2026.06.23
6年目を迎える「びわ湖100地点環境DNA調査」を実施 コップ1杯の水から見えてきた琵琶湖の魚類相の変化
琵琶湖岸の100地点で生息している魚類を丸ごと検出する調査、今年の参加団体を募集
【本件のポイント】
- 「びわ湖100地点環境DNA調査」は、龍谷大学が2021年度にスタートした年に 1 度の市⺠参加型の調査で、2024年度より包括連携協定に基づき滋賀県との共催事業として実施
- 市民参加による環境DNA分析①)を用いた観測としては国内最大規模。これまでに延べ228人が参加し、累計500件の環境DNAサンプルを収集
- 調査データの蓄積により、生態系変化の兆候を確認。調査データは、「生物多様性保全総合指数(BCCI)」の研究開発にも活用され、「どこを優先的に守るべきか」を可視化する取り組みに進展
【本件の概要】
龍谷大学 生物多様性科学研究センターは、滋賀県との共催により、市民参加型として国内最大規模となる「びわ湖100地点環境DNA調査」を2026年度も実施します。本調査は、「びわ湖の日」②)40周年を契機に2021年度から開始した取り組みで、琵琶湖への思いを共有し、環境を守る行動につなげる「びわ活」の一環として実施してきました。
調査では、延長約235kmの琵琶湖岸をほぼ等間隔に100区画へ分け、市民団体や企業、NPOなどの参加団体の協力を得て採水を行うことで、琵琶湖全体の魚類相を把握する市民科学プロジェクトです。これまでに延べ228人が参加し、累計500件(100地点×5年間)の環境DNAサンプルを収集。6回目の実施となる2026年度も包括連携協定に基づいて滋賀県との共催事業として8月に一斉調査を行います。
これまでの調査では、琵琶湖に生息する魚類49種(分類群)以上を検出し、外来種・普通種・希少種・絶滅危惧種の詳細な分布状況と経年変化を明らかにしてきました。また、過去5年間のデータが蓄積されたことで、南湖における外来魚3種(オオクチバス類、ブルーギル、ヌマチチブ)の検出地点数の減少傾向や、在来種カネヒラの検出地点数の増加傾向など、生態系変化の兆候も見え始めています。
さらに、本調査で得られたデータは、「どこを優先的に保全すべきか」を可視化する「生物多様性保全総合指数(BCCI)」③)の研究開発にも活用されており、市民参加による調査が、ネイチャーポジティブ実現に向けた科学的基盤として進展しています。
1.調査の募集概要
- 名 称:2026年度びわ湖100地点環境DNA調査
『びわ湖の日チャレンジ!みんなで水を汲んでどんな魚がいるか調べよ
う!』
- 参加募集:2026年6月23日~7月10日(参加団体が決定しだい終了)
- 調査実施:2026年8月1日~8月31日(8月10日~8月16日を除く)
※上記日程のなかで参加団体の希望を勘案して決定(事前に日程調整)
- 参加費:無料(汲んだ水の送料は龍谷大学が負担)
- 募集対象:環境保全活動を行っているNPOや企業などの団体
※1団体あたり5~10地点程度の採水調査を担当し、詳細は個別に調整。
(水を汲むだけの調査ですので、原則として1日で完了する見込み)
- 申込フォーム: https://forms.gle/ry6nMviDTSHBrJyC9
※採否のお知らせや具体的な調査の進め方の連絡、調査の日程の相談
等は、龍谷大学生物多様性科学研究センターが個別に対応
- 備 考:調査結果は報告会等を介して広くお知らせする予定
2.補足説明
① 環境DNA分析
環境DNA分析とは、生物を直接サンプリングせずに、水や土などの環境媒体に含まれているDNAの情報(生き物が糞や粘液として放出したもの)を基に、そこに生息する種の分布や多様性、量を推定する分析手法です。採取した環境DNAをPCR法で増幅し、DNAなどの遺伝子配列を高速大量に解析できる「次世代シーケンサー」で読み解くことで、コップ1杯分の水から周辺の生物相が分かるようになりました。生物を捕獲することなく「水から」検出できる簡便さから、生物多様性の観測や水産資源の管理に革命をもたらすとされます
② びわ湖の日
7月1日「びわ湖の日」は琵琶湖への思いをみんなで共有し、環境を守る取組を行う象徴的な日です。滋賀県では、「びわ湖の日」(7月1日)から「世界湖沼の日」(8月27日)までを琵琶湖と関わる重点期間と位置づけ、環境保全活動のほか、暮らしや食、学びなどの様々な観点からそれぞれ自分に合った「びわ活」(注1)を呼びかけています。
(注1)「びわ活」とは、「びわ湖の日」(7月1日)から「世界湖沼の日」(8月27日)までを重点期間とした、琵琶湖を守る、琵琶湖と暮らす、琵琶湖と親しむ、といった琵琶湖と関わるさまざまな取組や活動をいいます。
「びわ活ガイド」https://www.pref.shiga.lg.jp/biwakatsu/
③ 生物多様性保全総合指数(BCCI)
「びわ湖100地点環境DNA調査」で得られたデータは、滋賀県「令和7年度大学連携研究プロジェクト」に採択された「生物多様性保全総合指数(BCCI)」の研究開発にも活用されています。
BCCIは、単純な種の数やどれだけ希少な種がいるのかといった単一の情報だけに偏らずに、「その地点の種組成に対する重要性」や「将来的な環境かく乱への耐性」といった観点から総合的に評価するものです。この指数をもとに経過をモニタリングすることで、生物多様性情報を総合的にとらえて変化を観察することができると同時に、優先して保全するべき地点を選定するなど具体的な施策決定のサポートとなる情報を提供することが期待されています。
「生物多様性保全総合指数(BCCI)」研究開発プロジェクト
https://biodiversity.ryukoku.ac.jp/social/social-1177/
※図は開発したBCCIの一例。局所γ多様性は、その地点が地域全体で維持されている生物多様性にとってどの程度重要なのかの指標として算出しています。地域全体でみて珍しい種が多くいる地点ほど値が高くなり、全体への貢献度が高いと考えられます。
【関連情報】
「びわ湖の日」に関する取り組みとして、滋賀県と龍谷大学の提携による無料公開講座を2回開催予定です。
■第1回
・テーマ:近江の歴史が育んだ生き物たち~三井寺の名を持つヘッピリムシや、琵琶湖に
生きるドジョウの物語~
・講 師:高倉 耕一(滋賀県立大学 環境科学部 教授)
・日 時:2026年8月1日(土)11:00~12:00
・会 場:龍谷大学瀬田キャンパス RECホール1階 小ホール(オンライン有)
■第2回
・テーマ:琵琶湖の生態系を支える生物多様性~目に見えない生き物が担う多彩な役割~
・講 師:三木 健(龍谷大学 先端理工学部 教授)
・日 時:2026年10月3日(土)11:00~12:00
・会 場:龍谷大学瀬田キャンパス RECホール1階 小ホール(オンライン有)
(詳細)https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-18641.html
問い合わせ先:龍谷大学 研究・社会実装推進部(生物多様性科学研究センター)
Tel 077-543-7746 ryukoku.biodiv@gmail.com https://biodiversity.ryukoku.ac.jp/