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2021.11.01

第27回「CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会」開催レポート【犯罪学研究センター】

多角的な視点から性に関する知見を共有し、コミュニーケーションとしての「同意」を考える。

ポイント:日本でいま議論がすすんでいる性刑法改正について
【法学の立場から】法律の中でも刑法の改正は、国民に与える影響がとても強い。近年の裁判所は、構成要件を広く解釈することで、性犯罪の事例に対応しようと試みている。未成年者の保護についても関連法令の効果の検証や性教育など、現状の把握と冷静な判断が必要だ。条文の明確化ないし平易化といった改正が必要であるのは確かだが、世論に訴える方法は果たして刑法改正という手段で足りるのか?より広い視点から多様な意見を聴取し、慎重に議論する必要がある。
【性科学・心理カウンセラー・実務家の立場から】性教育は心と生き方の教育であるが、日本では家庭でも学校でも実施できているかというと、非常に心もとない状況だ。私たちは、子どもの「NO」にきちんと耳を傾けているだろうか?子どもに対するケア・教育を問いなおすことが、主体性を育み、個々人の自己選択・自己決定を尊重する社会の創出につながるのではないか。性犯罪をした人の中には、自身が性被害者であったり、性知識やコミュニーケーション態様に認知の歪みがみられる者が少なくない。刑事施設でできることは限定的なので、社会における対応こそ肝要だ。

2021年9月28日、犯罪学研究センター「第27回CrimRC公開研究会」をオンラインで開催し、約110名が参加しました。今回は「日本における性暴力犯罪と性教育」をテーマにとりあげました。当センターの斎藤 司教授(本学法学部/ 犯罪学研究センター「性犯罪」ユニット長)が司会を務め、嘉門 優教授(立命館大学法学部/ 犯罪学研究センター「性犯罪」ユニットメンバー)と谷家 優子氏(近畿厚生局麻薬取締部再乱用防止対策室・公認心理師/ 犯罪学研究センター「治療法学」ユニットメンバー)を講師に、そして牧野 雅子氏(犯罪学研究センター博士研究員)を指定討論者に迎えました。当日は、同テーマについて、参加者を交えてさまざまな観点から知見の共有と意見交換がなされました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-9189.html


石塚 伸一教授(本学・法学部、犯罪学研究センター長)

石塚 伸一教授(本学・法学部、犯罪学研究センター長)

はじめに、犯罪学研究センター長である石塚 伸一教授(本学法学部)より、趣旨説明がおこなわれました。石塚教授は「日本では、性的なことに関する知識や『(性交渉等の)同意』について、学習や教育という観点から考え、向き合う環境が乏しい」と指摘。法改正の動向の背景にある社会意識の変化、とりわけ「同意の有無」を問題の中心として扱う意義について説明しました。

■報告1.「性刑法プロジェクトの活動について」
斎藤教授より、日本における性犯罪をめぐる法改正の是非を問う議論の紹介*1がおこなわれました。日本で2017年に性犯罪に関する刑法改正が行われた一方で、海外では更に踏み込んだ議論・法改正がなされました。「Only Yes means Yes」や「No means No」といった「相手の同意・意思を無視した性行為は違法である」という原則が必要であるという主張が有力視されています。日本では2020年に法務省主催の「性犯罪に関する刑事法検討会」が発足。同検討会の取りまとめ報告書が法制審議会への諮問へとつながりました。議論の中心は、性犯罪成立要件の見直しです。具体的には、①暴行・脅迫要件、②抗拒不能要件*3、③性行為同意年齢の引き上げといった点が挙げられます。斎藤教授は「私たちは日本の現状を鑑み、比較法的観点も踏まえ、刑法の体系との整合性、犯罪捜査・刑事裁判の影響など主に法的観点の検討をすすめてきた。一方で、法的観点のみでは議論しつくせないこと、刑法では対応できないことがあることも課題として認識している。本研究会で参加者と共にさまざまな観点を共有し意見交換をしたい」と述べました。


斎藤 司教授(本学・法学部、犯罪学研究センター「性犯罪」ユニット長)

斎藤 司教授(本学・法学部、犯罪学研究センター「性犯罪」ユニット長)


■報告2.「性刑法の改正をめぐって」
嘉門教授から、法学の立場からみた問題意識の共有がおこなわれました*2。刑法改正に伴う議論を整理しつつ、①暴行・脅迫要件、抗拒不能要件の見直しの必要性、②性交同意年齢の引き上げの是非(性教育・児童の保護という観点から)を検討。刑法177条(強制性交等)に規定されている暴行・脅迫要件は、暴行・脅迫が用いられていない形での性被害(被害者心理「フリージング」)の存在や、暴行・脅迫という事実を偏重するがゆえに警察で被害届が受理されない、受理されても起訴されない事実があることから、暴行・脅迫要件を撤廃し、被害者の同意のない性交等をすべて処罰する規定「不同意性交等罪(Yes means Yes)」を創設すべきであるという見解があります。嘉門教授は、判例を分析することを通して暴行・脅迫要件が実務上どのように解釈されてきたのかを紹介*4。近年の傾向として暴行・脅迫の程度は、状況(年齢・性別、時間・場所の四囲の環境)に応じて判断され、被害者に抵抗する義務までを求めるものではないこと、刑法178条(準強制性交等)にある抗拒不能要件についても、物理的だけでなく心理的なものを含む(被害者の心理状態・優越的な地位を利用した犯行)と解されていることを例示しながら確認。嘉門教授は「条文を文字通り読むと、暴行・脅迫要件や抗拒不能要件によって狭い範囲しか法律を適用できないように思えるが、裁判所は、条文解釈によって適用範囲をひろげている。今後の方向性について、不同意性交等罪の新設より、先に述べた事例に対する裁判所の判断が条文に明文化され、文言をわかりやすくするという改正もありうるのではないか」と指摘します。つづけて、同意のない性交等はすべて処罰すべきか否かについて、嘉門教授は「刑法学者として、どの範囲の事情・被害を犯罪として処罰すべきかという価値判断は、国民の常識等との兼ね合いが難しい。また内心の把握や態度表明の難しさからくる冤罪や、被害者を問い詰めるような実務(捜査・公判)によるセカンドレイプの危険性がある」と述べます。
次に児童保護の観点からみた議論を取り上げました。日本では、法文上の規定で、13歳未満の児童は性的な自己決定の能力を有していないとみなし、絶対的な保護がなされています(刑法177条)。そのため先に挙げた要件に限定されず、かつ同意があっても13歳未満の児童との性交等は全て5年以上の有期懲役が科される処罰の対象となります。改正議論における性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げるべきだという意見について、嘉門教授は「引き上げ自体が検討するべき重要な論点であることは否定しないが、まず、性行為に興味をもつ多感な年齢の未成年同士の性行為をどう考えるかが問題だ。強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役だが、法定刑が5年以上となると、原則として執行猶予がつかない(刑法25条)。単純に絶対的な保護の対象年齢を上げると、同意のある未成年同士の性行為についても、強制性交等罪を適用するケースを生み出すことになり、立法等の技術的な面から見て難しい問題だ。18歳未満の児童に対しては、刑法179条(監護者わいせつ及び監護者性交等罪)のみならず、児童福祉法や青少年保護育成条例、児童買春・児童ポルノ禁止法などの法規制によって一定の保護がなされている。これらの関連条文や法令が児童保護の機能を果たしているのかという検証が先ではないか」と指摘します。
まとめとして「重大な性被害が発生していることは事実であり、最善の方策について議論を重ねることが必要だ。性行為は日常生活に大きく係ることであり、刑法がどのように踏みこんでいくのかが問われている。多くの方の意見をもとに法制審で適切な議論がなされることを望む」と述べ報告をおえました。


嘉門 優教授(立命館大学・法学部、犯罪学研究センター「性犯罪」ユニットメンバー)

嘉門 優教授(立命館大学・法学部、犯罪学研究センター「性犯罪」ユニットメンバー)


■報告3.「『性的自己決定』とは何か」
谷家氏からは、矯正施設や民間心理療法施設等での心理臨床経験および「性科学」の知見をもとに話題提供がなされました。谷家氏は「性的自己決定権を考える際には、性と生殖に関する健康と権利*5をもとに、人間の発達段階をどのように捉えるかが重要である。単に年齢だけで区切られるものでもないため、一人ひとりの発達段階を重視し尊重する必要がある。しかし、子どもの発達段階は大人の感覚だけでは見えにくい。性教育は心と生き方の教育であるが、その実践状況については非常に心もとない状況だ。その背景には、さまざまな思い込み、例えば『自然と覚えるはずだ』、『性の話題は卑猥なものだから口にしてはいけない』、『学校がしてくれる』、『うちの子に限って』といったようなことがあり、日本では性の話題を避ける傾向が未だに強い」と指摘。つづけて、谷家氏が高校や大学で実施した性教育の事例を紹介しました。


谷家氏の報告資料より

谷家氏の報告資料より


高校や大学などの授業で使用したスライドを紹介

高校や大学などの授業で使用したスライドを紹介

「高校の生徒には単に性の話だけでなく、人との関係性にも着目してもらおうと、『付き合ってるんだから・・・』の『・・・』に文章を入れて考えてもらう。『・・・』の部分で暗黙の了解に支配されてしまう状況が非常にあぶない。大学生も『セックスをするのであれば避妊しなければいけない。性感染症はうつりたくないしうつしてはいけない、けれどコンドームを使えない』、『なんとなくその場の気分でホテルに行っちゃいました』という子が多いので、状況や人間関係についていま一度考えてもらうような授業をおこなっている」と谷家氏は授業方針を解説。つづけて、“Yes means Yes”、“No means No”における「同意」について「異性愛・同性愛問わずカップルにおけるコミュニケーションは、どちらかがイニシアチブをとり、提案・受諾の関係が固定化される状況になりやすくトラブルも起きやすい。きちんと『NO』と意思表示をすることが大切だという認識を子どもの頃から育む環境を整えることが必要だ。教育現場ではクラス運営との兼ね合いに苦慮されることもあると思うが、せめて家庭の中でも、子供の『NO』に周りの大人が耳を傾けることで、子どもの主体性を育むことが、自己選択、自己決定を尊重する社会へとつながっていくのではないか」と述べます。さいごに、「人には境界線がある。この境界線によって自分と他人はどこが同じでどこが違うのかを意識することが、侵害や加害、そして被害の問題を理解することにつながる」と述べ、報告を終えました*6。


谷家 優子氏(近畿厚生局麻薬取締部再乱用防止対策室・公認心理師、犯罪学研究センター「治療法学」ユニットメンバー)

谷家 優子氏(近畿厚生局麻薬取締部再乱用防止対策室・公認心理師、
犯罪学研究センター「治療法学」ユニットメンバー)


■指定討論者によるコメント
嘉門教授、谷家氏の報告を受けて、指定討論者である牧野雅子(犯罪学研究センター博士研究員)氏がコメントしました。議論の前提として確認しておくべきこととして、「性暴力」という言葉の意味やその語が用いられるようになった背景、2000年代に性教育に関する現場へのバッシング*7があったことを指摘。牧野氏は「“性暴力”とは、法による規定や客観的な証拠が必要とされる“性犯罪”とは異なり、80年代に使用され始めた被害当事者の視点による定義であり、その行為は性行為ではなく暴力であるという主張を含んでいる。議論においても、現在、性暴力という語が広く用いられていることの意義を確認しておきたい」と述べました。


牧野 雅子氏(犯罪学研究センター博士研究員)

牧野 雅子氏(犯罪学研究センター博士研究員)


■全体ディスカッション
牧野氏のコメントの後に、質疑応答・意見交換の機会が設けられ、参加者からさまざまな質問や意見が寄せられました。例えば、「不同意性交等罪の創設の是非について、現在の条文は、被害者にだけ無理を強いており、公平性の観点からも、被害者が可能な態様を前提にした法改正によって行為者側の規範を変える必要があるのではないか。日本の文化との兼ね合いについても、改正後の経過期間を少し長く取るなどの工夫をすれば、社会の混乱はおさえられるのではないか」や、「大学生になった今でも完璧に「同意」を意思表示できるか不安という声もある一方で、性的同意年齢が13歳となっていることで、中高生は性的同意ができると社会通念上の常識とされてしまっている実情があるのではないか。「13歳以上は性的同意ができる」と法律が定義してしまう状況自体に問題はないのか」といった意見、その他に「インセルやフェミサイドという言葉で形容されるような事件があるなか、性被害をヘイトクライムなどで罰することなどもあり得るのか。また、性加害者への更生プログラムなどではミソジニーを取り除くことは成功するのか。」や「行為者のどのような要因が性犯罪行為に結び付くのか、またそこで得られた知見を踏まえて刑法の在り方についてどのようなご意見をお持ちか」など矯正処遇についての質問が寄せられました。これに対して嘉門教授は刑法解釈および立法論から、谷家氏は受刑者の認知の歪みの背景や矯正処遇の限界について紹介しながら応答しました。

さいごに、石塚教授は「『厳罰化』という言葉をとっても、専門や立場によって認識に大きな差がある。犯罪学者として私は、刑罰では人は変わらないという立場にたっている。仮に刑務所に長期間収容しても人は変わらない。牧野さんが指摘された『性暴力』という言葉について、社会の行為規範を、いまこそ変えなければならないということ、相手を尊重するということをじっくり考えなければならないということだが、その意味において、今回の刑法改正の議論は大きな意味を持つ。他に、注目すべき点として挙げたいのは警察の動向だ。法律が変わると一番影響を受けるのは警察の現場で、今回議論した暴行脅迫要件がどうなるかによって警察の取り締まりが大きく変わる。しかし、そのことは今日の研究会で共有した『相手の人格を尊重しましょう』という論点からは離れてしまう」と述べました。そして、今回の研究会全体を振り返って、「法律の改正や法の適用範囲を変えることが、はたして、社会の意識をより良い方向に変えることにつながるのか?という課題が浮き彫りとなった。谷家さんの報告にあったように、性教育を正面から考えるということは教育現場を変えることにつながる。きちんとしたプログラムを作って対応する人員を増やして、性教育をサポートできるような体制づくりにこそ資金を投入しなければならないのではないか。今後も機会を設け改めて検討したい」と総括しました。

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【補注】
*1[性犯罪規定にかかる刑法の改正]
1907(明治40)年に制定された刑法における性犯罪に関する規定は、1947(昭和22)年に日本国憲法の両性の平等に整合させるため「姦通罪」などが廃止された。2017(平成29)年の刑法の一部を改正する法律によって、暴行や脅迫を用いて性行為を強制する「強姦罪」を「強制性交等罪」と名称を変え、法定刑の下限を3年から5年に引き上げ、被害者の性別を問わなくなった。また、親などの監護者や保護者が、影響力を利用して18歳未満の子供とわいせつな行為や性行為をした場合に処罰される「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」を新設。同改正の付則には3年後をめどに見直すという検討条項(改正法附則9条)の定めがあり、これに基づき法務省は2020(令和2)年6月に検討会を設置、議論を始めた。

性刑法改正の議論については下記参照のこと
・『性犯罪に関する刑事法検討会』(法務省)
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00020.html
⇒「性犯罪に関する刑事法検討会取りまとめ報告書」
https://www.moj.go.jp/content/001348762.pdf
・日本学術会議『「同意の有無」を中核に置く刑法改正に向けて―性暴力に対する国際人権基準の反映―』
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t298-5-abstract.html
⇒「提言書」https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-5.pdf

女性に対する暴力被害の調査については下記参照のこと
・津島 昌寛=我藤 諭=浜井 浩一「犯罪研究動向 女性の暴力被害に関する調査
―主に『女性の日常生活の安全に関する調査』の実施を通じて―」(『犯罪社会学研究』42巻、日本犯罪社会学会、2017年)182頁〜188頁
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjscrim/42/0/42_182/_article/-char/ja (J-stage)

・男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査」
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h11_top.html
・法務省「犯罪被害実態(暗数)調査」
https://www.moj.go.jp/housouken/houso_houso34.html
法務総合研究所が2000(平成12)年から4年ごとに国連の国際犯罪被害実態調査(ICVS::International Crime Victimization Survey)に参加する形で実施しているもの


*2 法学の立場からみた問題意識の共有(補足)
抗拒不能とは、物理的な抵抗不能のみならず心理的な拒絶不能の場合も広く含む被害者の状態を表す言葉。具体的には、心神喪失、意識の混濁、酩酊、手足が縛られている、恐怖等で凍りつくなど。これらの用語については、「性犯罪に関する刑事法検討会第5回会議(令和2年8月27日)」において配布された資料23、24なども参照のこと。
・資料23「強制性交等罪における「暴行」,「脅迫」の要件の沿革」(法務省)
https://www.moj.go.jp/content/001327161.pdf
・資料24「準強制性交等罪における「心神喪失」、「抗拒不能」の要件の沿革」(法務省)
https://www.moj.go.jp/content/001327162.pdf


*3[嘉門教授は下記の2点を参考文献として紹介]
・樋口亮介=深町晋也(編著)『性犯罪規定の比較法的研究』(成文堂、2020年)
・嘉門=樋口ほか「<特集> 性犯罪の解釈と立法-法実体法的・訴訟法的検討-」刑事法ジャーナル69号(成文堂、2021年)
[その他参照]
・嘉門 優「性犯罪規定の見直しに向けて―不同意性交等罪の導入に対する疑問―」『立命館法学』5・6 (387・388)号、立命館大學法學會、2019年、52頁〜72頁
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/19-56/2019-56.htm(立命館法学・研究データーベース)


*4 最判昭和33年6月6日裁集刑126号171頁
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=58672 (裁判所:裁判例検索)
要旨「刑法第一七七条にいわゆる暴行脅迫は、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである」
[参考]
- 園田寿『3月に続いた性犯罪4つの無罪判決の解き方』(「Yahoo!ニュース」2019年7月5日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20190705-00132901
- 樋口亮介『裁判実務と対話する刑法理論(第1回)性犯罪における暴行脅迫・心神喪失・抗拒不能要件と同意(その1〜その4・完)』「法学セミナー」66(4)通号795〜66(7)通号798(2021年)

*5[谷家氏が性科学の歴史を振り返るなかで着目する宣言]
・1994年にカイロで開催された国連の国際人口開発会議で採択された「REPRODUCTIVE HEALTH AND RIGHTS(性と生殖に関する健康と権利)」
・1999年に香港で開催された第14回世界性科学会総会で、性に関する基本的かつ普遍的な権利として掲げられた11項目からなる「Sexuality is an integral part of personality of every human being(性の権利宣言)」。翻訳は下記を参照のこと
https://worldsexualhealth.net/resources/declaration-of-sexual-rights/ (WAS)
・2019年にメキシコシティで開催された性の健康世界学会(World Association for Sexual Health: WAS)において採択された「Sexual Pleasure宣言」 。翻訳は下記を参照のこと
https://worldsexualhealth.net/resources/declaration-on-sexual-pleasure/ (WAS)
[参考]
東優子=中尾美樹「世界性の健康学会「性の権利宣言」」(『社会問題研究』64巻、大阪府立大学人間社会システム科学研究科人間社会学専攻社会福祉学分野(堺)、2015年)59頁〜62頁
https://opera.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3071&item_no=1&page_id=13&block_id=21 (大阪府立大学学術機関リポジトリ)
『世界性の健康学会(World Association for Sexual Health: WAS)は、旧称を世界性科学学会(World Association for Sexology: WAS)といい、1978年に創設された。人間の性(セクシュアリティ)の分野に関する学会、非政府組織(NGO)、専門家などによって構成された学際的かつ世界規模の集団である。 WASの「性の権利宣言」は、国際的諸機関による同類の宣言文やセクシュアリティの定義に影響を与えており、学会の歴史上、最も重要な功績として知られている。』


*6 [谷家氏がスライド上で紹介した参考記事]
・「 言われっぱなしでモヤモヤ? 約7割が上手にNOと言えない!/上手にNOと言える人になる!①」(「Our Age」2021.09.22記事)
https://ourage.jp/column/life/manners/257453/
谷家氏は、この記事で紹介されている本はルビもふってあり、絵も多用しているので、親子で「同意」について考えるきっかけになると推奨。
レイチェル・ブライアン(著)中井はるの(訳)『子どもを守る言葉 「同意」って何? YES、NOは自分が決める!』(集英社、2020年)
上記の本の著者が関わって制作した動画も参照のこと
- 「Tea Consent」(Blue Seat Studios)
https://www.youtube.com/watch?v=oQbei5JGiT8&t=8s
- 「consent for kids」(Blue Seat Studios)
https://www.youtube.com/watch?v=h3nhM9UlJjc

「How microaggressions are like mosquito bites • Same Difference」(マイクロアグレッションは蚊に刺されるようなものです。)
https://www.youtube.com/watch?v=hDd3bzA7450(Fusion Comedy)
マイクロアグレッション(Microaggression)とは、「日常において無意識的にとる行動のなかに他者に対する根深い偏見・差別が含まれている」ことを示した精神医学・心理学の用語。

[参照]
・「今こそ知っておきたい「マイクロアグレッション」の話。差別する人を「蚊」にたとえたアニメがとっても分かりやすい」(「HUFF POST」2021年9月24日記事)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_614d6337e4b0016411923306
[参考]
- デラルド・ウィン・スー (著), マイクロアグレッション研究会 (訳)『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション――人種、ジェンダー、性的指向:マイノリティに向けられる無意識の差別』(明石書店、2020年)
- 男女共同参画局「令和2年度 性犯罪・性暴力の加害者・被害者・傍観者にならないための「生命の安全教育」調査研究事業」報告書
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/r02_inochi.html


*7[参考文献]
- 木村涼子編『ジェンダー・フリー・トラブル』2005‎ 白澤社
- 上野千鶴子、宮台真司、斎藤環他『バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』 2006 双風舎
- 若桑みどり、皆川満寿美、加藤秀一他『「ジェンダー」の危機を超える! 徹底討論! バックラッシュ』青弓社 2006
- 山口智美、斉藤正美「2000年代『バックラッシュ』とは何だったのか」『エトセトラ』4号 80-84頁 202