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2026.02.16

台湾の漁村が抱える地域課題解決に向けて―国際協働ワークショップー(国立海洋大学・台湾)【R-Globe】

本プログラムは、「日台大学地方連携及び社会実践連盟」(日台連盟)の加盟校であり、本学の協定校でもある台湾国立海洋大学が主催したものです。台湾北部沿岸の漁村「長潭里(ちょうたんり)」にて実施されました。参加した学生たちは現地でのフィールドワークや住民へのインタビューを通じ、漁業の衰退や環境変化といったリアルな地域課題を調査。現地の学生と多文化チームを組み、言語の壁を越えた議論を経て、地域のニーズに応える創造的で持続可能な解決策の提案に挑みました。
実体験に基づく深い洞察と、異文化交流の中で得た学生たちの「生きた学び」の記録を紹介します。

【漁村の課題を「自分事」として捉える:長潭里フィールドワーク】
2月10日、社会実践と地方創生を目的として、台湾基隆市東南部に位置する漁村・長潭里(Changtan Village)を訪問しました。現地住民の方々の案内のもと村内を歩き、漁業を中心とした生活や歴史について学びました。
さらに、女性のみで構成される組織「漁船船情」にて魚の開き干しの製造加工を体験。石花凍(テングサのゼリー)やケンサキイカ、キリンサイなど地元の海産物を使った料理をいただき、食文化への理解を深めました。船長らからは、漁獲量や魚質の低下、養殖への転換、政府方針との意見の相違といった、村が直面している切実な課題について聞き取りを行いました。
翌11日には、グループごとに対象を分けてインタビューを実施。私の所属するCグループ(持続可能性)では、インドネシアなど東南アジア出身の船員の方々に話を伺い、村が抱える問題点と地方創生に向けた解決策について議論を重ねました。
現地の方の案内で建物や漁船を見学し、食を通して文化を体験できたことは非常に貴重な経験でした。また、漁師の方々が抱える不満や課題を直接インタビューできたことも大きな学びです。
前日に大学の先生からインタビュー手法を学んでいましたが、実際にやってみると、質問と応答の間合いを取る難しさを痛感しました。特に高齢の方々は伝えたい思いが強く、話が広がるなかで、どのタイミングで次の質問を差し込むべきか苦労しました。また、船長、村の女性、外国人船員など、立場によって地域を捉える視点や利害が異なることも発見でした。
今回のフィールドワークを通し、地域問題を「他者の課題」ではなく「自分自身の問題」として捉え、背景にある社会・経済的メカニズムを考える姿勢の重要性を学びました。台湾の学生との議論は、実体験に基づくからこそ、ネット情報だけの授業とは質が異なり、問題の複雑さを実感しました。英語での交渉には苦戦し語彙力不足も痛感しましたが、ジェスチャーや図解を交えて粘り強く意思疎通を図り、グループで結論をまとめられた時の達成感は格別でした。
(国際学部 1年生 上北祐介)





【伝統を肌で感じる:八斗子の海水染め体験】
プログラム4日目の2月12日、八斗子(バードーズ)という漁村で「海水染め」を体験しました。この技法は、かつて漁網を強化するために使われていた知恵です。ヤマイモ属の植物を染料とし、布を折って輪ゴムやビーズで柄を作っていきます。
染料に浸して30分煮込む間、八斗子の街を散策しました。ここはかつて「patauw(女巫の住む場所)」と呼ばれた平埔族の居住地でした。日本統治時代の1937年、火力発電所建設のために海溝が埋め立てられ、島から半島になったという歴史も学びました。
散策後、海辺で煮込んだ布を海水で洗い流しました。純粋な海水が布を綺麗に仕上げてくれます。布を開いた瞬間、一人ひとり異なる個性的で美しい柄が現れ、とても驚きました。穏やかな八斗子の風景の中に、日本の歴史が深く関わっていることを知り、非常に興味深く感じました。(文学部 M.I)



【文化の交差点:九份老街でのリフレッシュ】
2月13日、台湾を代表する観光地・九份老街を訪れました。グループで散策し、独特の街並みを背景に撮影を楽しみました。人気店「阿柑姨芋圓」で伝統デザートの芋団子を味わったり、全員でプリクラを撮ったりと、思い出を形に残すことができました。
また、土産物店では店員さんにさまざまな茶葉の香りを嗅がせてもらい、自分好みのものを選びました。台湾の学生からは地元の草餅「阿蘭草仔粿」を紹介してもらい、夜食用に購入。九份の活気ある文化を身近に感じる一日となりました。
私は以前にも九份を訪れたことがありますが、改めてあの独特な景色には強く感動しました。今回は昼間の訪問でしたが、夜とは違う開放的な雰囲気を楽しめました。多くの店員さんが日本語を話せることにも驚き、観光地としての日本との繋がりの深さを感じました。
当日はプレゼンテーションの準備やインタビューなどがあり、少し疲れが溜まっていたが、九份を散策し、食や買い物を通して現地文化に触れることで気分転換となり、心身ともにリフレッシュすることができました。学習活動と観光体験の両方をバランスよく経験できた思い出に残る一日でした。
(国際学部 1年生 山口愛結)



【三つの言語が飛び交う:長潭里・調査報告会】
2月14日、台湾国立海洋大学にて長潭里地域の調査報告会を開催しました。日台の学生が協力し、「歴史・産業・持続可能性」の3テーマを英語と中国語でプレゼンしました。
グループA(自然と歴史): 観光客への認知度不足を解消するため、歴史や自然資産を統合した新たな探索ルートを提案。独自のマップ製作などを通じて村の存在感を高め、滞在時間の延長と地域活性化を目指す内容となりました。
グループB(産業): 干物作り体験や海鮮料理を楽しめる村のレストランを支援しました。店舗移転に加え、Googleマップ登録やSNS運営により認知度と集客の向上を目指しました。
グループC(持続可能性):長潭里村の住民と外国人労働者の共存に焦点を当てました。言語や文化の壁を解消するため、インドネシア語での施設紹介や中国語フレーズを載せた、継続性の高いガイドブックを提案しました。
台湾に来てからの毎日がとにかく刺激的でした。日本とは異なる食文化、食べたことのない食べ物にチャレンジし、鳥の丸焼きのようなインパクトがある食べ物にも出会えました。
ディスカッションや現地の人へのインタビューを通して、海洋大学の学生のコミュニケーション能力の高さに驚きました。自分の伝えたいことをはっきりと主張する姿勢に加え、英語を話す力も非常に優れていました。当初、私は日本語で考えた内容を英語でどう表現すればいいか悩んでしまいましたが、二日目以降は、伝えるのが難しい言葉には翻訳機を活用しました。
身振り手振りを交えながら、なんとか相手に伝わるよう努力し続けること。つまり、自分の言いたいことを相手が理解してくれるまで伝え続けることが、とても大切だと感じました。また逆に、自分がわからないことは理解できるまで聞く姿勢を持つことも重要です。
日本の学生は日本語と英語、台湾の学生は中国語と英語を使いますが、互いに理解できなければ翻訳機を使いながら相手の言語で説明してみるなど、相手に歩み寄る姿勢も学べました。留学期間中は3つの言語が飛び交う不思議な状況で、日本人同士の会話に英語が混じることもありました。脳をフル回転させて相手に伝える経験ができ、夕食後も深夜まで皆でアイデアを出し合い、発表の準備に没頭しました。一日中議論に打ち込める環境に身を置けたことは、とても貴重な経験です。最終発表後の達成感は格別で、チームが一つになれたと感じました。
発表後のプレゼント交換で、台湾の学生に日本の漫画を渡した際、目を輝かせて喜んでくれたことが印象に残っています。彼らはアニメや漫画、J-POPなど日本のことが大好きで、よく知っています。「次に彼らと会うときはもっと楽しく話したい」という思いが、英語をさらに勉強するモチベーションになりました。
日本の中に閉じこもっていれば安全で、危険な目には遭いません。けれど、一度きりの人生で外の世界を見ないのはもったいなさすぎます。海外に出ることで、多くのものを見る機会が増え、自分の中にある価値観が一度リセットされるような感覚がありました。このプログラムに参加したときのように、知らない世界へ一歩踏み出す気持ちを持ち続けて行動していきたいです。「色んな人と話すのはとても楽しい」――心からそう思えるプログラムでした。海洋大学の学生・先生・職員の方々、インタビューに協力してくれた方々、他大学の学生、そしてプログラムに携わってくれたすべての方々に感謝いたします。
(社会学部 1年生 金石朋樹)

【関連リンク】
國立臺灣海洋大學が来訪。本学学生と交流しました。https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-14185.html