Need Help?

News

ニュース

2026.09.20

政策実践・探究演習(海外)韓国PBL 現地レポート(3)【政策学部】

政策学部では2026年度と2027年度の2ヵ年、アジアプログラムとして「最低賃金に関する比較研究」をテーマに韓国PBLを開講しています(担当:安 周永教授)。

2026年9月6日〜9月13日、ソウルでフィールドワークを行い、受講生12名と安周永教授、櫻井あかね実践型教育助手が参加しました。滞在中のレポートをお伝えします。


9月9日(水)
昨日は政府の雇用労働部を訪問し、最低賃金委員会の仕組みとここ数年労使間で争点になっている事柄について話を聞きました。引き続き今日は実際に委員を務める方にお会いし、それぞれの意見を伺うことで、両者の相違をつかむことができました。午前は使用者側として韓国経営者総協会 ハ・サンウ理事、午後は労働者側として民主労総の民主労働研究院 李昌根委員から講義を受けました。
韓国経営者総協会で弁当やコーヒー、お菓子をいただきました。ありがとうございます。

以下、受講生の報告です。
〈午前〉
韓国経営者総協会を訪問し、使用者側の立場から韓国の最低賃金制度や労使問題についてお話を伺いました。

特に印象に残ったのは、最低賃金は単に労働者の賃金を引き上げるための制度ではなく、企業の支払い能力や雇用にも大きな影響を与えるということです。韓国では約12年前から最低賃金が急激に上昇し、現在では、賃金の中央値に対する最低賃金の割合が約60%に達しているとのことでした。一方で、零細企業や自営業者にとっては、最低賃金の上昇に対応することが難しくなっていることを学びました。

また、最低賃金を決定する際には、現在の「労働生産性」「所得分配」「類似労働者の賃金」「生計費」という4つの基準だけではなく、企業の支払い能力や雇用への影響も考慮する必要があるという意見が印象に残りました。労働者の生活を守ることと、企業が雇用を維持できる環境をつくることは、どちらか一方を優先すればよいものではなく、両者のバランスを考える必要があると感じました。

さらに、韓国では労使間の意見の隔たりが大きく、最低賃金の決定において公益委員の役割が大きいという話も興味深かったです。最低賃金をめぐって労働者側と使用者側が対立していても、「より良い社会をつくる」という目的は共通しているという言葉が特に印象に残りました。立場が異なるからこそ意見が対立するのではなく、それぞれの立場から問題を考え、データをもとに議論することが重要なのだと学びました。

加えて、雇用労働部と統計庁では調査対象が異なるため、同じ最低賃金について調べても異なる結果が出るという話から、政策を考える際には、数字そのものだけを見るのではなく、「誰を対象に、どのような方法で調査されたデータなのか」を確認する必要があると感じました。今回の講義を通じて、最低賃金という一つの制度を考えるだけでも、労働者、企業、雇用、物価、生産性など、さまざまな視点から考える必要があることを学びました。

真面目な講義を受けたあとのお昼ご飯には、普段、総協会の方々が召し上がっているお弁当をいただきました。韓国ならではのおかずが何種類も入っており、普段とは異なる食文化を実際に味わうことができました。どのおかずもおいしかったですが、特にプルコギが印象に残っており、とてもおいしくいただきました。こうした食事を通しても、韓国の食文化を身近に感じることができ、貴重な経験となりました。

(政策学部2回生 屋附あおい)


韓国経営者総協会での講義の様子


美味しかったお弁当

〈午後〉
午後からは西大門(ソデムン)に移動し、民主労総 李昌根委員に会いました。ここでは最低賃金の水準や世帯生計費について学びました。

韓国では2〜3%の賃金引き上げ率で、来年の2027年には最低賃金が10,700ウォンになるとのことです。しかし、賃金の引き上げだけで格差がなくなるわけではないため、最低賃金はそれ以上に上げなければならないという話が印象に残りました。

また、最低賃金を決めるにあたって従来の単身者生計費ではなく世帯生計費が重要であり、どのように改革を進めていくかが課題だと学びました。世帯生計費の8割という基準を新しく作りたいそうです。さらに、企業に最低賃金の支払い能力があるかという基準が、日本にはあるけれども韓国にはないという違いがありました。

講義終了後は、弘大(ホンデ)へ夜ご飯を食べに行きました。最近SNSでよく見かける「エゴママッククス」と呼ばれる混ぜそばと牛肉のチヂミを食べ、ショッピングを楽しみ、とても満足した一日になりました。

(政策学部3回生 小林歩美)


民主労総での講義の様子


弘大(ホンデ)でのご飯

▶前の記事へ 韓国PBL 現地レポート(2)

▶次の記事へ 韓国PBL 現地レポート(4)