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2022.02.02

「Ryukoku Health with You ~私のため僕のために知っておきたい女性の健康~」開催レポート【犯罪学研究センター協力】

この話、他人事じゃない。自分事だ。みんなで考えよう。私のためにも。パートナーのためにも。

1月14日、龍谷大学成就館において、産婦人科医の藤田由布先生をお招きし、「Ryukoku Health with You ~私のため僕のために知っておきたい女性の健康~ 」を開催しました。入澤崇龍谷大学学長による開会のあいさつの後、藤田先生のご講演があり、最後に質疑応答が行われました。なお、このイベントは龍谷大学男女学生有志が中心となり、青年海外協力隊を経験した教職員らのサポートを受けた「みんなの健康啓発プロジェクト」が、様々な年代・性別の方に『女性の健康』について考えてもらうために企画したもので、対面とオンラインで合計132名が参加しました。


藤田 由布先生による講演のようす

藤田 由布先生による講演のようす


講演では、性に関する事柄について幅広い説明がなされました。例えば、日本では「子宮頸がんワクチン」と呼ばれているワクチンは、正式名称をHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンということや、男性もHPVに感染しパートナーに感染させる可能性があるほか、肛門ガン、陰茎ガン、中咽頭ガンなどの原因となる可能性があるので、本当は性別を問わずワクチンを接種すべきであるということ、加えて日本で問題になっているHPVワクチンの副反応などのリスクと将来HPVが元で病気にかかるリスクについて説明がありました。また、月経困難症(月経期間中に月経に伴って病的な症状が起こること)には、子宮筋腫(日本人の3人に1人)、子宮内膜症(同10人に1人)、子宮腺筋症(同15人に1人)といった疾病が隠れている可能性があるということや、低用量ピルは子宮と卵巣を良好な状態に保ち、生理痛などを防ぐことができ、生理の周期をコントロールできることなど、多岐にわたる内容が諸外国の状況と比較しながら分かりやすく説明されました。参加者からは、これらの重要な事実を知らなかったことに対して驚きの声が多数あがりました。

質疑応答の時間には、「ピルで生理の周期をコントロールするためにはどれくらいの期間飲む必要があるのか」「男性が産婦人科に付き添うケースは増えているか」「今の日本の授業で補い切れていない必要な性教育とは何だと考えるか」といった、様々な質問が寄せられました。それに対して藤田先生からは、「生理の周期は、移動したいときより半月くらい前に婦人科を受診すれば、その2週間ほど後からずらす処方をすることができる。自費の負担にはなるが、2000円くらいなので、婦人科で気軽に相談してほしい」「婦人科に付き添うのは良いと思うけれど、最終的にはパートナーの意見次第。分娩の時に辛い思いをしているパートナーを支えて経験を共有すると、その後にもつながっていくと思う」「子宮頸がんや低用量ピルについての教育などがない時点で、日本の性教育は皆無だと言えるのではないだろうか。患者さんに説明すると、みんな、学生の時から知っておきたかったと言う」など、経験に基づく真摯な答えが返されました。


藤田 由布先生

藤田 由布先生


司会は「みんなの健康啓発プロジェクト」学生スタッフが担当

司会は「みんなの健康啓発プロジェクト」学生スタッフが担当

最後に藤田先生から、「日本には、性に関する知識が十分でないことによって辛い思いをしている人が多く存在する。医療者だけでなく当事者たち自身が性に関する事柄の情報共有をすることが重要である」と伝えられました。講演会終了後も、対面の参加者から個人的な質問が次々と寄せられ、講演後のアンケートにも、講演会で学んだことを家族・友人に共有したい、男女問わず多くの人に知ってほしいという意見が多数寄せられました。