2025.03.08
政策実践・探究演習(海外)台湾PBL 現地レポート(3)【政策学部】
2025年3月1日〜8日、台湾・国立政治大学との国際交流プログラムに、台湾PBLの受講生19名(大学院生、留学生含む)と金紅実准教授、櫻井あかね実践型教育助手が参加しました。滞在中のレポートをお伝えします。
3月4日(水)
午前は、台北市文京区にある木柵市場を通って忠順廊へ行き、国立政治大学宗教学科林副教授から、道教のお宮について話を聞きました。
忠順廊は、猫空と呼ばれる山岳地の茶産業と深いつながりがあり、茶農家や地域住民によって支えらてきたお宮です。日本の神社と共通点が多く、農業や産業、人々の暮らしを守る役割を果たしてきました。レクチャー後の質疑応答では、お宮の影響力は農村と都市で違いがあるのか、日本と同じように若者離れの傾向があるのか、という問い投げかけられました。
午後は、ロープウェイに乗って猫空山頂へ移動。猫空青年農会の方から、伝統的な茶葉の製造工程を教えてもらったあと、帰郷青年による茶産業の継承、茶葉以外の製品を開発する六次産業について話を聞きました。夜は、農家レストランで歓迎会を開いていただき、学生と教職員が皆で笑いあう楽しい時間を過ごしました。
以下、受講生の報告です。
〈午前〉
お宮に行く道中の木柵商店街を散策しました。この商店街には、国立大学政治大学のUSR(University Social Responsibility=大学における社会的責任)事業で立ち上げられたお店があります。ここで100%純正にこだわった茶種油が販売されていました。店内には商品開発の過程を記載したポスターが掲示され、商品に対する努力と大学連携の軌跡を知ることができました。私の班員も商品を購入し、店員さんの熱心な説明を受け、台湾の方のあたたかさを感じました。
日本においても、大学の役割は学びの場の提供だけでなく、地域社会への貢献が求められています。その一環で龍谷大学ではRECが設置されています。自分たちの通う学び舎と比較しながら、互いの文化に好影響をもたらすヒントを得られるよう学びを深めていきたいと思います。
(政策学部 3回生 一谷美里)
今日の学びを通じて忠順廟の起源について知り、台湾の宗教について大まかに理解しました。忠順廟は1762年に福建省から陳姓の人々によってもたらされ、その後皆で祀るようになりました。宗教のタイプは、自発的なものと義務的なものの二つに分けられます。また、一つの廟には多くの神が祀られており、仏教の神、道教の神、さらには自然の神も含まれています。紹介を聞いた後、台湾と日本の神社の違いの一つは、台湾の神社が政治と関連していることだと分かりました。
(政策学部 院生 賀宇帆)
忠順廟は台湾に数多くある伝統的な廟の一つで、地域の信仰や文化の中心として重要な役割を果たしています。この廟は特に義と忠誠を重んじる精神を象徴しており、歴史的な背景を持つことから、地元の人々に深く信仰されています。
台湾の廟は単なる宗教施設にとどまらず、地域社会の交流の場としても機能している点が興味深いです。特に忠順廟では祭典や伝統行事が頻繁に行われ、参拝者が祈りを捧げるだけでなく、地域住民同士の絆を深める機会にもなっています。こうした場は、都市化が進む現代において、地域のアイデンティティを維持するうえで重要な役割を果たしていると感じました。
また、廟の建築や装飾には、細かな彫刻や鮮やかな色彩が施されており、台湾の伝統美術を体現している点も魅力的です。忠順廟は信仰の場であると同時に、文化遺産としても価値が高く、訪れることで台湾の歴史や精神文化を深く理解できる貴重な場所だと感じました。
(政策学部 院生 范伯淳)
〈午後〉
台北郊外の木柵区、そして格頭山の南西側に位置する猫空山頂にある茶葉宣伝センターを訪れました。そこで、貓空青年農会の張欣柔さん、張恩沛さん、張安如さん、張依平さんの4名に、茶産業の現状と課題について伺いました。
この地域の茶産業は伝統的な家族経営が多く見られ、茶の栽培から販売までの作業を一貫して行い続けるために、次世代への継承が重要になっています。しかし、製造・加工過程の多い茶産業を引き継ぐには、多大な時間を要します。
そのため、新たにお茶を使ったスイーツなどの商品開発やネット上でのお茶の販売、消費者のニーズへの対応など、時代の変化がある中で、伝統的な茶産業を引き継ぐための工夫をしていました。茶葉の消費が低迷している中で、各農家それぞれのこだわりや戦略を持って、愛され続けるお茶作りを目指しておられる様です。
その後、質疑応答の時間も設けて頂き、より理解を深めることができました。
(政策学部 2回生 農業美弥子、2回生 角美妃)