2026.03.02
政策実践・探究演習(海外)台湾PBL 現地レポート(1)【政策学部】
政策学部では2025年度から、アジアプログラムとして台湾PBL(担当:金紅実准教授、石原凌河准教授)を開講しました。
今年度は「災害からの復興と里山の再生」をテーマに、事前学習では日台の里山、地方創生、防災に関する事前学習を行いました。
そして、2026年2月26日〜3月5日、フィールドワーク先である南投県魚池郷大雁村・竹山富州社区と連携大学である台湾国立政治大学社会科学院との国際交流プログラムに、受講生16名(大学院生、留学生含む)と金紅実准教授、石原凌河准教授が参加しました。
2月27日(金)
午前は南投県魚池郷大雁村を訪問し、まず、大雁休閑農業区発展協会陳秋坤理事長から大雁村の概要や発展協会の取り組みについて説明を受けました。
午後からは大雁村の地域を散策し、地元の里山や茶畑を観察していきました。そして金空宮を訪問し、地元の方々から太鼓による演舞を行っていただき、私たち大学生の訪問を歓迎していただきました。その後は地元の草花で染めるたたき染め体験を行い、一人ひとりがオリジナルの染色したバッグを作成しました。
宿舎に戻った後は埔里鎮の夜市に向かい、屋台の食事を満喫しました。
以下、受講生の報告です。
〈午前〉
今回の台湾PBLでは、山間部の豊かな自然環境の中で自然を肌で感じながら、⼤雁休閑農業区発展協会の陳秋坤理事長による地元学講義を受講することが出来ました。本講義を通して、大雁村において実践されている里山の保全活動や、地域資源を活かした持続可能な観光業の取り組みについて学びました。
大雁村では、観光振興と里山環境の保全を両立させる取り組みが積極的に行われており、里山の歩道には、地域で採取された自然素材が使用され、周囲の景観と調和するだけでなく、災害にも強い構造となっています。このような歩道づくりは単なるインフラ整備にとどまらず、観光資源の一部としても機能しています。これらの歩道はグリーンセラピーを目的とした健康増進型のレクリエーション活動や、自然環境を学びながら楽しむエコツーリズムとしても活用され、多くの来訪者を惹きつけています。
また、大雁村では生物多様性の保全にも重点が置かれており、慢心湖公園では地域固有の樹木が植栽されるなど、自然環境の維持と再生に向けた取り組みが進められています。
これらの活動を通して、大雁村は地域の自然資源を守りながら観光業を発展させる持続可能な地域づくりを実現しており、今後の地域活性化の在り方を考える上で非常に重要な事例であると感じました。
〈午後〉
午後は大雁村の街歩きと草木染体験をしました。
大雁村は1999年の地震で建物の8割が倒壊しましたが、住民自らの自助と国の公助で復興し、2007年には台湾の模範になる村となりました。紅茶や自然資源などの観光資源が豊富で、ホテルや民泊が整備されることにより、若者のUIターンや雇用の創出につながっています。一方で、観光開発による自然破壊の懸念が高まり、自然保護方針へ転換したことも印象的でした。2022年には農業区農村水道保持所からの補助金と土地の寄付よって慢心湖が作られました。この湖の中や周辺では地域固有種の保全が進められています。また、大雁村では家庭農園を推進しているそうで、ドラゴンフルーツやびわ、みかんの木などが同じ敷地内に植えられているのが印象的でした。
街歩き中には100年以上の歴史を持つ金天宮も訪れ、地域の住民から歓迎の太鼓パフォーマンスを披露してもらいました。お宮の近くにはいちご畑やフルーツの直売所があり、採れたての果物が食べられます。苺は日本の物よりも小ぶりですが、桃のような香りがして美味しかったです。その後、工房に行き、草木染めの体験をしました。茶葉の収穫時期にはお茶作り体験もできるそうです。
夜ご飯の後にはタクシーで埔里鎮の夜市に向かいました。
この街歩きを通じて、単なる観光振興だけではなく、自然環境やコミュニティを大切にする地域づくりの重要性を学びました。
(政策学部 2回生 高原万奈花・菅原綾乃)
埔里鎮の夜市の様子
本日はまず、大雁村にあるコミュニティ運営センターを訪れました。センターの責任者から、この地域の発展理念や実践活動について詳しい説明がありました。この地域では「手づくり歩道」や「コミュニティ林業」を核とし、休憩・体験の充実と生態系保全を両立させる持続可能なモデルを推進しています。画像で紹介されていた「澧水森林歩道」は全長2.8キロで、水上歩道、森林歩道、滝が続きます。湿地・渓流・森林という3つの生態環境が融合し、シダ植物が豊富で、カエル類、昆虫、鳥類も多く生息していることから、「台湾のジュラシックパーク」とも呼ばれています。この地域では「手づくり歩道ワーキングホリデー」という考え方を取り入れ、専門家の指導のもと、ボランティアが簡単な道具を使い、現地の自然素材を活かして手作業で歩道を整備・修復しています。これは重機に過度に依存する従来の工法とは異なり、環境倫理に基づくもので、地域のエコツーリズムを促進し、山村経済の発展にも貢献しています。
現地の生態資源調査によると、トンボは47種(台湾全体では160種)、チョウは26種(同392種)、植物は249種確認されており、台湾固有のオシダの一種など貴重な種も見られます。また、ESGやSDGsの目標に沿い、企業と協力して森林炭素クレジットプロジェクトを進め、里山経済の発展にも取り組んでいます。
昼食には地元の料理をいただき、紅茶や果物も味わいました。午後は生態圏を散策して自然を観察した後、田んぼや畑で摘んだばかりの花を使い、布袋に花の色や形を敲き染めする体験をしました。トンカチで花を布に叩きつけ、自然そのままの模様を写し取るこの作業はとても新鮮で、世界に一つだけの作品ができあがりました。
夜は民宿で夕食をとった後、埔里鎮の夜市へ。屋台が並ぶ活気ある雰囲気の中、地元の小吃を楽しみながら、充実した一日を締めくくりました。
(政策学部 3回生 劉子寧)