただきました。ソウル市の地価が高騰した理由、住宅投機の問題点、韓国の若者の居住環境など、当事者へのインタビューをもとにしたリアルな話に驚くばかりでした。
<午後>
全国青年政策ネットワークの金ソンギル代表から「全国青年政策ネットワークと青年ガバナンス」について話を聞きました。その後、同ネットワークのメンバーも参加し、韓国と日本の若者に関する質問を交わしました。会場は笑いがあふれて楽しい雰囲気に。チームワークが生まれてきました。(*講義と質疑応答は、逐次通訳をしていただきました)
以下、受講生の報告です。
〈午前〉
自由土地研究所の南キオップ所長からお話を聞きました。講演の冒頭では、韓国の住宅問題が出生率の低下を引き起こしているという話から始まり、韓国では多くの若者たちが、半地下や屋上など劣悪な環境で生活せざる負えない状況で、恋愛や結婚ができないことを知りました。
その原因として非正規雇用の増加により所得の不平等が挙げられ、家に住むお金がない人、反対に不動産による所得を得る人がいるという現状があります。そして背景には、韓国の福祉の問題や社会構造として家が利益になるといった問題など住宅だけの問題ではなく、前日にお話を聞いた若者政策の問題にも繋がっていて、様々な問題が連鎖している結果が、住宅の問題を引き起こしているのだと感じました。
また、日本との家賃の差の大きさにも驚きました。だからこそ、自分が家に住んでいることは当たり前ではないということを同時に痛感しました。そんな現状の中で、南キオップ所長が言った「土地とは、本来全ての人が所有する権利がある」という言葉が自分の中で印象に残り、住宅問題の解決策の紹介もあり、この不平等な社会を変えていこうという姿勢に共感しました。
(政策学部 3回生 田中優也)
〈午後〉
全国青年ネットワークの方々からお話を聞きました。全国青年ネットワークは2017年に結成されました。人生の移行期にある若者たち250人が連帯しながら、ソウルのみならず地方に住む人も集まり、若者の問題について取り組む団体です。
「若者政策」は10年前は聞きなれない言葉でした。失業率が高かった時代であり、韓国政府が取り組んだのは失業問題でした。2015年に初めて政令基本条例が作られ、政治、経済、社会などあらゆる分野に青年が参加できるようになりました。
全国青年ネットワークの運営体制の話を伺った際、運営執行合わせて10人で組織され、政府からのお金ではなく会員の会費で運営していると聞きしました。若者が積極的に参加し、自分たちの暮らし、不平等の解決に向けた地域の取り組みにとても感激しました。
また、「連帯を求めて孤立を恐れず」という言葉が印象に残りました。日本と韓国の若者政策において、歴史が違えど、日本でも明るい未来に向けて若者が当事者意識を持つ必要があると感じました。
講義を終えて、私は江南を観光しました。高いビルとおしゃれな街並みにとても気分が上がりました。残りの日数もおすすめグルメやショッピングなどを巡り、韓国を満喫したいと思います。
(政策学部 3回生 石田恭瑛)