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2021.12.15

薬物依存症回復支援者研修(DARS)京都セミナー1日目・開催レポート【ATA-net研究センター主催/犯罪学研究センター共催】

アディクションの多様性と回復の多様性〜DARS 12年の軌跡〜

2021年12月4日、本学深草キャンパス21号館402教室において、「薬物依存症回復支援者研修(DARS: Drug Addicts Recovery Supports)京都セミナー」第1日目を開催しました(主催:龍谷大学 ATA-net研究センター・DARS/共催:龍谷大学 犯罪学研究センター/企画・運営:一般社団法人刑事司法未来)。当日は薬物依存者支援団体の職員、矯正・保護の実務家、医師等の会場参加者、YouTube配信を視聴したオンライン参加者の合計64名が参加しました。

本セミナーは、DARS設立12周年を記念して2日間にわたり開催されました。第1日目は、薬物依存症からの回復支援を行っている日本ダルク代表の近藤恒夫氏の基調講演とDARS創設メンバーによる12年間の歩みを振り返りました。
はじめに、石塚伸一教授(本学法学部/ATA-net研究センター長/犯罪学研究センター長)が開会挨拶を行いました。石塚教授は、「本セミナーの目的は、DARSの軌跡を振り返り、これからを共有するものである。設立当初のダルクは、まるで怪しい団体であるかのような視線を向けられていた。しかし、現在では、近藤さんを含めたダルクの活動の成果は、日本のみならず、国際的な評価を受けている」と述べました。


石塚伸一教授(本学・法学部、ATA-net研究センター長)

石塚伸一教授(本学・法学部、ATA-net研究センター長)


1.基調講演(近藤恒夫氏・日本ダルク代表)
近藤氏は、「ダルクは1960年代に設立され、初期メンバーは3人だけであった。ダルクの活動は新しい試みであったこともあり、多くの困難に直面した。恩人である神父の援助もあり、次第にメンバーが増えていき、現在では、病院から薬物依存者を引き受ける活動を行う組織にまで成長させることができた」と、日本ダルク設立の経緯とその発展について紹介しました。
そして、近藤氏は、「当初は義務教育段階からドロップアウトしたようなメンバーが多かったが、現在では大学教育を受けたメンバーも増えた。さらには、龍谷大学で講義を行うメンバーも登場した。メンバーの多様性は組織の強さを生み出す。薬物依存症者も多様性を求められる社会では必要な存在であり、彼らを守る必要がある。ダルクを作った者として、活動を続けていく責任がある」と述べました。


近藤恒夫氏(日本ダルク代表)

近藤恒夫氏(日本ダルク代表)


2. DARS創設メンバーによる12年間の歩みの振り返り
DARS創設メンバーの一人である石塚教授は、「DARSは、日本版ドラックコートの創設を目的に立ち上げた団体である。矯正処遇や更生保護で実施されたプログラムは効果的だと思われたが、使役的な色彩が濃かったことから、社会復帰促進が上手くいかないケースが多く存在した。それを何とかしたいと思っていたところ、当事者目線で助け合い、対等な関係を保ちながら社会復帰を促す組織であるダルクに出会った。そこで、被害者なき犯罪である薬物犯罪に対して当事者目線で社会復帰を考える組織としてできたのが、現在のDARSである」と設立の経緯を説明しました。
会場からは、これまでDARSのセミナーに参加してきた方々から、DARSの意義やこれまで実施されたセミナーについて発言がありました。まず、DARSの意義については、「更生保護に携わるにあたり、何処となくやりづらさを抱えていた。DARSに出会ったことで、“当事者の目線で考えず、上から目線で物事を判断していた”ことが、この辛さの原因であることに気がついた」といった声や、「DARSに参加したことで、『薬物問題は解決できない問題であり、薬物依存者は再犯を行う』といった考えが180度変わった。それにより、保護観察のあり方についても考えの変化があった」といった声が挙がりました。そして、「地域社会との連携が図れなければ、日本版ドラックコートの実現は困難であるとの批判があった。そこで、DARSでは、まず地域社会との繋がりを作ることを目標とした点に意義がある」として、改めてDARSの成果や存在意義が確認されました。
つぎに、これまで日本各地や東アジアで実施してきたセミナーに関連して、「ダルクは、日本の薬物依存者支援のパイオニアであったため、自分たちの行いが正しいか不安になることもあった。東アジアを中心とした諸外国で行われたDARSのセミナーで国内外の支援者と話をすることで自信をもらえた。これまで出会った人たちと協力して、国際的に回復支援を行っていきたい」と今後の抱負を全体で共有しました。
さいごに登壇した石塚教授は、「薬物依存者支援の政策は転換期にあり、夜明けを迎えようとしている」と述べ、本セミナー1日目を終えました。


丸山康弘教授(立正大学・法学部、本学・犯罪学研究センター嘱託研究員)

丸山康弘教授(立正大学・法学部、本学・犯罪学研究センター嘱託研究員)


加藤武士氏(木津川ダルク代表・本学・犯罪学研究センター嘱託研究員)